携帯電話向け半導体生産で世界最大手の米クアルコムは、中国国家発展改革委員会(NDRC)による同社の反トラスト(独占禁止)法違反をめぐる調査で、10億ドルを超える罰金が科される可能性があるとロイターが報道している。
NDRCは、昨年にクアルコムに対する調査に着手し、現在は同社と協議中。クアルコムは今月、調査の根拠はまだ分からないと表明していた。
10億ドルを超える罰金は過去最高額。ただ、協議次第で変更される可能性がある。
NDRCは、IT企業、とりわけ携帯端末と通信網に関する特許技術をライセンス供与する企業への監視を強めており、外国企業は当局から厳しい制裁を受ける可能性に不安を募らせているという。

専門家は、中国で第4世代(4G)高速移動通信サービスが始まるなか、NDRCはコストの引き下げを図っていると指摘する。
ニューヨークの独禁法専門家は「ある意味でチキンレースといえる。NDRCにとって罰金(徴収)は非常に魅力的であるかもしれない一方、クアルコムから同社の技術とそのライセンス供与に関してあらゆる約束を取り付ければ、それも歓迎すべきことだ」と語っているという。

クアルコムは、中国で使われる携帯電話機に搭載された半導体(チップセット)のライセンス料の大半を受け取るとみられる。中国の通信会社は、4G関連の機器に1000億元(164億ドル)もの資金を投じる可能性がある。
中国では、独占禁止法に基づき、NDRCが対象企業に対して、前年売上高の1~10%に相当する罰金を科すことが可能。クアルコムの前年度(2013年9月29日終了)の中国での売上高は123億ドルで、世界売上高の約半分を占めている。
クアルコムがNDRCとの協議で、ライセンス供与など譲歩しない場合、罰金額は極めて高くなる可能性があると報道している。