アメリカのシンシナティ大学などの研究グループが、iPS細胞から、食べ物を消化する胃の粘膜の組織を作り出すことに成功した。
ヒ トのiPS細胞を特殊なゲル状の物質の中で4週間ほど培養、直径2ミリから4ミリの細胞の塊を作り出した。そして、この内部を調べると、食べ物を消化する 胃の粘膜に似た立体的な組織が出来ていて、ヒトの胃と同じような多数のひだ状の組織の中には胃液を分泌する胃腺があることも確認されたという。

また、この組織に胃がんの原因の1つとされる「ピロリ菌」を感染させると、初期の胃がんで見られるような細胞の増殖も確認された。
研究グループは、この組織を使えば、ピロリ菌によって健康な胃からがんが、どのように引き起こされるのかを解明したり、新たな抗がん剤の開発を進めたりすることが可能になる。
これまでは、ヒトでは病気になったあとの胃の組織しか見ることができなかったが、試験管の中で、ピロリ菌に感染し、がんが発症していく様子を直接観察できれば、病気の解明や新たな治療法の開発に大きく役立つと期待されている。