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11月4日午後1時、ソウル・明洞の通り。2年前に明洞の通りにあふれていた日本人は見るのが難しく、中国人観光客が時々明洞の通りを背景に写真を撮りまくる。周辺の百貨店も事情は同様。
同じ時刻の東京・銀座。どの百貨店も中国人観光客で溢れている。彼らは手当たり次第にショッピングする。ブランド品には価格表がついており、あえて長々と話す必要はない。嵐のようなショッピングと呼ばれる「爆買」で売り場をさらうのに現金を出す。
昨年10月から免税対象が化粧品や食品などに追加拡大され一般店も中国人観光客で込み合う。

<6年連続して日本より多かった外国人訪問客>
1~9月までの韓国と日本の観光客数は、韓国958万人に対し、日本は1448万人。「煙突のない産業」と呼ばれる観光産業。
韓国は2009年以降昨年まで6年連続して外国人観光客誘致実績で日本を圧倒した。この間にどのようなことがあってこうした結果がもたらされたのだろうか。
通常はMERSが外国人観光客の足を遠ざけ、円安が真空掃除機のように外国人を日本に吸い込んだためだと分析する。

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<東アジア訪問キャンペーンは韓国にはマイナス>
観光産業が未来の収益源に浮上し、11月1日開催された韓中日3ヶ国首脳会談では2020年までに3ヶ国間の人的交流を3000万人に増やすことで合意した。
このため3ヶ国首脳は、東アジア域内観光を促進するため「東アジア訪問キャンペーン」のような共同マーケティングも推進することにした。

韓国はこのキャンペーンで果たして実益を得られるだろうか。現在の韓国の観光産業のあり方ではそうは思えない。むしろ現在の状態では観光客を日本にすべて奪われる可能性が大きくなっている。

アベノミクスの観光産業振興政策を見れば想像が付く。安倍晋三首相は2013年6月に日本再興戦略として観光を成長戦略の柱のひとつに掲げ、2030年に外国人観光客3000万人を誘致する計画を立てた。当初は懐疑論が多かった。1000万人にも満たない外国人観光客をどのように3000万人に増やせるのかという反問だった。
しかし、安倍首相の計画は翌年から成果を出し始めた。2013年には初めて1000万人を突破し外国人観光客が増えると、今年1~9月には韓国を追い抜いた。

こうした傾向ならば年末には2000万人の記録を早期達成するだろうとの観測が出ている。安倍首相の「観光立国政策」は4~6月期の外国人消費額が過去最大を記録し数値でも成果が確認された。
日本の観光庁によると、4~6月期の訪日外国人消費額は前年同期比82.5%増の8887億円だった。
これに対し韓国は1~9月の外国人観光客が前年同期比▲10.3%減の958万人にとどまった。韓日間の観光産業逆転の表面的理由には日本の円安、韓国のMERSのような特殊要因が挙げられる。

<日本の観光政策と競争力の背景>
  しかしこれがすべてではない。果敢な規制改革が日本の観光産業の競争力を一気に高めた。観光客入国のために空港と港湾を速やかに拡充し、宿泊施設の外国人誘致環境を改善した。そして安倍首相はショッピングツーリズムを掲げ観光客が日本で財布を開きながらも楽しい旅行になるようにさせた。このために消費税免除品目を果敢に拡大し、2012年に4173ヶ所だった免税店が、今年4月には1万8779ヶ所に急増した。

規制改革は、日本の観光産業の内部競争力と合わさり力を発揮した。
(1)円安=日本旅行の経費が安くなり観光客が大きく増えるのは事実。
(2)魅力=日本観光の魅力はおもてなし精神から出る。顧客に対してはわずかな粗相もなく接待しなければならないという顧客をもてなす文化が根強い。旅館に行けば夕方に懐石料理が出る時に着物を着た従業員が敷居からひざまずいて入ってきてその日の料理の概念を説明する所が少なくない。
(3)食べ物=日本はミシュランの星(優秀なレストランには星3つが最高)が世界最大。路地裏のうどん屋もサラリーマンが500円にもならない金額でおいしく食べることができる。これに対しグルメも可能で、寿司1人前で3万円の所もある。それだけ日本では飲食サービスの深さと幅が大きく多様。
(4)親切=日本では顧客に対する親切が身についている。
(5)ショッピング=日本は商品が豊富でショッピング天国。価格別に多様なモデルがあり、デザインも差別化されており顧客の心をとらえる。商品化できる祭りも数千種類に達する。
日本が今年の世界旅行観光産業競争力ランキングでアジア1位になったのにはそれだけの理由がある。

