初任給の伸び10年間間で僅か3.8%、米国の半分 高給取り退職と少子化進行
バブル時代も人手不足、初任給が上がり既存社員もベースアップとなった。ところが、今回のアベノミクスの企業バブルは人手不足にもかかわらず、初任給が上がらず、安倍首相が直接財界にお願いしないとベースアップもしない。
ベースアップがあったとしても、その後、企業は諸手当てを削り、年間報酬額は変わらない。勤労者にあっては、税金や年金の徴収増、医療・介護などの自己負担増=勤労者の負担増となっている。勤労者の可処分所得は減るばかりが現実だ。
それに加え大きな問題は、少子化が進む中、低賃金の非正規雇用が拡大していることにある。
公務員や企業にあっては、高額報酬で人口構成率も高い年配者が退職し続けており、雇用は非正規雇用や低初任給では、企業の労働分配率も下がる一方となっている。
25~29歳の勤労層は629千人、一方、近時退職者層60~64歳は780千人、この退職者層は退職に至るまで非正規雇用数が限られ高給取りが多い、一方、25~29歳までの勤労者層には非正規雇用者の構成率が高く、非正規就労者に加え年齢からしても賃金は当然安い。
高給取りが退職していく中、新規就労者層には将来賃金が増加しない非正規雇用が多く含まれている。
ましてや、人口減少問題を抱え、60~64歳と25~29歳層の人口比は、2割(▲19.2%減)減少している。企業の総支払賃金がここ5年間で2割減少したことになる。
これが消費不況の大きな原因となっているが、政権は働け働けと1億総活躍時代と主婦層を就労させ、この2割の落ち込みを食い止めさせているのが現実。近時退職者層は人口も多いが高給取りでもあり、低賃金の主婦層動員ではその差は埋められない。
あと10年もすれば、非正規雇用者が多くなった年齢層が本格的に退職してくる。預金も限られ、未婚の人も多くなり、生活保護に依存する人の予備群が本格的に増加してくる。
現実でも2人以上の世帯の32.1%が預金や株など金融資産のない世帯だと日銀の金融広報中央委員会が2017年の状況として公表している。その代わり、金持ちも多くなり、貧富の格差は急拡大している今日ころごろである。
日本の総人口 年齢階級別
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|||
/千人
|
総人口
|
男
|
女
|
年齢階級別
|
12,672
|
6,166
|
6,506
|
0~4
|
492
|
252
|
240
|
5~9
|
525
|
269
|
256
|
10~14
|
543
|
278
|
265
|
15~19
|
600
|
308
|
292
|
20~24
|
622
|
320
|
302
|
25~29
|
629
|
322
|
307
|
30~34
|
711
|
362
|
350
|
35~39
|
788
|
400
|
389
|
40~44
|
944
|
478
|
466
|
45~49
|
946
|
478
|
468
|
50~54
|
816
|
410
|
406
|
55~59
|
759
|
379
|
381
|
60~64
|
780
|
385
|
396
|
65~69
|
992
|
480
|
512
|
70~74
|
775
|
363
|
412
|
75~79
|
674
|
301
|
373
|
80~84
|
529
|
216
|
314
|
85~89
|
340
|
117
|
222
|
90~94
|
159
|
42
|
117
|
95~99
|
41
|
7
|
34
|
100以上
|
7
|
1
|
6
|
・総務省、2017年10月1日現在(概算)
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<賃金を上げぬ財界&企業>
デフレ脱却を目指す安倍政権は賃上げを企業に働き掛けているが、日本の大学を卒業した新入社員の初任給は10年以上、ほとんど変わっていない。
経団連の調査によると、2017年の大学卒(事務系)の初任給は21万2873円と2007年比で3.8%増にとどまっている。年間では約260万円となり、全米大学・雇用者協会(NACE)が調査した米国の大学卒の半分に過ぎない。米は同年比8%増加している。
厚労省の2016年の調査を基に同年代の賞与を加えて計算すると、大学卒の年収は約290万円となる。大学院に通ったとしても大きな違いはなく、年収は約310万円にとどまる。
年功序列の給与水準や福利厚生など給与に直接反映されない要素もあるが、日本全体の賃金の伸び悩みを示した結果となっている。
厚労省の調査によると、2016年の賃金は前年と比較して横ばいだった。
以上。