アイコン 精度数センチの日本版GPS運用開始 「みちびき」 受信装置で誰でも可能 QZSS

 

 

日本版GPS衛星「みちびき」の本格的なサービスが1日から始まり、専用の受信装置を使えば、これまで最大10メートル程度あった位置情報の誤差が、数センチにまで縮まることから、さまざまな分野での活用が期待されている。

日本版GPS衛星「みちびき」は、昨年10月までに合わせて4機が打ち上げられ、これまで調整が行われていた。

衛星を管轄する内閣府は24時間、運用ができる4機体制の準備が整ったとして、1日から本格的なサービスを開始した。
「みちびき」は、アメリカのGPS衛星を補完する信号を出し、少なくとも常に1機は、日本のほぼ真上に来る軌道を飛んでいる。

これまでは、都市部など高い建物がある場所では、信号が遮られるなどしてスマートフォンやカーナビなどの地図上の自分の位置がずれることがあったが、ほぼ真上から届く「みちびき」の信号は、ビルで遮られることがほとんどなく、「みちびき」の信号に対応した製品では位置情報がより安定し精度が高くなる。

さらに、「みちびき」が出す「補強信号」と呼ばれる特殊な信号を受信できる専用の装置を取り付ければ、これまでは最大で10メートル程度あった誤差を数センチにまで縮めることができる。

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このため、自動車の自動運転の実用化やトラクターやコンバインなど農業機械の無人化、ドローンによる宅配サービスの実現など、さまざまな分野で活用が期待されている。
メーカー各社では、「みちびき」の受信装置の販売を本格化させているほか、携帯各社も「みちびき」に対応した機種をさらに増やしていくとしている。

GPS衛星整備を進める理由
国が日本版GPS衛星の整備を進める理由の1つは、位置情報の誤差をできるだけ小さくして、新しい産業の創出や便利な生活の実現につなげることにある。
現在、日本ではほぼ地球全体をカバーしているアメリカのGPS衛星を主に利用して位置情報のサービスが行われているが、最大で10メートル程度の誤差がある。

誤差の原因としては、高い建物や山などの障害物があると信号が遮られたり反射したりして、必要な電波の受信ができなくなることや、大気の層の影響で信号の電波が乱れることなどがあげられている。

4機体制で運用する「みちびき」は、少なくとも常に1機は、日本のほぼ真上に来る軌道を飛んでいるため、建物が密集する都市部でもほぼ真上から信号が届き、信号を受信できなかったり乱れたりするケースが減る。

また、「みちびき」は、大気の層による電磁波の乱れを補正した「補強信号」と呼ばれる特殊な信号を出す機能がついているため、高い精度の位置情報を提供できるようになり、専用の受信装置を使えば誤差を数センチまで縮めることに成功している。

また、位置情報を使ったさまざまなサービスが登場する中、国はインフラの1つとして、海外に頼らない独自のシステムを持つことが必要だともしている。

今後も衛星の打ち上げが計画されていて、2023年度には、7機体制にまで拡充し、アメリカのGPS衛星など海外のシステムを使わなくても位置情報を提供できるようにする。

当初、アメリカが世界に先駆けて開発、導入したGPS衛星の位置情報システム。日本のほか、ロシア、ヨーロッパ、中国、それにインドなども衛星を打ち上げていて、各国独自にシステムを整備する動きは国際的に広がっている。

活用方法
「みちびき」の特徴の1つが「補強信号」と呼ばれる特殊な信号を出せること。この補強信号を受信することで高い精度の位置情報を得ることができる。

補強信号の種類は2つで、受信装置によって1メートルから2メートルの誤差のものと数センチの誤差のものを選ぶことができる。

誤差が数センチまで縮まると、例えば、田んぼや畑の中を正確に移動し無人で種まきや収穫などを行うトラクターやコンバインといった農業機械の実用化に弾みがつき、高齢化や人手不足の課題を抱える農業の現場を変えることが期待されている。

さらに危険が伴う工事現場で求められている自動で動く重機などの開発や、雪で埋もれたガードレールにぶつからないように除雪ができる車両の開発なども進められる。

また、ドローンで宅配便などの荷物を運ぶサービスの実現には、飛行コースを外れずに目的の場所に正確に着陸することが必要で「みちびき」の高い精度の位置情報が欠かせない。

このほか、防災分野では「みちびき」の受信装置を備えたブイを沖合に設置し、発生した津波の場所をより正確に把握する研究なども始まっている。

自動運転に高まる期待
日本版GPS衛星の「みちびき」の本格的な運用によって、さまざまな分野で私たちの暮らしや産業を変える可能性がある。
このうち、実用化が急がれている自動運転の分野でも活用が期待されている。位置情報の精度が高まるため、車線からはみ出さずに走行ができるようになる。

内閣府は、2年後の2020年には高速道路と自動車専用道路で自動運転を実現するとの目標を示している。
「みちびき」の本格的な運用の開始で自動運転の実用化が大きく進むと関係者は期待している。
誤差が数センチというみちびきの精度は自動運転には欠かせない。また、さまざまな自動化で省力化が可能になり、まさにこれからの社会を“導く”衛星。

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[ 2018年11月 1日 ]

 

 

 

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