アイコン スマホ年1回充電への道開く/NTTが光トランジスタ開発

Posted:[ 2020年2月17日 ]



NTTは信号処理に「光」を使う光トランジスタを開発した。
これまでの電子信号を使うのと比べて低消費電力で高速処理を可能にし、消費電力はこれまでの100分の1を目指す。
スマートフォンのデバイスとして応用できれば、1年間充電不要になる可能性も秘めている。
実用化へのハードルはあるものの、次世代のキーデバイスとして注目される。
トランジスタは信号を増幅したり、信号のオンオフを実行したりする電子回路の最重要デバイスだ。トランジスタを集積することで、CPU(中央演算処理装置)が構成される。

<光と電子回路を融合>
NTTは世界最小のエネルギーで、微弱の光信号を入力したうえで、増幅した光信号として出力することに成功した。光トランジスタ、光―電気変換デバイスの成果を、2019年4月に英科学誌「ネイチャー フォトニクス」のオンライン版で公開していた。

光を閉じ込められる「フォトニック結晶」と呼ぶ、極小ナノ構造技術が、今回のデバイスを可能にしている。
「シリコン結晶の薄膜に光の波長よりも短い200ナノ(ナノは10億分の1)メートルという非常に小さな穴を周期的に開けると、光が結晶内に閉じ込められる『絶縁体』としての機能を持ち始める」(NTT物性科学基礎研究所ナノフォトニクスセンタの納富雅也センタ長上席特別研究員)

多数の微細な穴が開いた人工構造物「フォトニック結晶」は近年、活発に研究されている。フォトニック結晶が光トランジスタを実現するカギとなる。



このフォトニック結晶に、外部からもう1つ光信号を入力すると、閉じ込められた光の出力をオンオフできる。トランジスタの1つの機能であるスイッチを光で実現できる。

この光スイッチを集積すれば原理的にはCPUを構成できそうだが、いくつかの条件をクリアしなければならない。
光回路を電子回路ほど集積して実装することがまだ難しい。さらに光だけでは、トランジスタのもう1つの特性である信号の増幅に大きなエネルギーが必要となってしまう。

そこで、NTTは光と電子回路を融合して動作させることで、それぞれのメリットを結びつけたデバイス技術を開発した。
極小のデバイスの内部で光と電子回路を融合することで、低消費電力の光トランジスタを実現する。
実際に光と電子回路を融合するためには、電気信号を光信号に変換、または光信号を電気信号に変換するという処理が必要になる。
従来はこの変換の部分で、消費電力が増えてしまう点が課題だった。そこでNTTは、デバイス自体を小型化することで消費電力を抑え、「従来と比べて数十分の1に低減できるデバイスをワンチップ化した。内部では光と電気を変換しているが、外から見ると光を使ったトランジスタそのものになっている」と納富センタ長は語る。

<「光」で情報通信の世界変える>
この低消費電力な光トランジスタ技術の開発が、端末まで含めて光で情報処理をするというNTTの「IOWN(アイオン)」構想のベースになっている。

アイオン構想では電力効率を従来の100倍に向上するという目標を掲げている。
こうしたデバイスがスマートフォンのCPUに置き換えられるとすると、1年間充電不要になることも夢ではない。
電子回路中心で発展してきた情報通信の世界を光によってゲームチェンジを図ろうという壮大な挑戦となる。新構想ベースとなるのが光トランジスタ技術。
半導体の性能が1年半で2倍になるという経験則「ムーアの法則」。
通信産業はムーアの法則に沿って大きな発展を遂げてきたが、ここに来て性能が頭打ちになるという限界が叫ばれるようになってきた。
処理が高速になるほど消費電力が膨れ上がる。今後、ネットワークやデータセンターを飛び交うデータ量が爆発的に増えていくと予想されるなかで、地球に優しい省エネルギーの情報処理基盤が求められている。

NTTはこうした課題を「光」で解決しようとしている。
電気信号と光信号を比べた場合、光のほうがデータを処理する際のエネルギー効率が高く情報の伝達も速い。
もっとも、実現にはまだまだ乗り越えなければならないハードルはいくつもある。
納富センタ長は「実際にはまだ1つのチップが出来上がっただけ。演算できるように、これから回路化していく必要がある。様々な集積技術が必要になり、CPUに光技術が入るのは10~15年先ではないか」と説明する。
光トランジスタはその第一歩。
以上、日経参照

利益が出て満足したら、それは後退をも意味する。経団連は東南アジアの給与に日本国民をしてしまいたいようだが、経団連傘下の企業はアベノミクスにより莫大な利益を得たが、生産効率を図るためどれほどの投資をしたというのだろうか。従業員の報酬を減らして利益を上げる構造は、小泉時代の聖域なき削減の企業版で、従業員の大リストラを行い、変わって非正規雇用者で穴埋めし、巨額利益を出した当時とまったく同じ思考、先がない経団連の爺さんたちに将来の日本をゆだねることはできない。
困らなければ知恵は沸かない。経団連の爺さんたちは時代錯誤な過去の経験を持ち出すことしか脳味噌は働かない。
NTTのように研究開発を熱心にしてもらいたいものだ。将来のために。

 


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