アイコン 世界自然遺産 国交省の野望・奄美「西古見」35人の集落に巨大クルーズ船寄港地建設

 

 

世界自然遺産への登録を目指している鹿児島県の奄美大島と徳之島、それに沖縄県の沖縄本島北部と西表島について、ユネスコの諮問機関から登録の延期を勧告されたことから、政府は6月1日、推薦書を取り下げることを正式に決めた。

鹿児島県の奄美大島と徳之島、沖縄県の沖縄本島北部と西表島の合わせて約3万8000ヘクタールについて、政府は絶滅のおそれのある「奄美のクロウサギ」など固有の生き物が多く生息し、生物多様性を守るために重要な地域だとして、ユネスコの世界自然遺産への登録を目指し、昨年2月、推薦書を提出した。

しかし、ユネスコの諮問機関、IUCN=国際自然保護連合は推薦地の中には分断されているところがあり、生態系の持続可能性に重大な懸念があることなどから、5月、推薦する地域の見直しが必要だなどとして、登録の延期を勧告していた。
以上、

<延期された本当の理由は開発問題>
35人の集落に巨大クルーズ船の寄港地を作る計画が、地元住民無視、開発ありきで進められている。
ユネスコは、日本政府が世界自然遺産地の候補地として申請した地に、こうした開発が行われれば、自然破壊されるとして見直し勧告を行ったもの。

今回の政府の決定で、当然、巨大クルーズ船寄港地の開発地は、申請から削除され、再申請されることになろう。

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<外紙の報道記事>
奄美35人集落に中国人5000人?大型クルーズ船誘致計画、国が検討
「数千人の外国人観光客を運ぶ、全長230メートルの巨大クルーズ船が、こんな静かな集落に来るの? 想像できない。ここには小さな郵便局と商店がひとつあるだけ。いったい何をしに来るのか」
明治維新に日本を導いた維新三傑の一人、「西郷どん」こと西郷隆盛。彼が安政の大獄の余波から身を隠すために遠流したのが、南西諸島の奄美大島だ。島西部の集落・西古見(にしこみ)には、西郷隆盛が上陸の一歩を踏んだ地との伝記もある。

西古見から望む東シナ海は、鮮やかなエメラルドグリーンと群青に輝く。海に浮かぶ3つの小島は、三連立神(さんれんたちがみ)と呼ばれ、地域住民からは大波や台風から集落を守る神として敬われてきた。住民によると「昔はカツオ漁でにぎわった」という西古見港だが、2017年統計で人口約35人の過疎地となっている。

この静かな集落に、乗客乗員あわせて約7500人を運ぶ世界最大級(排水量22万トン)の大型クルーズ船を寄港させる、港湾建設計画が出ている。
計画を主導するのは国土交通省。
一部報道によると、クルーズ船は中国発ルートで乗客のほとんどが中国人、週2~3回来航するという。
西古見が属する鹿児島県大島郡瀬戸内町は4~5月、住民向けに「町政懇談会」と題したクルーズ船誘致についての説明会を開催している。
冒頭の文は、参加者の発言。公開された説明会の映像によると、町側は人口減対策としてクルーズ船誘致を解説しているが、国土交通省の発表資料の転載が多く、「地元視点」とはいいがたいものだ。

「町役場は、シミュレーションさえ提示していない。メリットやデメリットも不明だ。町民はクルーズ船誘致の是非さえも判断できないではないか」。参加者は計画に疑問を呈した。

ことの発端は、2017年8月、国土交通省の調査「島嶼部での大型クルーズ船寄港地開発」について、奄美群島をモデルケースとした調査と評価の結果を発表したことにある。
島内の候補地9ヶ所が掲げられるなか、瀬戸内町企画課は、候補の一つである西古見に大型クルーズ船を呼び込もうと手をあげた。

瀬戸内町民は、町役場に一抹の不信感を抱いている。
瀬戸内町は2018年冬、鹿児島県にクルーズ船誘致のための要望書を、町民へ説明不十分のまま提出したためだ。
地元紙南海日日新聞によると、「黙ったまま進めないでほしい」との町民の反発を受け、この要望書は4月半ばに取り下げられた。

すでに大型クルーズ船が寄港する沖縄・宮古島の状況を聞いている参加住民からは不安を隠せない。
説明会では「宮古では万引や医療費を払わないなど犯罪が増えている。小売店も日没後は閉めている」などの声が上がった。

国が加速させる訪日クルーズ旅行
現在、政府は訪日クルーズ旅客を2020年に500万人の目標の実現を加速させている。2017年(1月~12月)の訪日クルーズ旅客数は前年比27.2%増の253.3万人、クルーズ船の寄港回数は前年比37.1%増の2,765回となり、いずれも過去最高を記録した。

2017年8月には港湾法を改正し、国土交通大臣が指定する港湾に、旅客ターミナルビル等に投資を行うクルーズ船社に港の優先利用を認めた。

クルーズ観光振興に向けた国の動きは早い。国土交通省は2018年2月までに「官民連携クルーズ拠点」となる港湾を全国で7港選定した。
横浜港(横浜市)、
清水港(静岡県)、
佐世保港(佐世保市)、
矢代港(熊本県)、
鹿児島県港(鹿児島市)、
本部港(沖縄県)、
平良港(宮古島市)。
これに奄美が国交省で内定している。