<韓国観光産業の危機>
韓国の観光産業が危機を迎えたのは円安の余波が大きい。しかし後進性を免れない慣行が、さらに根本的な問題。安モノ・ぼったくり・不親切慣行は相変わらず。
観光産業成長のカギは「再訪問(リピーティング)」だが、今のようでは、韓国は安いから行く場所というイメージを払拭しにくいように思われる。
世界旅行・観光産業競争力の順位で日本・中国が最近、数ランクずつ跳ね上がった一方で韓国は後退した理由もここにある。

<差別化されない業界の過当競争>
国内観光協会所属の加盟会社はソウルだけで5000社にも達する。それだけ過当競争が激しく高級観光よりも安モノ商品が溢れるほかはない。
チョ・テスク韓国観光協会の国外旅行業委員長は「韓国は観光会社のダンピング競争が激しくて観光が産業で大きくない」として「日本・中国に観光客を奪われないようにするならば国家レベルで戦略的な観光振興計画を立てなければならない」と話した。
それと共に「今はそれぞれ分かれている旅行・グルメ・ショッピングを、水が流れるように一気に楽しめる観光商品の現代化・高級化が必要だ」と強調した。

最近の旅客急増でも、彼ら(外国人観光客)が実際に国内で使って行くお金が多くないことも韓国観光産業の現状となっている。
低価格観光が一般化しながら中国人観光客を集めた中国の旅行会社から国内旅行経費を受けない「No Tour Fee」が拡散しながら国内観光業の出血競争はますます深刻化している。
中国語の応対人材も不足して結局は朝鮮族・華僑の旅行会社だけが特需を迎えているというのが韓国観光産業の実状。
宿泊のためにソウルから2時間ずつバスに乗ることも日常化してタクシー料金のぼったくりも根絶されていない。

<中国人観光のメッカ済州島まで減少>
  しかも最近ではウォン高の余波で韓国観光の看板である済州島まで観光客の減少危機に直面している。日本人観光客の搭乗率が30%台に過ぎないため大韓航空は済州-日本路線の閉鎖を検討もした。済州道の説得で路線を維持することにしたが、観光客が回復しなければ将来は楽観視しがたい。
チョ委員長(韓国観光協会)は「低価格の旅行商品は再び来たいと思わない韓国にする」として「国内観光業界も日本のように観光客別のターゲットを明確にして観光客を迎える文化も改善し、競争力を強化しなければならない」と話した。
 以上、韓国紙参照

MERSの感染拡大は当局が情報開示しなかったため、医療ショッピングといわれる韓国特有の問題から、患者があちこちの病院を渡る歩き、感染を拡大させてしまったもの。
韓国政府とサムスン病院との癒着構造から生じたものであり、すでにのど元も過ぎてしまい、問題と責任が総括されないまま終わってしまった。
そのため、5月20日から7月末までの長期にわたり、観光客が激減、8月から少しずつ回復してきている。
韓国の観光業界は、まずは、内需も回復してきており自国の観光客を、自国の観光地で満足させる観光産業となることが前提だと思われる。
済州島のカジノも、中国まで出向き、カジノ客に女性を提供するなどを謳い誘致を図るなどして中国国営放送からたたかれ、また、中国の開発業者が韓国の公社とタイアップして巨大リゾートタウンを計画、すでに工事中にもかかわらず、開発手続きが違法として裁判所からストップをかけられ、中国の開発業者は損害賠償の裁判を起こすなど、中国の開発業者まで逃げられる始末。

観光は、開発も含め1~10まで対策を講じなければ、韓流ブームで火が付いている中国からの客も、いつまでも韓流ブームが続くわけでもなく、整形美容客を除き、減少し続けることになるだろう。対策が急がれる・・・。まずは即実行可能なぼったくりタクシーの撲滅が国の政策として急がれる。


スクロール→
韓国からの訪日客
 
訪日客
前年比
2008
2,382,397
 
2009
1,586,772
-33.40%
2010
2,439,816
53.80%
2011
1,658,073
-32.00%
2012
2,042,775
23.2
2013
2,456,165
20.2
2014
2,755,313
12.2
2015年1月
358,093
40.1
2月
321,600
38.9
3月
268,200
39.6
4月
304,600
57.0
5月
315,400
61.5
6月
251,500
21.2
7月
343,800
37.1
8月
391,000
55.5
9月
301,700
38.6
2015年1~9月計
2,855,893
43.1
韓国経済