アイコン 韓国軍内の女性性被害91事件の判決文分析/ハンギョレ

 

韓国では空軍女性兵士が男性の上官に性暴力を受け、所属軍に告発するも隠蔽され、結果、自殺した事件で、遺族が大統領府の国民請願HPに調査してほしいと請願したことから、国民に知れ渡り、マスコミを取り上げ、大統領自身が直接言及、空軍トップの参謀長が辞任するなど波紋が広がっている。
こうした隠蔽体質は、以前から事件として多く取り上げられたものの、根本的な解決策が講じられてこなかったことに起因している。それは何故か、ハンギョレ新聞は過去の多くの事件を焦点に当てることで次のとおり導き出している。

軍事裁判所の判決文インターネット統合閲覧・検索するサービスで、「女性軍人」をキーワードに抽出した5年半の91件の判決文(2015年1月1日~2021年6月1日)を全数分析した内容を報じた。(当分析は裁判なった事件のみであり、泣き寝入りしている女性軍人たちは山ほどいると見られる)

それによると、女性軍人が被害者の事件の罪名としては、強制わいせつや準強姦などの性犯罪が88件で全体の96.7%、ほとんどだった。
このうち、強姦や準強姦など深刻な性犯罪も20件(21.9%)に達した。
部隊内部や業務後の飲み会、休憩を取る女性軍人の宿舎まで、女性軍人が性犯罪から安全な場所はなかった。
上命下服の階級章文化や女性軍人に対する性的対象化、男性軍人より業務的に劣等な存在として扱われてきた軍内外の認識が、軍内の蔓延した性犯罪の背景となっている。

<女性軍人対象の性犯罪、44%が部隊内>
空軍整備庫、軍需科事務室、遊撃訓練場、喫煙場、射撃場、所属部隊の兵舎…。
業務空間であるべき軍部隊が性犯罪の場所となっている。判決文に登場した性犯罪の発生場所としては、部隊内部が40件で全体の43.9%を占め、最も多かった。
 「いたずら」や「励まし」を口実にした身体接触と強制わいせつは、業務空間ならどこでも起きていた。
加害者らは、訓練支援のために他の部隊に移動する状況でも、車の中で強制わいせつが起きた。
通常、職級上の下官である被害者たちは、このような強制わいせつに侮蔑を感じながらも耐え、数回繰り返されてからようやく軍の捜査機関に通報した。

強姦や準強姦などの深刻な性犯罪は、部隊の外で、会食やプライベートな飲み会の前後に主に発生していた。
飲食店3件、カラオケ店8件、帰宅する車の中7件などで起きた性犯罪ケースだった。飲み会の席で男性上官がそれとなく女性軍人の体に触れたり、カラオケでチークダンスを強要したり、無理やり口を付ける場合もあった。
泥酔して意識がない女性軍人を、男性上官がモーテルや宿舎、車などで性的暴行を加えた事例(準強姦、準強制わいせつなど)も11件に達した。

<女性宿舎での犯罪行為>
女性軍人が休息を取る私的な生活空間も性犯罪の場所になっていた。
判決文に盛り込まれた犯罪のうち、23%が女性軍人の宿舎で起きた。
その中でも女性軍人の宿舎に忍び込んで物を盗んだり、わいせつ行為をするなどの犯罪が10件に達した。
2019年、某陸軍兵士は未明、女性軍人たちが住むマンションに14回にわたって侵入し、自分の体液をトイレに備えられたボディソープに混ぜて、執行猶予を言い渡された。
携帯電話や小型カメラなどを利用した盗撮事例もあった。
昨年5月、ある陸軍は女性シャワー場の換気扇の羽の隙間から携帯電話を入れて動画を撮影していたところを発覚した。
被害者は自分と同じ所属部隊で一緒に勤務する女性軍人だった。
2017年には、ある空軍兵士が女性の休憩室に忍び込み、補助バッテリー型の隠しカメラを設置して摘発された。

