アイコン N700系新幹線の台車亀裂 初のインシデント指定・調査/国交省

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国交省の運輸安全委員会は11日、博多から東京に向かっていた東海道・山陽新幹線の車両の台車に亀裂が入っていたことがわかり、重大な事故につながるおそれがあったとして、新幹線では初めて重大インシデントに指定し、調査を始めた。 今回問題になっているN700系は、現在も製造中の車両でもある。

東海道・山陽新幹線の博多発東京行きの「のぞみ34号」は11日、途中の名古屋駅で車両の台車に亀裂が入っているのが見つかったほか、モーターの回転を車輪に伝える継手と呼ばれる部品が焦げたように変色しているのも確認された。
 
このため、国の運輸安全委員会は重大な事故につながるおそれがあったとして重大インシデントに指定し、12日夕方、事故調査官3人を車両がある名古屋駅に派遣し、調査を始めた。
 
新幹線が止まっているJR名古屋駅のホームでは、12日夜、国交省の運輸安全委員会の事故調査官とJRの担当者らが、亀裂が見つかった13号車の台車などにライトを当てて詳しい状況を調べていた。
運輸安全委員会によると、平成13年に事故調査委員会ができてから、新幹線の事故は、新潟県中越地震で起きた上越新幹線の脱線や東日本大震災での東北新幹線の脱線など合わせて5件あるが、重大な事故につながるおそれがあったとして重大インシデントに指定されたのは初めてだという。
 
トラブルの経緯
JR西日本によると、トラブルがあったのは博多駅を11日、午後1時33分に出発した東京駅に向かう「のぞみ34号」。
 
「N700系」の16両編成で、先頭部分が16号車、最後部が1号車。博多駅を出発し、最初の停車駅の小倉駅を出発した際に、客室乗務員などから7号車か8号車付近で「焦げたようなにおいがする」との申告があった。
これを受け、車掌が車内を点検したほか、岡山駅で車両保守の担当社員が乗車し調べたところ、13号車から14号車で、「うなり音」が確認されました。この時点では走行に支障がある音ではないとして、のぞみ号は運転を継続し東京に向かった。
 
その後、京都駅付近で車掌が異臭を感じたため名古屋駅で社員が車両の床下を点検したところ油漏れを発見し、走行不可と判断。名古屋駅と東京駅の区間は運休となった。

 
約1000人の乗客は、別の列車に乗り替えたという。
運転を取りやめた「のぞみ」は、現在も名古屋駅に停車したままになっていて、JR西日本は今後、この列車を移動したうえで、詳しい原因を調べることにしている。
 
<N700系台車 ボルスタレス台車>
台車は300系以来の実績がある、コイルバネと円筒積層ゴムを併用したウイングバネ式軸箱支持装置のアンチョーダンパ付きボルスタレス台車を採用しており、軸箱の上部と台車枠の間には軸ダンパーが装備されている。
トンネルと明かり区間での線路データマップを元にそれぞれの区間で最適な制御パラメータを選択する機能をもつ。
 
軸箱支持方式は300系と同じくコイルばね+円筒積層ゴム併用式であり、駆動方式は、普通車では新型の歯型形状の採用と歯車中心間距離の拡大によりバックラッシュを低減した低騒音形WN継手が、グリーン車ではJR東海所有の700系C19編成以降と同じくTD継手が引き続き採用された。
300km/hでの走行に対応するため、700系から歯車比が変更されている。
<車体傾斜装置>
線内の60ヶ所の曲線半径2,500mの曲線区間を270km/hのまま走行できるように新幹線車両で初めて空気バネによる車体傾斜装置(最大傾斜角1度)を採用している。
これは、自車の位置を、車両に記録された線路データを元に、地上側から送信される絶対位置情報により補正しながら位置を特定し、曲線区間で車体を傾斜させるもので、曲線の線路の外軌側の空気ばねを上昇させるシステムとなっている。
車体傾斜機能は、大半が半径4000m以上のカーブである山陽区間では使用しないが、完全に機能を停止するのではなく車体を水平に保つLV制御(0度制御または水平制御)として機能しており、乗り心地を向上させている。
信頼性を確保するために、車体傾斜装置の制御系統は二重化されている。この二系統が両方ともトラブルなどに見舞われた場合、車体傾斜装置の使用を停止し、700系と同じ運転パターンに変更されるというバックアップ機能が搭載されている。
 

 

新幹線 N700系
採用社
東海旅客鉄道
西日本旅客鉄道
九州旅客鉄道
製造所
日立製作所笠戸事業所
日本車輌製造
川崎重工業車両カンパニー
近畿車輛
製造年
2006年~
製造数
2,272両 + 代替車1両(2016年現在)
主要諸元
軌間
1,435mm
電気方式
交流25,000V 60Hz
最高運転速度
285km/h(曲線 +15km/h):東海道新幹線
300km/h:山陽新幹線
260km/h:九州新幹線
起動加速度
2.6km/h/s
減速度(常用)
2.70km/h/s (70 - 0km/h)
減速度(非常)
3.64km/h/s (120 - 0km/h)
全長
27,350mm(先頭車)
25,000mm(中間車)
全幅
3,360mm
車体高
3,600mm(中間車)
3,500mm(先頭車の前部)
車体材質
アルミニウム合金
台車
ボルスタレス台車
継手
一般車両:WN継手/グリーン車:TD継手
主電動機
かご形三相誘導電動機
歯車比
2.79
制御装置
IGBT素子VVVFインバータ制御
制動装置
回生ブレーキ[1]併用電気指令式空気ブレーキ
(応荷重装置付き)
備考
16両編成は2010年度以降は日立と日車で製造。
 
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[ 2017年12月13日 ]
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