アイコン (株)サクラダ/破産開始決定

老舗の橋梁・鉄構工事会社で東証一部の(株)サクラダ(千葉市中央区中央2-3-16、代表:曽田弘道)は11月27日、東京地方裁判所へ自己破産を申請し、同日同地裁より破産手続きの開始決定を受けた。破産管財人には、加茂善仁弁護士(電話03-3275-3031)が選任されている。

負債額は約26億9千万円。
同社は明治28年11月創業の老舗橋梁工事業者。本四架橋の「大鳴門橋」(昭和60年竣工)や、「北備讃瀬戸大橋」(昭和63年竣工)など多くの工事実績を有していた。
 同社が命取りとなった平成3年に発生した広島駅傍の高架橋設置工事での橋梁落下事故で多くの人命も亡くして工事の信用失墜、投資事業などにも参入し、平成10年にはハゲタカ投資で100億円超の損失を被るなど何もかもなくし、豊富な資産の売却で凌いできたものの、それも尽き果て今回の事態に至った。
同社には、JFEが社長まで送り込み面倒見ていたが、景気の冷え込みにJFE自身それどころではなくなったと思われる。
今期に入り、受注高も受注残高も大幅に減少、今中間期では地方官庁物件で千葉県の印旛捷水路上部工その4を始めとする3件の受注を獲得することができたとしていた。
 
受注高
 /百万円
前中間期
今中間期
鋼構造物
6,261
1,203
その他
12
1
6,274
1,204
受注残高
 /百万円
前中間期
今中間期
鋼構造物
8,216
4,249
その他
8,216
4,249
 
サクラダの業績推移
非連結/百万円
2010年3月期
2011年3月期
2012年3月期
2012年9月中
売上高
10,910
5,447
4,688
3,059
営業利益
529
-1,711
-799
-189
経常利益
374
-1,862
-854
-312
当期利益
198
375
-542
-321
総資産
11,819
5,120
4,207
4,604
自己資本
1,601
1,976
1,933
2,111
資本金
1,402
1,402
1,652
1,902
有利子負債
7,256
133
86
83
自己資本率
13.5%
38.6%
45.9%
45.9%
・ ピーク売上高はバブル期の平成4年年3月期で、約296億円の売上高を計上していた。
 
サクラダの主要株主 平成24年9月30日現在
株主名
株数/千株
割合
竹山  中三
3,500
1.28
野村證券株式会社
2,629
0.96
サクラダ取引先持株会
2,151
0.78
日本証券金融株式会社
1,822
0.66
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口6)
1,801
0.65
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口3)
1,722
0.63
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口2)
1,512
0.55
株式会社みずほ銀行
1,440
0.52
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口8)
1,337
0.48
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口5)
1,332
0.48
19,246
7.04
 
 
<サクラダの破産申立てのリリース>
1.申立ての理由
(1)   創業から平成16 年3 月期まで
当社は、創業以来、我が国有数の橋梁建設会社として、日本全国に数多くの鋼橋を建設し、交通インフラ整備の一翼を担ってまいりました。
しかし、当社の受注工事の大半を占める公共工事が、景気低迷による財政難を理由に削減されるようになると、橋梁建設業界内の受注競争が激化し、200 億円以上を保っていた売上高は、平成16 年3 月期には100 億円を下回るに至りました。
 
(2)私的整理ガイドラインに基づく私的整理手続による経営再建
売上高の低迷が続くなか、当社は、平成18 年3 月期に受注高が大幅に落ち込んで経常損失を計上するに至り、また保有不動産の多額の減損処理により、同期末時点で大幅な債務超過に陥る見込みとなったことから、平成17 年11 月に私的整理ガイドラインに基づく事業再生計画を策定して、平成18 年3 月に多額の債務免除を受けるとともに、第三者割当増資を受けて、債務超過状態を解消いたしました。
 
(3)公共工事の減少に伴う受注高、売上高の減少
前記事業再生計画に基づく積極的な受注回復策が奏功し、平成21 年3 月期まで2 期連続経常黒字を計上すると、平成22 年3 月期には、潤沢な受注残に支えられ、当期利益の黒字化も達成いたしました。しかし、その一方で、橋梁業界は、長引く景気低迷による公共事業費の削減と、平成21年9月の政権交代による公共事業見直しの影響から、受注競争は熾烈を極め、当社の受注高は、平成22年3 月期以降計画を大幅に下回る結果となり、平成23 年3 月期において18 億6000万円の経常損失を計上することとなりました。
(4)市川工場売却と第三者割当増資による資金調達
このような状況のもと、当社は、平成22 年12 月、長年の経営課題であった多額の有利子負債の解消を図るとともに、売却代金の一部を運転資金に充当することによりキャッシュ・フローを改善することを目的として、会社の唯一の生産拠点であった市川本社工場を売却しました。
一方、当社は、新たな生産拠点として千葉県袖ケ浦市に工場を賃借し、移転計画の策定及び設備等の移設を進めることとし、そのための設備投資資金及び当面の事業継続に必要な運転資金の調達に向け、取引銀行に限らず幅広く金融機関に対し融資を依頼し、金融機関との協議・交渉を行いましたが、平成23 年3 月期に多額の経常損失を計上していたこと等から、金融機関から資金調達を行うことはできませんでした。
そのため、当社は、やむなく有利発行による第三者割当新株予約権の発行により資金調達を図り、設備投資資金及び当面の事業継続に必要な運転資金を調達しました。
 
(5)その後の受注不振
しかしながら、その後も、日本経済は、欧州の政府債務危機問題や円高の長期化、原油価格の上昇、中国経済の減速等により、予断を許さない状況で推移し、橋梁業界における平成25年3月期の第2 四半期の発注量は、前年同期に対し若干上回る程度で推移したものの、高速道路会社による大ロットの大型物件が増加したため、発注件数は大きく減少し、受注競争は更に熾烈なものとなりました。
このような状況のもと、当社は引き続き受注力の強化に取り組み、近時ようやくその成果が現れ、受注が上向いておりましたが、平成25 年3 月期第1 四半期会計期間までの受注不振の影響及び一部工事の進捗遅れ等により完成工事高の減少が続き、また、設計変更対象工事における先行コストの発生及び一部工事の採算性の悪化等により、同期第2 四半期累計期間において1 億9000万円近い営業損失及び3 億1000 万円以上の経常損失、3 億2000 万円を超える四半期純損失を計上することとなったため、資金繰りが逼迫しました。
当社は、かかる資金調達の目処も立たないなか、今般、平成24 年11 月末日を期日とする決済資金の資金繰りの目処がつかず、自力での事業継続を断念し、破産手続開始の申立てを決断するに至りました。
 
2.今後の見通し
今後につきましては、裁判所及び破産管財人のもとで、破産手続が行われることになります。
また、本日付で東京証券取引所の整理銘柄に指定され、平成24 年12 月11 日(火)が東京証券取引所での最終売買日、平成24 年12 月12 日(水)が上場廃止日となる見込みです。
 
(ご参考)
<申立ての概要>
(1)申立日 平成24 年11 月27 日
(2)申立裁判所 東京地方裁判所
(3)事件番号 平成24 年(フ)第14107 号
(4)事件名 破産手続開始申立事件
(5)申立代理人 東京都中央区築地一丁目10 番7 号 西山ビル5 階
功記総合法律事務所:弁護士田 川 淳 一 ほか3 名
(6)破産管財人 東京都中央区八重洲二丁目8 番7 号 福岡ビル7 階
加茂法律事務所:弁護士加 茂 善 仁
[ 2012年11月28日 ]
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