民間企業は、外資と日本企業の名が上がり、米カーニバル・コーポレーション、米ロイヤルカリビアン・クルーズ、ゲンティン香港、日本の郵船クルーズの4社。

日本政府は、希少生物と自然豊かな奄美沖縄群島を、世界遺産登録に推薦していた。
しかし、5月4日、ユネスコ諮問組織は「環境持続の維持が危ぶまれる」ことなどを理由に、登録を見送った。
奄美大島のある住民は「逆行するような大型クルーズ船誘致が一因ではないか」とつぶやいた。

町の企画課はクルーズ船誘致計画「白紙にした」
瀬戸内町議会でも、クルーズ船誘致計画は議題に挙がっていた。
現職議員は3月議会でのクルーズ船誘致に関する一般質問の要約を、4月に各町民家庭に配布した。
議員と町役場とのやり取りが記録されており、議員側からは周遊コースの説明、港湾建設費、滞在客の過ごし方、外国人の大量入域に関する諸問題など、質問が相次いだ。
企画課長は「現時点ではこれらの情報は入っていない。国と県との交渉もまだ」と語ったという。

この記録には、大型外国資本の誘致に繋がりかねないとして、奄美大島の土地買収を懸念する声もあがっている。

「いま北海道や沖縄など、日本の各地で外国人による土地買収が問題になっている。瀬戸内町の過疎地を買うことなど、たやすいことだろう」「自分たちの故郷が外国人に浸食されていく、生きていく場所が失われる。こんなことは悪夢であってほしい」

記録によると、鎌田・瀬戸内町長は、人口減と若者離れ、雇用減の対策として「クルーズ船誘致は起爆剤となりうると信じている」と答えた。

奄美地方2紙によると5月10日、西古見へのクルーズ船寄港地誘致計画による生活への影響を懸念した住民の有志は、計画撤回を求める申し入れ書を同町企画課に提出した。

有志の一団は、6月に始まる定例議会前に意見を申し入れた。
奄美新聞によると、代表で宿泊業を営む男性は、
「クルーズ船誘致計画自体見直しを町議会で話してほしい。島の観光客は順調に増えている」
「これまで通り穏やかな暮らしと観光業が営めるように願う」と要望を述べた。

同紙によると、対応した企画課は誘致計画を白紙にすることを強調したという。

<町職員は国交省が主導と>
瀬戸内町役場に勤める事務職員は「うわさが独り歩きしている。西古見のクルーズ船誘致計画では、どの国のナニ人が来て、どこのクルーズ船企業だとは明かされていない。うわさは住民の不安をさらにあおっている。誘致計画は、国が検討している。クルーズ船企業側の考えもある。瀬戸内町だけで決められることではない」と語った。

白紙化を企画課は言及したが、港湾建設計画自体は立ち消えになったのか。管内の港湾について九州地方整備局に問い合わせたところ「国が担当している件で、われわれでは回答できない」とした。

国土交通省のクルーズ振興室は「突然の出来事で町民に不安があるのは理解している。瀬戸内町の町政懇談会で、疑問は解消されていくはず」と述べ、計画の進捗など明言は避けた。
以上、外紙参照

クルーズ船誘致計画が浮上した奄美大島最西部の西古見(住民35人)に属する瀬戸内町の人口は約9000人。もし、大型クルーズ船が週2~3回寄港すれば、一週間で地域住民の1.5~2倍近い外国人が入域することになる。

国交省から誘致が提案されているとみられるクルーズ船会社は、世界業界大手ロイヤルカリビアン・クルーズではないかと島民は口にしている。
なぜなら、同社は2年前、奄美大島中部・龍郷町で、中国人向けのリゾートテーマパーク建設と中国発ルートのクルーズ船寄港誘致計画を持ち掛けた。しかし、龍郷町は計画に賛同せず、立ち消えとなった経緯がある。
ロイヤルカリビアン・クルーズの副社長は中国人の劉淄楠氏であり、国交省との交渉など計画を総括指揮しているものと見られる。

国交省は、税金をバラ撒き、ゼネコンを子飼い、食わせる関係にある。そのバラ撒きにも大義が必要なことから、奄美の過疎地に新たなる巨大クルーズ船寄港地を造ろうとしている。
奄美には立派な名瀬港がある。しかし、同港にクルーズ船が寄航できるように改修工事を行っては、公共投資で使用する額は限られる。そのため、まったく新しい、もしくは小さな港湾を、新規開発や大改修して、巨額公共投資を実現させたいというもの。これが創価学会国交省の目論見であろうか。
熊本・八代方式でいえば、港湾整備を国主導で行い、ターミナルの建屋などをクルーズ船会社に建てさせる。その代わり、建設を指定したクルーズ船会社が優先使用権を持つ。

↓ 国交省により自然破壊される運命の西古見集落と湾
国交省により自然破壊される運命の西古見集落と湾

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[ 2018年6月 1日 ]

 

 

 

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