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韓国産業研究院が発表した報告書「主力産業の輸出不振の原因と構造調整の方向」 によると、最近の韓国の主力産業の輸出不振は、中国との競争激化によるものと分析された。韓国は12の主力業種のうち10業種で中国との競争が深刻な状態 にあり、今後、高付加価値製品や新しい主力業種の開発が急がれることが分かった。
主力産業において韓国は中国よりも技術と品質が優れているものの、価格では競争力が低いことが分かったと掲載している。
「主 力産業の中で、5年後にも韓国が中国より競争上の優位を保てる品目は、一部の高級品や核心素材・部品だけ。主力産業で輸出が成長する高付加価値品や6大後 発業種(プラスチック、2次電池、半導体・ディスプレイ製造装備、化粧品、医療用電子機器、医薬品など)での輸出を増やして行かなければならない」として いる。
 以上、ハンギョレ新聞参照

ディスプレイは、中国勢の勢いはとまらず、近い将来、韓国製は自国産の家電・電子製品に使用が限定されてくる可能性がある。現在では、ディスプレイともども圧倒的強さを持つ半導体も、中国勢に凌駕される。日本がそうであったように。
中国政府は、自国(輸出分も含む)で消費する半導体やディスプレイを中国内で製造することに力を入れており、そうした企業に対して、金融機関から莫大な融資がなされ、NANDを含み急ピッチで技術開発・生産計画が行われている。
サムスンやLGなどが、巨額投資を行ったところで、近い将来、利益が出なくなれば、中国勢に対抗し投資をいつまでも続けられるものではない。

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双方の自国市場も桁違い(韓国5千万人/中国13億7千万人)、中国勢は自国内だけでも相当な利益を捻出することができる。すでにスマホでは、中国勢が世界のトップシェアを握っている。 まだ、中国内でのシェアを拡大しただけで、これほどの数値をたたき出しており、世界へ本格的に輸出されるようになれば、韓国サムスンも米アップルも現状維持が関の山、市場の成長率は今後鈍るものの成長し続けることから、相対的に市場シェアを減らすことになる。

韓国勢は特に輸出依存度が高く、世界経済の盛衰に大きく左右される。今のところ、世界経済も明るい見通しを見出せない。
高付加価値品がどれほどあるのか、核心素材とは何なのだろうか。当然、そうした市場は小さくなるだろう。また、6大後発業種を拡大させるとしているが、そうした分野の市場をこじ開けるのはたやすいものではない。

韓国で有望視されていた二次電池(蓄電池)でさえ、米テスラモーターズへの納入は拒絶され、中国では、環境改善の動きから20年までに500万台投入予定のEV車両、韓国製は現在のところ認定されていない。
認定されなければ、車両価格の1/3ともされる二次電池価格であり、車両メーカーは当然、韓国製二次電池を搭載することができない。中国の保護主義により、民族企業か合弁企業の二次電池メーカーしか認定されていない。
中韓FTAは、韓国にとって何の利益があるというのだろうか。逆に鉄鋼などの韓国メーカーの生産能力が余っている中、中国鉄鋼製品が押し寄せている。

韓国勢の二次電池大手2社が、世界の大手自動車メーカーと提携していても、EVは1回充電走行距離・充電所要時間・充電スタンドの数の問題をまだ抱え、ほとんど普及していない。大量受注した18年納入開始予定のテスラ「モデル3」は、格安の上、走行距離も345キロと群を抜いている。現行車両も走行距離は長いが価格が高い。高くても売れる車両を造れるかがメーカーにかかっており、自動運転車の動向とともに、EV車両の本格普及はまだ5年以上先になる。

そのときにも韓国勢の2次電池が性能的に優位性を保っているかどうかはわからないのが、世界の電池メーカーの開発力でもある。(二次電池は、性能・品質などがよくても使用目的により一長一短あり、火災・爆発などの危険性から車両では安全第一+出力により選定されている)
このように有望視される分野でも明るい見通しは立っていないのが実情だ。

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