アイコン 原油価格 サウジ カタールS-400導入で軍事制裁へ IPO向け火種作り

 

 

サウジアラビア(執権者:ムハンマド皇太子)は、2017年6月隣国で同じイスラム教スンニ派のカタールと国交断絶。今度は、カタールがロシアからS-400ミサイルを導入すれば、攻撃も辞さないと表明した。

<S-400とは>
S-400は米国のPACミサイルに匹敵する地対空迎撃ミサイル(6ヶ所同時迎撃)ながら射程400キロに達する。またシリーズでは射程3500キロの長距離迎撃ミサイルにも変身する。
カタールが迎撃ミサイルさえ配備することを拒絶する中東全域の絶対君主サウジの意図は・・・。

<原油価格高騰の原因は・・・>
原油価格は、欧州経済の回復により需給逼迫状態だが、裏には、OPEC減産からさらにベネズエラでは老朽化施設による減産(減産割当日量200万バレル、現実の生産量は150万バレル)が続いていることに起因していた。そこにイラン制裁に動いた米トランプが原油価格に火をつけ、WTI価格を72ドルまで押し上げた。現在65~66ドル台。

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<原油価格を吊り上げたところでアラムコのIPO画策>
当然、ほくそ笑んでいるのはサウジのムハンマド皇太子、次期国王として王族の摘発に動き絶対権力を手中に収めた皇太子は、「ビジョン2030」の経済政策を有し、国営石油会社のアラムコを上場させる準備している。
当然、原油価格が高ければ、IPO価格も高くなり、サウジアラビアに入る資金も限りなく多くなる。そのため原油価格を80ドル~100ドルにすることを目指している。

(伏兵、OPEC+αのα部分で原油を減産してきたロシアが、60ドル台になれば減産は不必要だとして増産に動きだしている)

<米トランプとサウジ・ムハンマド皇太子の茶番>
米トランプは、原油価格が高騰して所得減税を相殺してしまうと、いつまでも減産し続けるサウジアラビアを非難する一方、イラン核合意離脱を表明すると共に強い経済制裁を行うと発表、原油価格の急騰を演じさせた。裏ではトランプとサルマンとのマッチポンプ・猿芝居との見方もなされている。

<余談・トランプの貿易戦争はゲーム>
ただ、トランプは中間選挙を控え、人気取りに没頭しており、中国との301条貿易戦争を5月23日和解・合意したにもかかわらず、北朝鮮に入れ知恵したとして、トランプは5月29日、気分が悪いと和解合意を撤回、制裁すると発表した。
来る12日の米朝会談がトランプの想定内で進捗すれば、気分を良くして中国制裁は回避されるだろうが、想定外だった場合、その責任を中国に押し付け、15日中国制裁に入る可能性が高い。
米トランプは中間選挙対策どころか、自らの気分の問題から報復合戦に興じれば、互いの制裁額も500億ドルから1000億ドル、1500億ドルと暴騰し、米国民への影響は限りなく大きくなる。

<サウジのカタール敵視政策>
サウジは、イエメンで湾岸連合国として反政府軍討伐に軍を派遣しているカタールに対して、イラン政策から2017年6月国交断絶、カタールを陸の孤島にして孤立化させる計画も講じている。半島であるカタールとの国境線約60キロに幅200メートルの大運河「サルワ・マリン運河プロジェクト」を始動させ、隣接地に軍事基地と核廃棄物処理場を建設するというもの。UAEやバーレーンもサウジに同調している。

トランプはサウジによるカタールとの国交断絶を歓迎したが、米軍部がトランプに拒絶反応を示した。カタールには中東最大級の米空軍基地があり、イランをはじめ中東全域を監視、シリア・イラクへの攻撃拠点の一つになっている。

こうしたサウジの国交断絶や攻撃示唆は、中東情勢の不安定化を煽るものとなり、原油価格高騰の原因ともなる。

<カタールとサウジの事情>
カタールは、サウジと同じスンニ派ながら、シーア派のイランと海底油田で隣接し、イランと緊張状態を回避したい思惑がある。ただ、サウジはイランと国交断絶して敵対関係にあり、そのせめぎあいの場がサウジに南で隣接しているイエメンの内戦の攻防にある。サウジにしても自国民の15%はシーア派(元は自治権があったが、現在は取り上げている)であり、力で押さえつけ続ける必要に迫られている事情もある。

<宗派を押さえ込んだムハンマド皇太子>
カタールはスンニ派のワッハール学派(4大学派の一つ)に属するが、サウジもワッハール学派が宗教の権威を保持してきたものの、現在は、治世者の王様により、シャーフィイー学派、ハナフィー学派、マーリク学派の4大学派がサウジ最高ウラマー会議(宗教者会議)の参加学派となっている。
こうした、治世者にとって治世しやすいウラマー会議にしたことで、王様の息子ムハンマド皇太子が絶対権力をいかんなく発揮している。こうした宗教者の反発を押さえ込んだ流れもカタールとの国交断絶を実現させたものと見られる。

<中東の火薬>
中東は、
大きくはイスラム教スンニ派とシーア派の戦い、
サウジ-カタールのようにスンニ派内の戦い、
アフガンのタリバンやイラクのISのようにスンニ派内の原理主義者との戦い
クルド人-トルコ・イラク人などの民族間の戦い、
中東全域の各部族間の利害関係の戦い
など複雑怪奇。各国の王家も元は一介の部族長であり、他部族を権力で支配し現在があり、・・・危うい存在でもある。
それに加え、ユダヤ人のイスラエルもシリアを攻撃(特にイラン派遣陣地とレバノンのヒズボラのシリア拠点地)しており、以前はイランも直接攻撃していた。
さらに、世界最大の産油国となった米国による世界覇権の天下の宝刀となっている貿易制裁、その刃が中東産油国イランに向けられている。
中東の火薬が、さらに一つでも爆発すれば、原油価格はさらに高騰することになる。

欧米は、中国や北朝鮮の人権問題には触れるが、サウジを筆頭に原油生産国の中東の人権問題には一切触れない。結局、すべて世界は利害関係により動いているだけ。

<米国の貿易制裁の見返りは米国による原油の大輸出・被害はサウジの構図>
米国の原油掘削リグ稼動数861本(ピーク2014年10月1609本、原油暴落で2016年5月には316本まで減少、その後は値上がりでのリグ再稼動と生産効率の高い新たなリグによる生産)。米国の3月の原油生産量は、3月としては過去最高の1047万バレル/日量となっている(5月31日EIA発表)。

米トランプは、対米貿易黒字国に対して、米国産品を買えと貿易制裁している。中国・日本・韓国など原油輸入国は、米国産の遺伝子組み変え農産物や原油・LNGの輸入を急拡大するしかない(日本と韓国は巨額兵器購入もあり)。こうした国々は中東から原油をこれまで大量に購入している。
米トランプが仕掛ける貿易戦争で影響を受けるのは、結局はサウジはじめ中東産油国でもある。
トランプはこうした政治力学のゲームを楽しんでいる。

<↓ ロシア軍のS400迎撃ミサイル>
ロシア軍のS400迎撃ミサイル

 

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[ 2018年6月 4日 ]

 

 

 

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