アイコン 【破綻解説】 ip20の破綻について

社 名:ip20株式会社
代表者:中井 稔
所在地:東京都港区港南5-1-53(天王洲海そば)
支店:神戸市中央区江戸町94-2
設 立:1984年2月
資本金:4億9,990万円
破 綻:9月1日事業停止、自己破産準備中、
代理人弘中徹弁護士(電話03-5275-5656)ほか
負債額:約8億円

ip20は、1975年にドイツで開発された国際的な空間装備システムの構法・金具・建材全体の総称であり商標、それをそのまま社名にしたのが、破綻した同社である。
日本でもip20のシステム家具を取り扱う会社は何社もあるが、同社は東京という大舞台を市場に活躍していた。
ip20のシステム家具は「エミッションクラスE-1」という、最もホルムアルデヒドを含まない最高品質のドイツ製パーチクルボード(粉チップを固めたもの、国内での試験結果は、日本工業規格JIS Eoタイプを認定)で構成されており、人に環境に優しいパネルで構成されている。そのため、一般住宅、マンション、オフィス、店舗&ショールーム、医療施設等幅広いニーズに応えることができ、完全なオーダーメイド、機能的な自由な空間づくりができる。IT富裕層が特に好むシステム家具であった。 
05年12月期には年商約21億円を計上、輸入は同社の関連会社の日本アイピー(株)、施工は(株)アイピー・ワークで行い、一貫した体制をしいていた。ところが、07年には米国のサブプライムローン問題が日本にも波及して、デベロッパーの破綻が始まり、リーマンショックで世界経済が狂い、直下型の不景気に突入した。当然同社の売上高は、マンションや住宅、オフィスビルの建築に左右されることから、売上高も半減。輸入・販売・施行の一貫体制の経費が逆に経営を圧迫、支えきれずに今回の事態となった。

日本の住宅は、当初よりユニット家具の1種であるクローゼットが取り付けられており、また今ではウォークインクローゼットも作り付けが当たり前になってきている。
欧米や中国の特にマンションでは、住宅内部を自由に設計することができ、こうしたシステム家具が重宝されるが、日本の在来工法の木造建築では一部屋の空間が限られ、こうした家具の普及は限界がある。しかし、最近では大空間の部屋を持つマンションや鉄骨・ツーバイフォーの住宅も増加、システム家具のニーズは高まりつつあった。しかし、一部を除きユニット家具の領域での使用であったため、ニーズが限られ、今回のような不況による住宅からマンションまで急減する事態では、同社は手のなす術もなかったと思われる。
 景気の波に乗り、勢いで経営をすれば、それなりの成果は上がるが、経営では景気後退局面での防御を常に換算しておく必要がある。しかし、経営者も人、バブル化して直ぐ要のところを忘れてしまう。
現実、システム家具は通販物で事は足りており、本物志向の人が好むip20の世界である。

ip20の本拠地、天王洲ショールーム

ip20

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当建物の所有者は謄本を上げていないことから不明であるが、非常に価値ある物件である。好きな方は、弁護士まで。

ip20 

[ 2010年9月 7日 ]
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