アイコン 続:アルミホイールBBSのワシ興産(株)ら/福井銀行が会社更生法申立て

 小野グループでアルミホイール「BBS」ブランドのワシ興産 (株)(本社:福井市宝永4-3-1、本店:東京都港区高輪2-15-21、代表:小野光太郎)と関連で鍛造品製造販売のワシマイヤー(株)(同、代表: 小野稔)、メガネ用屈折プラスチックレンズ製造の(株)アサヒオプティカル(福井県鯖江市下河端町47-26、代表:小野稔)は10月26日、福井銀行 よって東京地方裁判所へ会社更生法の適用を申し立てられ、保全管理命令を受けた。
負債額は計約366億円。
ワシ興産(株)が約190億円、ワシマイヤー(株)が約140億円、(株)アサヒオプティカルが約35億円。

なお、メインバンクで今回会社更生法を申し立てた福井銀行の貸付金は約181億円、サブバンクの北陸銀行の貸付金は127億円となっており焦げ付いた。

(北陸銀行はメインバンクの福井銀行による長年の粉飾チェックミスに、かなり憤慨しているものと思われる)

銀行が取引先を会社更生法を申し立てるというのは異例中の異例、福井銀行の伊東忠昭頭取は、小野グループの資金繰りの限界とみられていたのは今月末、時間とのにらみ合いの中で、最後は銀行自身の苦渋の決断を行ったとしている。

福井銀行によると、小野グループ側から「資金繰りに窮している」と一報が入ったのは今月初旬だったという。「本当にそうなっているのかよく確認した」と伊東頭取。寝耳に水だったという。

小野光太郎代表が率いる今回のグループ3社のうちワシ興産とワシマイヤーは国内最大級のアルミ合金鍛造メーカー。
鍛造ホイールの製造は「BBS」ブランドで世界的に定評がある。アサヒオプティカル(同)も鯖江市に工場を持ち、眼鏡用高屈折率プラスチックレンズでは、高度な技術力を有し、グループは地域の優等生として知られる。

しかし今回、明らかになったのは、3社が過去10年近くにわたって不正な経理処理=粉飾決算を行い、事実と異なる財務内容を銀行に提出され続け、銀行は見抜けないまま福井銀行として過去最大の損失額を計上、9月中間連結業績予想を修正、赤字に転落する見込みとなった。

福井銀行は、今後につき、小野グループに対して、3社の本業の顧客基盤は強固とみており、経営をスリム化し、存続は可能と見て、また、3社合計で約300人の従業員を抱え、地域経済への影響を回避するためにも会社更生手続きを申し立てるよう提言してきたという。
しかし、小野グループはいったん拒否、現経営陣での再建の道を模索した。ところが、福井銀行は、今月末の資金繰りが行き詰まっている現状では、じっくり時間をかけてやると、その間に信用不安が起きてしまう。無用の不安で破たんになることだけは避けたいと考え、小野代表らトップらとの話し合いで、経営陣が交代して経営を再建する更生手続きという決断に至ったという。

福井銀行は、何よりも今は再建で、われわれが支援することには変わりないとしているとし、経営への参加も示唆している。

ワシ興産(株)は、昭和46年4月の設立。小野グループの中核会社であり、グループの特許権管理や資金資産管理を行うほか、FIにも採用されている高品質で有名なBBSブランド品の製造販売を手掛け、また不動産事業において不動産投資事業も行っていた。
平成21年12月期の売上高は約87億円を計上していたが、平成23年期には不況と東日本震災における自動車業界のサプライチェーン崩壊による影響を受け約32億円まで売上高を急落させていた。
アルミ合金鍛造のワシマイヤー(株)は、昭和46年7月の設立、BBSブランドのアルミ鍛造ホイールを製造するほか、不動産事業も行い平成20年12月期は約120億円の売上高を計上していた。
ワシ興産(株)とワシマイヤー(株)は一連であり、アルミ合金製鍛造ホイールのほか、F1用鍛造マグネシウムレーシングホイールを開発するなど技術力は高く評価され、これまでBBSブランドでFIレースに26,000本を供給(2011年12月末現在)してきた実績と技術力を有する。

(株)アサヒオプティカルは、昭和55年12月に設立された眼鏡、光学レンズの製造業者。昭和59年に小野グループが買収して傘下入り、プラスチック高屈折メガネ用レンズを開発するなどの技術力を有し、海外への輸出も好調で平成20年12月期には約36億円の売上高を計上していた。しかし、リーマン・ショックによる世界不況により国内外の販売は低迷、海外は円高も加わり更に不振に陥り、平成23年期は約26億円まで売上高を落としていた。

<破綻原因>
破綻原因は、日本人がおとなしくなり、警察もうるさくなり、日本の車市場でスポーツ車が全滅、昔はホイールを見て、改造度合いをチェックしていたものだが、今ではBBSホイールを取り付ける車は激減していた(一部レクサスに標準仕様あり)。
海外もリーマン・ショックによる不況の浸透、欧州経済の没落に加え、昨今の円高も加わり輸出を大幅に減少させていた。
 それに加え、同社は、ボロ儲かりしていた頃の資金を、関東や関西で不動産事業に投資していたことから、今では不動産事業も火を吹き行き詰っていた。また、BBSの買収の価格は明らかになっていないが、かなりの買収額になったと思われ、こうした資金流出も破綻原因の一つになったと思われる。

<BBS>
BBSはドイツ企業であるが、2010年12月ドイツで民事再生法の適用申請をして経営破綻、BBS製鍛造ホイールの製造元であるワシマイヤーが、スポーツレーシング部門や鍛造部門のBBSブランドの製造・販売部門を2011年12月買収、今では、小野グループが世界でのBBSブランドの製造・販売権を有していた。

<私見> 
会社更生法により、今後再建は可能だが、不動産事業の撤退、所有不動産の処分、メガネ部門の高値売却などが必要になると思われる。
BBS事業部門については、世界販売戦略が求められることから、福井銀行などの田舎者には手に追えず、ブリヂストンなどのメーカーがスポンサーになることが望まれる。特に営業部門の総責任者は、世界販売に長けたそれなりの人材が必要となろう。

 

[ 2012年10月29日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサード リンク

コメント

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   

↑トップへ

サイト内検索