アイコン 日本の造船業界 韓国勢の安値受注に再び悲鳴

 

 

<世界の造船業界は再び安値受注の韓国勢が勢い増す>
英国の造船・海運分析機関クラークソンが発表した1月~8月まで累積受注額は、韓国勢が156億5800万ドル(172隻、756万4977CGT)を達成して世界1位を占めた。

中国は106億1400万ドル(268隻、570万1687CGT)、
日本は27億9100万ドル(85隻、203万6556CGT)だった。
韓国勢の好実績は、LNG船のような高付加価値船舶の受注が増加しているため。中国はバルク船中心の受注を確保しているが、高付加価値船舶の受注は韓国におされている。また、LNG船の価格上昇も韓国の受注実績にプラスの影響を及ぼしている。

<日本の造船各社が、韓国政府による自国企業の助成に業を煮やしている>
リーマン・ショック後の世界的な「船余り」で新造需要や受注価格が低迷する中、韓国が経営難の造船所を延命させることで「競争をゆがめ、市況の回復を遅らせている」(日本造船工業会)とみている。

造工会は10月、日中韓欧米の造船会社首脳が三重県に集まる国際会議で是正へ向けた議論を提起するが、先行きは見通せない。

「韓国の業界関係者自身も、現在の船価水準を問題視している」

 造工会の加藤泰彦会長(三井E&Sホールディングス相談役)は19日の記者会見で、韓国政府の助成策が造船市況に及ぼしている悪影響を指摘した。

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 韓国は2015年以降、経営破綻に直面した大宇造船海洋に計1兆2千億円の公的資金を注入した。その結果、同社は採算度外視の大量受注に走り、船価を低迷させているという。

英調査会社クラークソンリサーチによると、積載重量15万トン級のばら積み貨物船の受注価格は足元で4800万ドル(約54億円)と、リーマン・ショック直後の09年より約30%低い。タンカーなどを含めた平均も09年水準を下回っている。

船価低迷の影響で、平成30(2018)年3月期は国内首位の今治造船と2位ジャパンマリンユナイテッドがともに営業赤字を計上している。

日本政府も座視してはいない。
韓国政府による多額の公金投入は、国際的な安売り競争を招き、世界貿易機関(WTO)のルールに違反している疑いがあると判断、提訴の検討を始めた。
以上、
ただ、日本政府はこれまでも大宇は問題だと公式に発言しているものの、正式に提訴などしてこなかった。

韓国の造船業界は、大宇の2015年の粉飾赤字隠し(約2000億円)による大赤字(最終約3000億円)で、政府により管理強化された。サムスンや現代も大赤字から政府系産業銀行主導で金融機関の監視下に置かれた(選別受注を強化したことから、その間、ほとんど受注されなかった)。
ただ、大宇に関しては、構造不況から生じているもので、当然、破綻させるべきものだったが、政府はそのまま温存させた。その理由は、戦艦や潜水艦など造船する軍需産業であるからであるが、実際、政府管理下の造船会社、軍需部門を事業分割させ、ほかの造船会社に売却すれば済むものでもあった。ところが、韓国政府は大宇に対して、軍艦や潜水艦を大量発注して、延命させてきた。

<韓国勢の大赤字は・・・>
リーマン・ショック前に大量受注していた案件が、2013年ごろから引き渡しに入り、発注者が受け取りを拒否したり、難クセを付け大幅値引きさせたり、特に海洋構造物はそれまで韓国勢は造ったことがなかったことから大赤字に見舞われ、全社が瀕死の重傷を負った。中国に進出していた中堅のSTX造船は、中国発で本体も2016年に会社更生法を申請して破綻した。

大宇は破綻させるか、政府が主導して整理統合させ構造改革をはかるべきだったが、それもせず、選別受注を強化させていた金融機関のタガも外れ、今では再び世界で韓国勢同士が世界中で安値受注合戦を繰り広げている。

海運価格はパルチック海運指数が示すとおり、いまだ低空飛行を続けている。これは、リーマン・ショックに至る好況で、船腹数が大幅に増加、それに加え、リーマン・ショック前に発注され、その後に完成した船舶も多く、過剰船腹になっていることに起因している。
海運メジャーは、効率面から巨大船舶にシフトしており、そうした船舶の発注が続いているが、価格競争にさらされ、ほとんど韓国勢が安価に受注している。ただ、海運メジャーは、超大型船の就航に合わせ中型・大型船をほかの海運会社に売却しており、総じて船腹数は増加し続け、世界経済が回復しだしても海運価格が上昇しない原因となっている。

日本当局もそうした現代とサムスンについては問題視していない。
なお、韓国勢が正当に安値で受注できる部分もある。それは造船に使用される厚板、中国とのFTA(2015年)締結で大量に中国製が流入、韓国の厚板メーカーは行き場を失い、価格競争に追い込まれて久しい。おまけに最右翼のポスコはベトナムでも厚板を生産しており、韓国では厚板価格が異常に安価に入る条件が整っている。
当然、親方日の丸の日本の鉄鋼業界は利益最優先の日本価格があり、市場価格より安価に厚板を納品することなどない(厚板は電炉施設で生産)。
厚板は中国製でも韓国製でも、製造会社がしっかりしているメーカーならば問題はなくなっている。ただ、中国製は不良会社が山ほどあり大量に鉄鋼製品を生産、品質面で問題のある厚板も多い(中国当局が取り締まっていた・・・)。

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[ 2018年9月20日 ]

 

 

 

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