アイコン 韓国、7月の失業率悪化 就業者数増も5千人まで減少

 

 

1、7月の失業者は、前年同月比で8万1000人増加し、103万9000人を記録。失業者は今年1月から7月まで7ヶ月連続で100万人を上回った。100万人を長期にわたり上回るのは18年4ヶ月ぶり。

2、反面、就業者数は1年前より5千人増と2010年1月以来の低水準となった。昨年までは前年同月比で30万人増。

3、全体雇用率は61.3%で対前年同月比▲0.3ポイント下落し、15~64歳の雇用率も同期間▲0.2ポイント下落し67%を記録した。

4、失業率は、3.7%で1年前と比較すると0.3%ポイント上昇、ただ、6月の3.8%からは0.1ポイント改善されている。

5、青年失業率(15~29歳)は、9.3%で1年前と同水準だったが、6月の9.1%からは▲0.2ポイント悪化している(就職断念者など含むと20%を超える)。

6、体感失業率は、今年上半期の雇用補助指標3(=体感失業率)は11.8%。昨年下半期より1.2ポイント高くなっている。(体感失業率は、欧州基準に近い失業率の算出方法によるもの)

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7、失業率や就業者数の悪化原因は、
(1)経済不振、
(2)最低賃金大幅増(18年16.4%、19年10.9%増決定)、労働コスト増、企業物価高
(3)労働時間短縮による実質賃金増など・・・・、労働コスト増

7月の雇用事情は予想以上に悪化している。
今年2月の就業者増加幅が10万人台に沈んだ以後、反騰の兆しが見られない。
先月の場合、グローバル金融危機の余波が大きかった時と似た水準で雇用が振るわず、特に韓国経済の要の役割を担っている40代が“雇用ショック”の直撃弾を受け深刻性が加重されている。雇用不振のトンネルから容易に抜け出せないだろうという暗鬱な展望もある。

韓国統計庁が17日に発表した「7月雇用動向」によれば、先月の就業者数は1年前より5千人の増にとどまった。
これは、リーマン・ショック=世界金融危機の影響圏にあった2010年1月に▲1万人の減少を記録して以来、8年6ヶ月ぶりに最も低調な水準。雇用率も61.3%で1年前より0.3%下落した。

月別就業者増加幅は、昨年でも30万人台の水準だったが、今年に入って減り始めた。今年2~4月には10万人台をかろうじて維持したが、5月には7万2千人と10万人台を割り込み、地方選挙の影響で6月には10万6千人まで上がったものの、7月にはついに1万人台さえ割り込んだ。

韓国労働研究院のソン・ジェミン研究委員は、「今年2~4月の雇用不振は、生産可能人口(15~64歳)減少の影響が大きかったが、5月からは製造業や建設業など主力業種の景気不振が決定的影響を及ぼしたようだ」と分析した。

実際、製造業の場合、月別就業者の減少幅が拡大している。
製造業は、2016年下半期から造船業リストラの余波で就業者が減り、昨年6月に増加傾向に戻っていた。その後11ヶ月ぶりの今年4月に再び減少傾向に転じた。
特に先月の減少幅は▲12万7千人で、4月(▲6万8千人)より2倍多かった。

ソン研究委員は「昨年第4四半期から製造業の生産職が減ってきたが、事務職の増加で相殺される程度を超えて減少幅が大きくなっている」としている。

<就業者数の増減(前年同期比)推移>
製造業の不振は、他産業にも余波を及ぼしている。
製造業は、全就業者の16.6%を占め、雇用指標を牽引する役割もするが、卸・小売業など他産業との関連性も深い。

警備・清掃人材を含む「事業施設管理・事業支援および賃貸サービス業」の就業者数は、先月▲10万1千人も減った。
関連統計が始まった2014年1月以後、最大の減少幅。

政府のビン・ヒョンジュン統計庁雇用統計課長は、「事業施設管理業は、他産業に人材を供給する業種なので、雇用状況と景気的要因が良くてこそ就業者が増加する傾向を示す」と説明し、根本原因が最低賃金の大幅増にあることには言及していない。

ソン・テユン延世大学教授(経済学)は、「製造業の景気が良くない状況で、先月に来年の最低賃金10.9%引き上げが決定され、週52時間超過勤務の禁止が施行された点が市場に心理的衝撃を与えた側面もあるとしている。

