アイコン 18日、クルーズ船に乗船した神戸大・岩田健太郎教授の弁

Posted:[ 2020年2月20日 ]



19日現在621人の感染者まで増加した感染者見込み者を乗せたまま完全隔離のクルーズ船、感染症専門家である神戸大学の岩田健太郎教授は18日、クルーズ船に入ったものの1日で追い出されたとして、日本政府の対応を批判する動画をYouTubeにアップした。
この映像は、英語版も合わせ多くのアクセス数を記録し、世界のメディアが注目して見ている。

岩田教授は、
「エボラとSARSが広がった時、アフリカと中国の現場にいた」とし、
「アフリカでも中国でも怖くはなかったが、ダイヤモンド・プリンセスの中はものすごい悲惨な状態で、心の奥底から恐いと思った」と語った。

また、感染症が拡散する現場は通常、ウイルスのいる「レッドゾーン」と安全な「グリーンゾーン」が区別されており、専門家は身体を保護できるが、ダイヤモンド・プリンセス内は区別されておらず、「ぐちゃぐちゃの状態だった」と指摘した。

岩田教授はさらに「どこにウイルスがいるのか分からない状態だった」とし、マスクをつけていない乗務員、熱があって客室から出て医務室に行く人もいたという。
船内に常駐する感染症の専門家もいなかったと指摘した。

岩田氏は18日に厚労省の許可を得て同船に乗り込んだが、同日夕方5時に突然下船命令を受けたと話している。



一事が万事
厚労省は、中国・湖北省からのチャーター機での帰国者に対して、当初、帰宅を許可したものの、批判が出ると、ホテルと施設での隔離に方針を変えた。それも2名は検査さえ拒否して帰宅していた。
最初のチャーター機の帰国者は、千葉県のホテルに隔離したものの客室が足りず、一部は相部屋を使わせた。実際に相部屋を使った2人の感染が確認されている。

国立感染症センターと当時の政府(小泉時代、安倍首相は当時官房副長官)は、中国SARSでパンデミックだ、水際作戦だ、タミフルだなど大騒ぎになったが、マニュアル化を図らなかったことに今回の問題が起因している。
訪日客4000万人構想に、すでに3100万人が訪日する時代、クルーズ船も全国各地に大量に寄港し、日本発着のクルーズ船も多くなっている現実。
当然、そうした時代の感染症対策にマニュアルを作る必要があるが、付いて行けず、有効な対策マニュアルを作ってこなかった国立感染症センターの責任は重いといえる。厚労省はさらに責任が重い。
センターの業務量は増加する一方、政府は票につながる公共投資予算は大盤振る舞いしながら、学術研究やこうした医療研究機関への予算をケチり続けている。政府は同じ省管理の米CDCと日本のNIHの違いは何なのか再考してもらいたいものだ。

今時の政治家は、上から下まで責任は取らず、言葉巧みに隠蔽だけがうまくなっているようでならない。政治の大義は何ぞや。未来への責任は。

今回を教訓に対策マニュアルを作り、そのマニュアルにより各省、各局・部門、各自が役割を分担し、マニュアルに基づき行動すれば、こうした混乱は、今後はないだろう。
マニュアルに基づき、感染検査体制や官民病院施設への入院体制の定期的なチェック、入院しない人たちの待機所としての、ホテルや官庁・企業の研修所などと常に契約しておく必要もある。そうした防疫体制こそが今回求められている。

 


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