米トランプ政権が韓国の北朝鮮制裁緩和を支援している実態
9.19平壌宣言で、年内にも南北鉄道連結調査と道路の連結を主要路線で行うことを宣言している。しかし、鉄道連結や道路連結調査は、北朝鮮側にも調査機材を搬入する必要があるため、年内は連結調査式のセレモニーだけで終了すると見られていた。
ところが、ワシントンで開催されている米韓作業部会で20日、韓国のイ・ドフン外交部朝鮮半島平和交渉本部長と米国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表とのTF初会合後、イ・ドフン本部長が「米国側が、南北鉄道共同調査事業に対し、全面的支持、強い支持(strong support)を確認すると明らかにした」と述べている。
これは、鉄道の連結調査を好きなだけやりなさいというご朱印状をいただいたもの。国連制裁では、機械の北朝鮮搬入は制裁対象だが、米国のお墨付きがあれば、関係ないこと、韓国は本格的に調査に入れるようになった。
すでに、海域や河川域の共同利用では、双方が、漢江とイムジン河が交差するところからイムジン河の黄海河口域までを船に同乗して調査を開始している。
平壌合意では、国境から一定の幅で飛行禁止区域の設定や地雷原の撤去など、軍事的な部分も多く合意し、それを後追いで米軍に了解させ、実行に移している。
ただ、この軍事面での合意内容につき、米国側への事前通知を文大統領が平壌を訪問する2日前に米側に提出し、米国側はまったく検討する時間がなかったとして、韓国に対して不満を表明していただけでもある。
文政権にとって、今回、鉄道連結の具体的な動きを米側に伝え、了解を得たことで、北朝鮮に対して、面目も立つものとなった。
文大統領は現在、金正恩委員長の韓国訪問の実現に向けた段取りにのめり込んでおり、よい材料として歓迎するものとなった。
こうした動きの中では、金剛山観光の再開のための事前調査もおのずと米側は了解するものと見られる。
1歩譲歩すれば百歩譲歩するのも同じこと。このままだと、年明けに予定されている第2回目の米朝会談では、「終戦宣言」どころか「部分制裁緩和」もトランプも手ぶらでは会えず、了解する可能性すら出てきている。
文大統領や中国・ロシアは、北朝鮮に対する制裁緩和を北朝鮮の核完全廃棄の呼び水にするということで一致している。それにトランプ氏も同調することになろうか。
文大統領としては、米側については、トランプのご機嫌を取っていれば、ほかは一切無視してもよいと思っているようだが、トランプも「米国の了解なしに韓国は何も決定しない」と発言し、韓国を少しはけん制している。さらに米マスコミも文大統領の前のめりを騒ぎ立てることから、米国に対して100%了解を前提として順次了解を求めながら進めるものと見られる。
ただ、今般の米側の了解事項は、北朝鮮に対する国連制裁に抵触するおそれがある。
「アメリカと100%ともにある」と宣言した安倍首相の最近の動きは、米国離れも加速させている一面もある。トランプは選挙に無我夢中で、自らのことと、支持派だけに対して政治を行う姿勢を鮮明にしており付き合うにも限界がある。トランプのような権力を持つ人物とは、付かず離れずの関係が最良の関係だろうか。
トランプほど優柔不断な大統領はフィリピンの人殺し大統領ドウテルテしかおらず、自分の思い通りにならない裁判官を誹謗中傷するなど最近はドウテルテのように独裁色も鮮明にさせている。
こうしたトランプの動きに気をよくして、反日攻勢を強める文在寅は「癒し財団」の法人の痕跡すら抹消する法的手続きに入っている。韓国の歴史上からその存在した事実すら抹消する動きをしている。
安倍首相も「政府間合意を軽々に破棄するならば、国家間の約束事は何もできず、付き合うこともできない」と文政権に対して鮮明に表明しており、それを貫き通すことが大事だろう。
徴用工裁判は、今後大量に増え続け、裁判過程をいちいちマスコミが報道することにより、文政権は長期にわたり反日を国民に洗脳・醸成させる格好の材料にしている。
治外法権国の大統領とは、先般のパプアでの会合のように相手にしないことが大肝心。
トランプも銭・金に執着し、文大統領と似たようなものだろうか。
トランプは、日本に対して自動車の輸入量の総量規制を持ち込むようだが、米国が仕掛けた対中貿易戦争、輸出も輸入も高関税をかけられることになるGM(2017年実績、米国販売300万台/中国販売406万台)は、トランプが予想だにしない厳しい経営に直面し、目先、人員削減も必至になろう。現実の無知から何事もお気に入りの政策だけをゲーム化して興じる人物。