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日本と中国が、液化天然ガス(LNG)運搬船建造で協力することになった。
日本の3大海運会社の1社である商船三井(MOL)と中国第1位の海運会社、中国遠洋海運集団(COSCO)とは8月6日、LNGおよびエタンガスの輸送プロジェクトでの協力を拡大する覚書を締結したと発表した。

商船三井と中国のCOSCOとは今回の覚書を通じ、日本と中国がロシアと投資合意した北極海のLNG開発事業であるヤマルLNGプロジェクトなど新規のLNG輸送契約の確保に乗り出すとみられる。
 日本と中国が、新たな輸送事業に必要な新規のLNG船の発注を中国の造船所にまとめて発注すると見られる。

その背景には、川崎重工が2007年に中国進出、国営海運会社の中国遠洋海運集団有限公司(COSCO)と組み、大連市で大連中遠海運川崎船舶工程有限公司(DACKS)での合弁造船事業を展開、同じくCOSCOと組み南通市で南通中遠海運川崎船舶工程有限公司(NACKS)との合弁造船事業において、大型船舶を建造している。
また、川重は国内での造船での生き残り戦略をLNG運搬船建造にターゲットを絞っている。当然、中国では、COSCOが発注する大型商船の建造をCOSCOとの合弁造船2社で建造している。

DACKSでは今年3月、長さ550メートル、幅員68メートルの超大型ドッグが完成、800トン門型クレーン2基を含む4基のクレーンを装備。これまでの1ドッグ体制から2ドック体制に移行した。

なお、中国では、国営の中国造船1位の中国船舶工業(CSSC)と同じく国営で2位の中国船舶重工業(CSIC)の統合も予定されている。
 
中国と日本は、中国国内での合弁造船所の建設も控えている。中国最大の民営造船会社、揚子江船業集団と日本の特殊船専門企業、三井E&Sの合弁会社が今月にも立ち上げられる予定。
新たにスタートする合弁会社は、小型LNG運搬船の技術開発に注力する。中国と日本の造船業界が合弁会社を設立するのは今回が初めて。
 船舶市場の需要を主導しているLNG船の場合、韓国が圧倒的なシェアを握っているが、LNG船の建造はこれまでも日本は建造してきており、技術は蓄積されているものの、建造コストが高く、政府支援も受ける安価な韓国勢を前に受注できず、敗退してきた経緯がある。
 日中間の雪解けにより、経済協力を拡大したい日本であるが、米中貿易戦争により経済的な協力や支援は限られている。
 そうしたことから、米政権に影響されない造船分野で協力するものと見られる。
眼下、国際海事機関のIMOでは、来年から始まる外航船の硫黄酸化物排出の大幅削減させることを決定している。船舶は低硫黄酸化物重油の使用か、硫黄酸化物除去装置を取り付けるか、LNGを燃料にするか迫られている。
 LNG運搬船は、韓国勢BIG3が世界の発注船舶数の85%(2018年、52隻)を受注している。そのBIG3のうち、政府お抱えの大宇造船海洋を現代重工業が吸収合併する。合併後の寡占化や政府支援は市場の競争力を弱めるとして日本は当合併に対して慎重な姿勢を示している。

 韓国の造船業は、過去の日本政府のバカボンたちが韓国と癒着して、造船業界がブーメラン現象が生じると慎重な姿勢であったものの、強制的に技術供与させ、結果、日本の造船業は韓国勢によって駆逐されてしまった。造船大国の日本で活躍した大手造船会社は全滅している。今でも韓国の造船現場では日本の造船用語が日本語のまま飛び交っている。

2019年5月現在の手持ち造船量(英クラークソン調べ)は、
中国が2,947万CGT(世界シェア37%)、
韓国が2,112万CGT(26%)、
日本が1,409万CGT(18%)。
韓国は2013年当時3,500万CGTあまりで、2015年でも2963万CGTとなっていた。中国や日本は国内海運会社からの受注があるが、韓国は限られ、バーゲンセールで海外から主に受注している。

韓国の造船業界では、中国のLNG船建造技術は5年韓国から遅れているとみているが、日本の川重が中国第1位の海運会社のCOSCOとの合弁造船会社でLNG運搬船を建造すれば、5年の差は一機に縮む。
ただ、PSR技術特許(LNGの運搬中に発生する自然気化ガスを再液化して貯蔵するシステム)を韓国勢が有しており、この問題をクリアする必要がある。いつものように韓国勢3社は係争事件にしており、現在、大法院で争われている。大宇と現代+サムスンが係争、現代が大宇を吸収合併することから、今後、現代とサムスンの係争事件となる。2012年に大宇が特許を取得したのが始まり。
以上、
8月12日朝鮮日報が「LNG船最強者」の韓国造船所をけん制するために協力する中・日」と題して、デタラメな内容の記事を掲載していたので、ほとんど修正して書き直したもの。

<ヤマルLNG開発事業>
天然ガス埋蔵量はロシア最大とされるヤマル半島を開発するこの計画はJSC Yamal LNGが進めている。
1期目の株式保有比率はノヴァテク(ロシア)が50.1%、トタル(フランス)と中国石油天然気集団が20%ずつ、シルクロード基金(中国)が9.9%、総投資額は270億ドル。2017年に生産開始、21年に完全稼動を予定。
2期目は「北極LNG-2事業」と称し、2020年に着工、23年に生産に入る予定。当事業に三井物産ら日本勢が10%出資で今年7月1日契約している。総投資額は3兆数千億円と予想されている。

中国側のLNG運搬はCOSCOが担当することは間違いなく、三井物産関係を商船三井が担当し、相互に協力することで効率運搬が可能となる。ヤマル1期目でも商船三井は破氷LNG運搬船を3隻出している。

今回は、COSCOと商船三井が提携、COSCOと合弁した川重の中国造船所で破氷型LNG運搬船を建造すれば、中国経済にも寄与することになり、日本にも利が落ちる。
(できるならば日本の川重の造船所で建造してもらいたいものだが・・)
以上、