奥村組は29日、バルコニーや外部廊下など跳ね出し床がある建物を使用 しながら耐震補強できる低騒音・低振動の外付けフレーム増設型「省アンカーアウトフレーム耐震補強工法」を開発し(特許出願済)、実工事に適用した上で、 一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC性能証明 第13-30号)を取得したと発表した。

【背景】
 耐震補強工事では、既設建物を使用しながらの工事を求められるケースが多くあり、建物使用者や周辺環境への影響を最小限にして工事を進める必要がある。
【概要】
 本工法は、跳ね出し床がある建物の外側にプレキャストコンクリート製の補強フレームを取り付け、そのフレームと建物を跳ね出し床の下部に増設するコンクリートスラブで一体化することで、工期短縮を図りながら建物を補強する。
建物との一体化に際しては、連結鋼管を使用し、一般的に使用されているあと施工アンカーの打設本数を低減することで、騒音・振動の発生を軽減する。

【主な特長】
 (1)建物室内の工事が不要なので、建物を使用しながらの補強に適している。
 (2)補強フレームにはブレース材(斜材)が無いので、視界や採光・通風を阻害しない。
さらに、バルコニーや外部廊下内に補強フレームが突出しないので、使い勝手は変らない。
 (3)既設の跳ね出し床と、その下部に打設するコンクリートを連結鋼管で接合することにより、既設梁に設置するあと施工アンカー数を概ね半減でき、工事に伴う騒音や振動の発生による建物使用者への影響を軽減する。
 (4)補強フレームをプレキャストコンクリート工法とすることで、現場打ちコンクリート工法に比べ、工期を2割程度短縮できる。
 (5)工事中の外部足場の設置は、補強フレームを取り付けるバルコニー部(隣戸の一部バルコニーを含む)のみとなるので、工事範囲を少なくできる。

同社は、本工法の建築技術性能証明の取得を機に、工事期間中に建物が使用できないことや騒音・振動が発生することで、実施が見送られてきた共同住宅、病院、学校などの耐震補強のニーズに対して、積極的に営業展開していくとしている。

奥村組/跳出床ビル用「耐震補強・省アンカーアウトフレーム工法」開発