アイコン 民事再生破綻の大和システム(株)/再生計画案  会社消滅へ

昨年10月15日負債額約554億円を抱え民事再生法による再建申請した大和システム(株)(大阪市中央区西心斎橋2-2-3、代表:広本和彦)は、2012年1月23日開催予定の債権者集会における再生計画案を策定した。

1.民事再生開始決定後の状況等
  再生手続き開始申し立て以前の事業再生ADR申請時から、事業を抜本的に再生するためには信用力のあるス ポンサーからの支援が必須であると考え、再生手続き開始後、ファイナンシャル・アドバイザー(FA)に依頼して、2段階の入札方式によるスポンサー選定手 続きを進めてきた。その入札結果を受け、不動産事業の主要な一部および温浴事業について、それぞれスポンサーを選定し、事業承継を実行し、対象事業につい てはその再生を図ることができた。

<不動産事業について>

 不動産事業については入札結果、雇用を含め一体的に支援することを申し出た(株)ジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)に対し、2011年3月末までに優先交渉権を付与し、監督委員の同意を得て、JWPが実質的に設立した合同会社ジェイ・エル・オー(JLO)との間で、2011年5月9日、スポンサー契約を締結。
その後、承継の諸条件について協議を重ねた結果、大和システムは、不動産事業については、原則として、
(1)JLOの子会社で新たに設立されたダイシス(株)に対して、2011年9月1日、会社分割の方法で事業を承継し、
(2)それによって取得したダイシスの株式を、大和システムはJLOに対して、同日譲渡した。
ただし、不動産事業のうち、塩屋、DS富士、不動前、舞多聞に関する個別資産については、JLOが基金拠出者として設立した一般社団法人ジェイ・エル・エスを特定社員として設立したダイシスプロパティ特定目的会社(ダイシスTMK)に対して、個別売買の方法により売却。

<温浴事業について>
 
  温浴事業については入札結果、(株)スピードパートナーズ(SP社)に対し、2011年3月末までに優先交渉権を付与し、監督委員の同意を得て、SP社、大和システムの子会社で温浴事業の運営主体である(株)やまとの湯との間で、2011年4月28日、スポンサー契約を締結した。 
その後、承継の諸条件について協議を重ねた結果、大和システムは、温浴事業について、(1)SP社の子会社で新たに設立された湯快生活(株)に対して、2011年9月1日、会社分割の方法で事業承継を行い、
(2)それによって取得した湯快生活の株式をSP社に譲渡。さらに、湯快生活がやまとの湯の事業を譲り受けた。

<建築事業および不動産事業について>
  一方で、スポンサーの承継対象とならなかった建築事業については事業を廃止、不動産事業の一部について個別に売却等の処分を行うべく、関係当事者と協議を進めている。
具体的には、タワーマンションの開発事業である熊本駅前PJについては、当初、ダイシスに対して会社分割の方法で事業承継する予定であったが、発注者である熊本市から、包括承継の方法であっても第三者に対する事業承継を認めることはできないとの正式見解が出されたため、やむなく共同事業体から脱退するに際してしかるべき精算金を受領すべく、現在、関係当事者と協議を重ねている。また、商業施設「ピエリ守山」についても可及的早期の売却を進めるべく、買受候補者との間で協議を行っている。

  以上により、大和システムは、主としてスポンサーから受領した事業の承継等にかかる対価を配当原資として第1回弁済を実施し、その後の個別資産の換価代金等をもって第2回弁済を実施するという再生計画案を策定するに至った。

2.再生計画案の概要
  主として、スポンサーから得た事業承継等の対価を配当原資として第1回弁済を行い、全ての事業からの撤退と保有資産の換価等を終えたあと、配当が可能であれば第2回弁済を実施して、大和システム自体は清算する、いわゆる清算型の再生計画案である。

再生計画案の概要>
  再生債権者に対して、大和システムの積極財産を換価等して得られた金額から、共益債権および一般優先債権の弁済に必要な金額を控除した残額を2回に分けて弁済する。再生債権に対する具体的な弁済条件等の概要は以下のとおり。
(1)第1回弁済
  現在保有する現預金等を配当原資として、再生債権の元本および開始決定日の前日までに発生した利息・遅延損害金(元本等再生債権)の合計額のうち、300万円以下の部分について100%に相当する金額を、300万円を超える部分について10%に相当する金額をそれぞれ算出し、その合計額を第1回弁済として、再生計画認可決定が確定した日から2ヶ月後の日が属する月の末日限り支払う。

(2)第2回弁済
  大和システムの残存する積極財産の全てを換価し、それにより得られた対価と第1回弁済後の残現預金から、大和システムの運営にかかる費用その他の共益債権および一般優先債権の弁済に必要な金額を控除して、なお残余がある場合に当該残余額全額を配当原資として、元本等再生債権のうち300万円を超える金額に応じて按分した金額を第2回弁済として、当該換価が終了し共益債権および一般優先債権の弁済に必要な額が確定した日から2ヶ月後の日が属する月の末日限り支払う(最終弁済)。
 なお、大和システムは、解散決議を行い、速やかに清算手続きを進める予定。

3.配当原資について
  第1回弁済後に最終的に全ての保有財産の換価等が終了したときには、それをもって、再生債権者に対して按分弁済する予定で、現時点において、第2回弁済における原資額は不確定であるものの、第1回弁済に加えて実施するものであることから、清算価値保証原則との関係からしても、再生債権者に対して不利益を与えるものではない。

  大和システムは、第1回弁済後も事業を継続して保有財産(個別資産)の換価作業を継続する予定であるが、再生計画案提出時点において、大和システムに残っている換価作業としては、商業施設「ピエリ守山」の売却、熊本駅前PJの清算金の回収、その他の転貸事業の承継等がある。
それらの作業は、事業を継続して事業価値を維持しつつ進めたほうが円滑でより高額での換価が可能になるものと思われ、債権者の一般の利益にも資するものと解される。
この点、商業施設「ピエリ守山」を保有したまま事業継続が長期化すれば、その管理コストがかさむことも否定できないが、「ピエリ守山」には約80店ものテナントが入居し、仮に大和システムが直ちに破産手続きに移行したとしても、直ぐには営業を停止することはできないことから当面の運営資金を要する上に、早晩営業を廃止するとしても、テナント退店に要する費用等のコストは決して小さくない。
従って、大和システムが事業を継続して、「ピエリ守山」の事業価値を維持しつつ第三者に売却するほうが、管理コスト等を考慮してもなお、配当原資の増殖を見込むことができ、再生債権者の一般の利益に資するものと解されるとしている。
 

[ 2011年12月27日 ]
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