11月の貿易収支 輸出米中逆転 中国様の半導体・ディスプレイ製造関連大きく伸びる
財務省が18日発表した11月の貿易統計速報によると、輸出額は前年同月比16.2%増の6兆9204億円と12ヶ月連続で増加した。
半導体や液晶デバイス製造用の半導体・液晶製造装置が好調な中国向けが単月として2ヶ月連続で過去最高を記録し、米国向けを上回った。
輸出全体に占める中国・アジア向けの存在感が一段と高まっている。
中国向け輸出額は1兆3797億円と前年同月比で25.1%増、過去最高だった前月からさらに伸びた。
一方、米国向けは1兆3686億円。自動車や関連部品などをけん引役に同13.0%増となったものの、中国やアジアの伸びには及ばなかった。
中国向けが2ヶ月連続で米国向けを上回るのは2014年7~8月以来、約3年ぶりとなる。
輸出全体に占める中国含むアジア向けの比率は56.3%に達し、2011年8月以来約6年ぶりの高水準となり、けん引役としてのアジアの存在感が際立っている。
世界的な半導体需要の拡大が背景にある。
高機能なスマホやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」の普及に伴って、中国や韓国などアジアで半導体の生産能力増強や高度化が進んでおり、日本が技術面で競争力を持つ半導体製造装置の需要が高まっていることが好調な輸出の背景にある。
<中国は国策で半導体やディスプレイ産業を奨励>
中国では、政府が国家戦略として半導体や液晶産業を振興する方針を掲げ、2017年から2018年にかけて大規模工場が完成してきていることも追い風となっている。
中国政府が2015年に公表した製造業振興策の「中国製造2025」では、自国産製品には自国産部品・部材を使用しようという重点分野の一つとして半導体・液晶産業を高度化する方針を掲げ、企業も制度融資が付き、地方公共団体も工場誘致にしのぎを削り、こうした国策を反映して投資が活発化している。
世界的な需要増と中国の国策という2つの要因で急速に伸びる半導体輸出に対して、米国向け輸出を支える自動車にはこうした追い風はない。
中国向け半導体製造装置の輸出の前年比伸び率が68.9%と急速な伸びを示しているのに対して、米国向けの自動車輸出の伸びは3.1%にとどまる。
主要な輸出品目の違いが中国向けと米国向けの輸出の勢いに差が出る一因となっている。
中国向け輸出は、リーマン・ショック前後から12年後半まで4年近く、米国向けを逆転していた。中国政府による4兆元(当時の為替レートで50兆円超)の巨大な景気対策が需要を底上げし、日本の輸出のけん引役を果たした。
今回の米中逆転が過去と異なるのは、過去の局面ではリーマン・ショック後に米国経済が弱る中、中国経済が国策(新幹線などインフラ投資の内需拡大政策)を背景に伸びたことで起こったが、今回は米中の経済がともに堅調な中で起きているという点。これは中国経済の堅調さをより印象付ける出来事ともいえる。
みずほ総研で中国経済の分析を担当する大和香織主任エコノミストは「中国の経済規模は2030年ごろに米国を抜いて世界第1位になる」と予想する。
より長い目で見れば、今回の輸出の米中逆転も、そう遠くない将来、世界の勢力図が米国集中から米中二大大国を中心とした時代に移っていく過渡期にあることを映しているのかもしれない。
以上、日経新聞参照
こうした背景には、中国経済のGDPが再び高成長へ転化したわけでもなんでもなく、欧州経済の回復により、これまで米国に偏っていた輸出が回復してきていることにある。
経済圏からすれば、米国・中国・EUは別格で大きく、そのEUの経済回復は中国企業の輸出を大きくは値上げ、さらに、自国製品は自国産部品を使用しようとする国策は利益を国内に蓄積することになり、安定成長の大きな原動力になる。
中国は経済規模が大きくなり、過去のような成長率は望めようもないが、それでも6%台後半を維持している。それを維持するためにも、その利益が内需の循環を促し経済発展を支える原動力になる。
中国企業は、投資意欲に燃え、日本のように溜め込んだ利益=内部留保の使い道すらなく、従業員に還元することもなく、設備投資は韓国など海外への進出は相変わらず多いものの、肝心の国内では経産省の顔色を見て更新需要に徹し、海外コンサルに乗せられ色気出した海外M&Aは失敗続き サラリーマン経営者たちが横一線に株主のご機嫌取りに自社株買いに走るなど、あほさ加減丸出し企業をさらけ出すなどの企業は一切ない。
頭の中まで日出る国と日没の国が大きく逆転している。
それはサラリーマン経営者たちが大手企業の99.9%を占めた宿命でもある。
米国でも同じことが生じ、それを克服するため、株主たちは経営者を外部の経営プロに求め、高額で実績ある経営者を引っこ抜き採用して乗り越えている。ただ、そうした経営者はリスクを取らず、開発もせず巨額M&Aに走り、企業を巨大化させているものの、利益率は落ち続けることになる。(医療品分野はこうしたM&Aにより、薬価が10倍20倍・50倍に跳ね上がらせているものもザラ、やっと米FDAが動き出している)
中国のGDP推移/億元
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名目GDP
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対比
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1980年
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4,575.3
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1985年
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9,180.5
|
100.7%
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1990年
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19,057.0
|
107.6%
|
1995年
|
51,539.1
|
170.4%
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2000年
|
100,576.8
|
95.1%
|
2005年
|
189,190.4
|
88.1%
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2010年
|
410,708.3
|
117.1%
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2015年
|
699,109.4
|
70.2%
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2017年予
|
811,329.8
|
16.1%
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・現在の為替:1元は17.0338円
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11月の貿易収支/財務省
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億円
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前年比
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備考
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輸出
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金額
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69,204
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16.2%
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12ヶ月連続増
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数量
|
98.0%
|
5.5%
|
10ヶ月連続増
|
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輸入
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金額
|
68,071
|
17.2%
|
11ヶ月連続増
|
数量
|
111.0%
|
2.6%
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2ヶ月連続増
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差し引き
|
金額
|
1,134
|
22.6%
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6ヶ月連続増黒
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11月の主要各国・地域への輸出入
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/億円
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輸出
|
輸入
|
差額
|
米国
|
金額
|
13,686
|
7,085
|
6,600
|
前年比
|
13.0%
|
12.3%
|
13.7%
|
|
EU
|
金額
|
7,173
|
7,673
|
-499
|
前年比
|
13.3%
|
6.8%
|
-41.1%
|
|
中国
|
金額
|
13,796
|
18,106
|
-4,309
|
前年比
|
25.1%
|
21.6%
|
11.8%
|