財務省が８日発表した日本が海外との貿易などでどれだけ稼いだかを示す今年７月の「経常収支」は、海外からの配当や利子の受け取りが大幅に増えたことから、２兆３２００億円の黒字となり、３ヶ月ぶりに黒字が拡大した。前年同月を３８０４億円上回り、黒字が拡大した。

これは、日本企業が、海外の子会社から受け取る配当金などが増え、配当や利子のやり取りを集計した「第一次所得収支」が、２兆１,４７０億円の大幅な黒字となったことが主な要因。
このほか、輸出から輸入を引いた「貿易収支」は、自動車や自動車部品、それに船の輸出が伸びたことから５６６６億円の黒字だった。

一方、外国人旅行者が日本で使った金額と日本人が海外で使った金額で見る「旅行収支」は１５６０億円の黒字だったが、夏休みを利用して海外旅行をする日本人が多かったことや、外国人旅行者による「爆買い」が減ったことなどから黒字は４ヶ月ぶりに縮小した。

＜貿易・輸出＞
輸出：6兆4,952億円（確報値：前年同月比＋7,668億円［＋13.4％］増加、数量：同＋2.6％増加、価格：同＋10.5％増加）
「商品別」では、自動車（同＋574億円［＋5.9％］、数量：同＋2.4％）、船舶（同＋486億円［＋71.5％］、数量：同＋59.6％）、自動車の部分品（同＋455億円［＋15.8％］、数量：同＋7.1％）等が増加。
「主要地域別」では、対アジア（同＋4,514億円［＋14.8％］）、対米国（同＋1,363億円［＋11.5％］）等が増加。

＜貿易・輸入＞
輸入：6兆735億円（9桁速報値：前年同月比＋8,496億円［＋16.3％］増加、数量：同＋3.2％増加、価格：同＋12.7％増加）
「商品別」では、液化天然ガス（同＋1,053億円［＋46.8％］、数量：同＋3.6％）、石炭（同＋836億円［＋67.7％］、数量：同＋3.7％）等が増加。
「主要地域別」では、対アジア（同＋4,623億円［＋18.0％］）等が増加。
以上、総務省発表資料より

大手製造業が海外へ出て行ってしまったため、輸出額と輸入額の差の貿易収支はこの間、落ち着いているが、海外子会社からの配当金や貸付金利子が大幅に増加し、経常収支が７月は特に増加している。