<6割が上官による性暴力>
 昨年1月、部下将校にわいせつな行為を行い、罰金刑を言い渡されたある陸軍部隊将校は、被害者に対し、人事上の評定権を持ち、それを強調し、性暴力に及んでいた。こうしたせい暴力は57件、62.8%sが最も多い理由だった。
 被害者の女性軍人は、初任地に赴任、長期服務評価を控えた副士官で下士18件、軍曹6件が最も多かった。
中尉・大尉など尉官級将校の女性軍人も被害にあったケースも13件で少なくなかった。
判決文で確認された加害者は、副士官と尉官級将校それぞれ13件、佐官級(大佐、中佐、少佐)の5件など、主に初級幹部の人事評価に直接・間接的に影響を及ぼし得る人物たちだった。
軍人を職業に選んだ被害者にとって長期服務の有無は、性犯罪のもみ消しのための懐柔の道具として使われた。
2017年、ある陸軍部隊の主任元士は「父親だと思ってほしい」と言いながら所属部隊の副士官の女性にわいせつな行為をしたが、被害者がこれを通報すると、「長期服務希望なのに、主任元士を責めていいのか」と事件をもみ消そうとした。
被害者たちは「長期服務に悪影響が出る可能性がある」という理由で通報を見送り、我慢していたという。
2017年に発生した性的暴行事件の判決文を見ると、被害者は「長期選抜、進級など職業軍人の夢を繰り広げる」ため、我慢していたが、加害者が何食わぬ顔で持続的に酒席への出席を勧めることに耐えかねて通報したケースもあった。
女性軍人が上官の場合も軍の性犯罪から安全なわけでもなかった。
下官が女性上官を性的に侮辱したり、性的暴行を加える事例も9件(9.8%)もあった。男性と女性というジェンダー間の位階が、軍で絶対的な階級的位階を圧倒したケースとなった。

<軍事裁判所の性犯罪実刑判決は僅か16.4%
軍事裁判所の処罰は、民間裁判所に比べて軽すぎた。全体判決のうち15件(16.4%)だけに実刑が言い渡された。執行猶予53件(58.2%)、罰金刑15件(16.4%)、宣告猶予は3件だった。
実刑率だけで見れば、性犯罪で起訴された民間人が1審裁判で実刑を言い渡される比率は25.2%で、軍裁判決はより低い数値となっている。
2017年、高等軍事裁判所は食事の途中、女性軍人の首や肩、腰などをしつこく触ったある将校に対し、「開放された飲食店で行われており、通常の腰のマッサージと見られる」として無罪を言い渡した。
2019年10月、第3軍団普通軍事裁判所は、女性軍人の宿舎に無断侵入し、ツイッターで知り合った未成年被害者の裸写真を流布した軍人に懲役2年の執行猶予4年を言い渡した。「執行猶予以上の前科がなく、犯行を自白し反省している」という理由だった。

特に軍事裁判所は刑を宣告する際、「数年間誠実な軍服務をしてきた」とか「同僚部隊員が嘆願書を提出した」などの理由を減刑する場合も多かった。

2019年に高等軍事裁判所は、後輩の女性軍人を自分の部屋に誘引し、わいせつ行為をした被告人に対し、「被害者が依然として被告人の処罰を望んで」おり、罪質が良くないとしながらも、「被告人の指揮官をはじめ部隊員たちが被告人の善処を懇願している」として、執行猶予を言い渡した。

女性軍人を“同等な同僚”として見られない軍内の男性中心主義の文化の変化が必要となっている。
2017年、某軍人は「僕は女性軍人の前に立つと手が震えて評価を受けられない。生物化学兵器防御訓練の女性将校はきれいで、手が震える」と述べ、女性将校を告訴した。これに対して逆に誣告罪の罰金刑が言い渡された。

関係者によると、女性軍人を対象とする性犯罪が上官や下官を問わず頻繁に起きている理由は、最終的には女性軍人を同等な同僚と見なさない軍内の認識によるものとみられる。
女性軍人に対する性犯罪を単なる一部の男性軍人の逸脱として扱うのではなく、軍内の男性中心文化に対する全般的な認識改善と反省が必要としている。
以上、ハンギョレ参照

韓国軍の実態の一面がわかる内容となっている。

 

[ 2021年6月 8日 ]

 

 

 


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