大企業は利益が減少しても持ちこたえられるが、大企業の2,3次下請け企業は、労働コスト増に耐えられず全体の雇用を減らしたり、非正規職から解雇しがちだ」と話した。

<内需の経済効果も大きい建設業も悪化>
建設業の場合、先月3万7千人増え、6月(1万人増加)よりは事情が良くなったが、昨年月平均で11万9千人ずつ増えたことに比べれば遥かに至らない。
これは、不動産バブルを沈静化させるため、住宅ローン規制をはかったことから、分譲マンションの販売がだぶついており、オフィスの空き室率も10%まで上昇、不動産バブルが沈静化し、建設業の従事者も自ずと減少している。
昨年下半期から就業者の減少傾向が続いてきた卸・小売業(▲3万8千人)と宿泊・飲食業(▲4万2千人)も先月不振を免れなかった。
不動産バブルがはじければ、不動産価格が下落し,家計負債の主を締める不動産ローンのサブプライムローン化問題が生じ、金融機関にも影響が生じてくる。当然、家計にあっては可処分所得を圧迫し、消費活動も縮小する。

<40代を直撃>30代・40代が文大統領の最大の支持基盤
 年齢帯別では、働き盛りで家族にお金がかかる40代が最大の打撃を受けている。
40代の就業者数は先月▲14万7千人も減って、外国為替危機の直後である1998年8月(▲15万2千人)以後で最大の減少幅を見せた。
雇用率も79.1%で、昨年同期に比べ0.7%も下落した。
40代は、製造業、建設業、卸・小売業、宿泊業などに大挙布陣していて、景気不振・労務費コスト増に伴う雇用ショックの直撃弾を受けている。

<少子高齢化>
少子高齢化が非経済活動人口を大幅に増やしている点も赤信号に挙げられる。
先月の15歳以上人口は24万1千人増加したが、経済活動人口は8万6千人の増加にとどまった。
非経済活動人口は2倍近い15万5千人増加した。また、先月の非経済活動人口のうち「ただ休んだ」と答えた人と求職断念者は、それぞれ23万2千人、6万3千人増えた反面、就職準備者は▲4万1千人減った。

ただ、少子高齢化の影響は、失業率の低下に逆に反映されるもの、ハンギョレのように無理に非経済活動人口増を原因とすべきものではない。
有効求人倍率が高ければ、就職口もあり、離職者も自ずと働くが、そうでないからこそ、非経済活動人口=実質失業者が増加しているもの。
「ただ休んだ」で失業している人が23万人もいるとは考えられず、ハンギョレがニートや失業者を意図的な表現に結び付けた可能性が高く、ほとんどが就職断念関係者と見られる。
以上、文政権支援新聞のハンギョレ新聞等参考

文政権は、勤労者の所得増による経済成長論をぶち上げ、実行しているが、本来景気の良い時に実行すべき労働政策。景気が悪化する中、企業のコスト(労働コストと値上げによる仕入価格)を大幅に押し上げており、景気が悪いことによりコスト増を販売価格・納品価格への転嫁は限られ、企業収益が悪化、企業は生き残るため、更なる非正規雇用者の解雇や従業員のリストラを進めるしかないのが現実。
経済悪化はスパイラルしながら落ちていき、悪循環に陥る可能性が高い。学者が述べているように、企業にあって決して心理的なものではない。

<文政権の期待は大嫌いな財閥の投資>
ただ、サムスン電子(国内3年間で12兆円)、LG、SK、ハンファなどの財閥企業グループが、大規模な設備投資を発表しており、雇用は今後、順次改善されるものと見られる。しかし、事業所開設までには時間がかかり、それまで悪化する可能性が高い。
コンビニなどの個人事業主300万人の団体は、決定した来年の最低賃金増(10.9%増)は行わない、罰するなら罰してみろと開き直り、文政権に反旗を翻している。

<支持率に直結してくる>
国内の経済問題は露出すれば露出するほど、生活しなければならない国民は、希望に満ち支援した文政権から離れていく。国民の生活にとって文政権がのめり込む北朝鮮問題など何ら飯の足しにならず、結果、そうした国民が政治をも動かす。

<↓ 製造業の平均賃金>ウォン
最低賃金の大幅増は、最低賃金以上の給与者の所得を大幅に増加させている。そうした労働コスト増を、中小企業は従業員削減で対応している。

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[ 2018年8月18日 ]

 

 

 

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