群馬大の生体調節研究所の佐々木努准教授(神経科学)らは、体 重制御中枢のある脳の視床下部で長寿遺伝子「サーチュイン」のたんぱく質を増やすと、メタボリックシンドロームなどの「中年太り」を抑制できることを明ら かにした。ヨーロッパ糖尿病学会の機関誌「Diabetologia」の電子版に26日に掲載された。
制御中枢では、食欲とエネルギー消費量のバランスを調節して体重を一定に保とうとする機能がある。この部分の「サーチュイン」は加齢とともに減少するが、太りやすくなることとの関係性はわかっていなかった。
佐々木努准教授らは、「サーチュイン」を人為的に増やした遺伝子組み換えマウスを飼育し、通常のマウスに比べて加齢に伴う体重増加が緩やかになることを発見した。

一方、遺伝子組み換えマウスに、脂肪や糖分の多い高カロリー食を与え続けると、通常のマウスと同じように体重が増加した。
このことから、高カロリー食を摂取することで、視床下部の「サーチュイン」や、「サーチュイン」を活性化させる化学物質「NAD(ニコチナミドジヌクレオチド)」が減少することも明らかになったという。
佐々木准教授は「今後は「サーチュイン」が加齢や食べ過ぎで減少する原因を解明し、病気の治療法の開発につなげたい」としているという。
徐福さんが日本へ来て、探し求めていたのは、ひょっとすると「サーチュイン」だったのかもしれない。

<沖縄のゲットウも長寿秘薬植物>
琉球大学農学部の多和田眞吉教授は、沖縄で「月桃・ゲットウ」(沖縄通称:サンニンともいう)を20年以上研究している。その成果は、「ゲットウ」の抽出液を、線虫に毎日与えた実験で、線虫の寿命を平均で22.6%ほど延ばすことができたという。 
ゲットウは、大きな緑の葉に白い花を咲かせ、赤い実をつけるショウガ科の「ゲットウ」(ウコンも生姜科)。
沖縄では、野生のものも多く、沖縄の食文化に欠かせないこの植物だが、「ゲットウ」に、抗がん作用があるといわれる「レスベラトロール」も豊富に含まれ、昔から体に良いことは、多くの沖縄県民に広く知られている。
寒い時期に、ムーチー(月桃の葉で巻いた餅)を食べると、子どもたちが風邪を引きにくくなるとか、あるいは、非常に健康になると言われている。
「ゲットウ」には、お茶として飲んで体の中から若返るとの考え方もあるほか、老化防止のために抽出液を肌に塗ることでしわを予防することもできるともいう。今や化粧品にも利用されるようになったゲットウ。今後、長寿食用植物として大きな可能性を秘めている。
多和田眞吉教授は、世界最高水準を保ってきた沖縄県人の平均寿命についても、その要因が伝統的な食生活にあると考えているという。