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高水準だった国内の不動産売買に減速感が出ているという。
総合不動産サービス大手のJLLがまとめた投資分析レポートによると、2018年通年の日本の商業用不動産投資額は、速報ベースで前年比▲6%減の3兆9010億円(ドル建ては4%減の355億ドル)となった。

また、下半期の2018年7~12月の取引額は1兆7290億円と前年同期に比べ▲34%減と急減している。半期の取引額としては6年ぶりの低水準。

これまで欧米市場などに比べ値ごろ感があると積極的だった海外勢が購入を控え始めた。潤沢な世界のマネーが日本の不動産市場にも流れ込む構図に変化がみられる。すでに中国勢は、一時外貨が急減し、外貨不足が懸念されたことから中央政府が、中国3大不動産開発会社の万達・安邦・海南に対して融資制限、安邦は破綻させられ、海外所有不動産を強制処分、万達と海南は自主的に海外不動産や国内不動産を売却して資金調達、かろうじて生き延びている。概して中国からの海外不動産購入熱を中央政府から冷めさせられている。

また、中国経済は、米から仕掛けられた米中貿易戦争により、米国は7月から本格制裁に入り、7月340億ドル相当に対して25%、8月160億ドル相当25%、9月2000億ドル相当10%の追加関税を課しており、中国経済は一時的に制裁駆け込み需要も発生したものの、製造業は11月から急低迷している。こうしたことを受け、消費者の自動車購入台数も7月から前年比でマイナスに、9月からは2桁マイナスになっている。

欧州経済もブレグジッドを前にすでに低迷しており、気勢を上げているのは米国ばかり。ただ、それもオバマ政権時代から長期の好景気が続き、金利も上昇、一部にはピークアウトしたのではないかと見られている。

日本の場合、東京都心の再開発が火付けとなっているものの、ほとんど出揃った感がある。完成時は第1次が~20東京五輪前、2次が2022年、3次が2025年となっている。
日本の大企業はアベノミクスで空前の利益を計上しているものの、労働分配どころか、ほとんど整備投資や事業投資は行わず、株主還元策の高配当と自社株買いに浪費している。その中で唯一。投資しているのがオフィス投資、好立地の再開発ビルのほとんどはすぐ埋まる状態で、既存ビルも空き室が大幅に不足状況にある。
都心の大再開発は、古いビルに入居していたテナントが移転するため、空き室率を減少させる結果にもなっている。
国内の私募ファンド・不動産会社による500億円以下の取引額は、前年比同程度の水準を維持しており、一般的な市況感としては数値の落ち込みほどの停滞感はない状況となっている。

ただ、企業業績が鈍化すれば、こうしたオフィス投資も一気に萎み、再開発や新築は減少すると見られる。
以上、再開発ブームは続き、地価を押し上げる大きな一因となっている。
そのため、海外の買い付けが減少しても、日本勢がしばらく代賛して不動産売買は続くものと見られる。
しかし、リーマンショックの1年前にサブプライム問題が発生していたが、その前から海外勢の多くの不動産ファンドが撤退した経緯があり、海外勢はすでに日本の不動産はピークに達したと見ている可能性もある。
同じことは繰り返される。
アベノミクスにより企業の業績と地価はバブル化しており、いつかははじけるもの。

<↓空き室率や賃料は三鬼商事資料によるもの>
 

全国主要都市のビジネス街区の空き室率
2018年12月
2017年12月
 
平均
新築
既存
平均
新築
既存
東京
1.88
3.07
1.85
3.12
9.43
3.02
札幌
2.33
23.41
2.00
2.39
0
2.41
仙台
4.40
-
4.40
6.18
0
6.21
横浜
2.55
-
2.55
5.06
84.34
3.98
名古屋
2.72
-
2.72
4.27
6.40
4.21
大阪
2.83
9.24
2.80
3.68
0.55
3.71
福岡
2.04
1.77
2.04
3.07
-
3.07
全国主要都市のビジネス街区の平均賃料/坪当たり:円
2018年12月平均賃料
2017年12月平均賃料
 
平均
新築
既存
平均
新築
既存
東京
20,887
29,804
20,604
20,887
29,804
20,604
札幌
8,757
 
 
8,448
 
 
仙台
9,109
 
 
9,010
 
 
横浜
11,377
 
 
10,965
 
 
名古屋
11,152
 
 
10,926
 
 
大阪
11,423
 
 
11,267
 
 
福岡
9,974
 
 
9,480