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現在、韓国は空前の貿易黒字高を計上している。しかし、失業率、特に青年失業率は10%前後と非常に高く、貿易黒字が経済全体に反映されない実体が浮き彫りになっている。ただ、貿易黒字は、外貨準備高を押し上げ、以前のような財務体質からは改善されているものの、経済規模も比例して大きくなっている。

朝鮮日報紙は、自虐的に「韓国経済は徐々に死にゆく『がん』にかかっている」と次のように掲載している。

アジア通貨危機、韓国では、韓宝鉄鋼の倒産、起亜自動車の法定管理申請と大手企業が次々に傾き、韓国経済危機説がひっきりなしに聞こえていた1997年11月21日、就任からわずか3日の林昌烈経済副総理(当時)が、夜10時20分に緊急記者会見を開いた。

「政府は、金融・外為市場の困難を克服するために国際通貨基金(IMF)に金融資金を要請することを決定した」

こうして始まったIMFによる韓国救済体制は、30大財閥のうち16財閥が解体、銀行26行のうち16行が、閉鎖と韓国経済を根こそぎ揺るがしたが、先延ばしになっていたさまざまな改革課題を実施に移すことで韓国経済の体質を変える役割も果たした。

当時、IMF総裁を務めていたミシェル・カムドシュ氏は「変装した祝福」と評した。

あれから20年が過ぎた今、韓国経済は危機の心配のない安全地帯にいるのだろうか。

林元副総理は18日、本紙とのインタビューで「韓国経済は徐々に死にゆく『がん』にかかっている」と診断した。

林氏は「(主力産業のうち)造船は、すでに中国に(主導権を)奪われたし、電子も時間の問題だ」、「主力産業を延命できる解決策を見いだせなければ韓国経済はいっそう深刻になる」との見方を示した。

 韓国政府は3年8ヶ月でIMFから借り入れた195億ドルを全額返済した。

林氏は、「IMF体制からの早期脱却が必ずしも良いことだったとは言い切れない。国民が当時の苦しみと教訓をあっという間に忘れてしまった」と話した。

さらに「(早期脱却のせいで)政府が進めていた規制撤廃や労働改革が中途半端になってしまったのが残念だ」と指摘した。

1997年の金融危機から20年を迎え、本紙が韓国経済研究院と共同で一般市民800人と経済専門家48人にアンケート調査を実施した結果、

専門家の68%が「20年前の金融危機と同等の危機が今後5年以内に発生する恐れがある」と答えた。

専門家らは経済危機の原因となり得る脆弱な分野として「主力産業の没落」(20.6%)と「家計債務(個人負債)」(16.5%)を挙げた。

 韓国国民は20年前の金大中政権下、失業者が170万人を超える状況でも、国難を乗り越えるために「金製品集め運動」に賛同した。

しかし、今回の調査では、このような共同体意識は大きく低下していることが分かった。

「再び金融危機が発生した場合、国民が金製品集めのような苦痛の分かち合いに賛同すると思うか」との質問に対し「そうは思わない」との回答が37.8%に達し、「そう思う」(29.2%)を大きく上回った。

以上、朝鮮日報参照

今は20年前と時代背景も人の考え方もまったく異なる。

<好景気の輸出産業と失業>

韓国の2017年8月の若年層の失業率は9.4%と、アジア通貨危機後の1999年8月の10.7%に次ぎ、8月の数字としては最悪になっている。

それも、高齢者の就業率が高く、賃金が抑えられることから、若年労働者の賃金は上がらず、大手企業と中小企業の賃金格差は拡大するのみ。就労者であっても最低賃金すら守られていない労働者が多くいる。最低賃金に対する企業への国の取り締まりも緩やかで、文政権が16.4%も最低賃金を一挙に引き上げても、国から1年間補助だけでは、中小企業への浸透は鈍いどころか、中小企業の存亡にかかっている。(文在寅政権は、まずは、パート・バイトだろうと社員だろうと現行の最低賃金を遵守させる方が先決だったといえる)

<自動車>

自動車は、企業は残るが、韓国での生産は、文政権を支える労働者たちがストを乱発し、コスト高、販売機会の喪失などに見舞われ、海外へ生産基地を移動するしかない。

現代自動車は60万台の生産キャパを中国で拡大し、起亜自動車はメキシコで40万台の生産キャパの工場を昨年稼動させている。

<半導体>

半導体は、日本から現在、中国へ大量に半導体製造装置が輸出されており、国是の「国内消費は国内生産」により、国策の優先融資により、大規模なディスプレイ工場や半導体工場が18年にかけて完成してくる。

(アップルと異なり、スマホだけの売りっぱなしのため、中国勢の台頭でだんだん利益が出なくなる。スマホ販売後の利益はすべてグーグルに持っていかれている。)

 

<白物家電>

TVや白物家電の普及製品は既に中国勢が世界を駆逐、プレミアム市場で韓国勢は強さをまだ維持しているが、日本勢が辿った道を歩んでいるともいえる。

<造船>

造船は安値受注が祟り、大赤字を露呈し、銀行が管理を強めたが、今ではその管理は緩み、受注は大きく挽回している。しかし、安値受注であることには違いなく、安いがゆえに船主が大量に韓国勢に大型船を発注している。EU経済が浮上してきており、中国経済が連れて少しでも回復すれば、鉄鋼価格の高騰を見、引渡し時の損益が気になるところ。

<化学製品>

化学品も中国は原油輸入を拡大させ続けており、石油製品や石油化学品を輸出に安価に回している。韓国勢の領域は狭くなるばかり。

<鉄鋼製品>

鉄鋼製品も中国とのFTAにより、中国製品が大量に流入して市場価格の下落を招いており、既にインドネシア・ベトナムでの生産により利益を保っているともいえる。

<武器産業>

一大産業になってきた武器輸出も、機動ヘリ・スリオンに見られるように問題のまま輸出しては、国の信用にかかわろう。フィリピンに輸出したT-50戦闘機による爆撃も自陣を攻撃してしまい、大勢が死亡、使用停止になっている。まだ、一大産業には至っていないのが実状のようだ。

<韓国内需>

韓国の内需産業も、家計負債が消費の足を引っ張り、伸びるにしても限界がある。北朝鮮との緊張関係にありながら、ソウルの不動産がまだ上がり続けるという、変則不動産バブルも変則がゆえにいつまでも続かない。風船がはじければさらに家計負債は大きくなる。

<中国で作れるもの適わない>

中国が造れる物は、日本だろうと韓国だろうと太刀打ちできない。現在、優位ある製品であっても数年後には駆逐される。韓国に中国で造れないものはどれほどあろうか。

<韓国の技術者・中国へ大量流出>

  以前、日本が聖域なき削減として、正規を非正規に入れ替え、利益が出ているにもかかわらずバカなサラリーマン経営者らにより開発部隊まで大量にリストラ、自主退職した人やリストラされた人たちが、大量に韓国へ渡り、その技術が韓国の家電や電子産業の今日の隆盛の礎を築いた。

 同じことが、韓国-中国間で現在生じている。

<韓国の産業モデル>

基礎研究・商品開発・市場開拓を日本企業が行い、それを真似、日本企業が市場を形成してきた市場を韓国勢が駆逐していく、こうした商法はいつまでも続かない。10年20年のサイクルで見るべきだろう。

 

今や直接、中国勢が、米国やら欧州やら、日本やらから最新技術を導入し、生産に当たっている次第。

まだ、韓国企業はサムスン電子はじめ、巨額の内部留保を抱え、力は日本企業のどこよりもあり、技術革新を続けることはできようが、基礎研究が乏しいため、まったく新しい素材や製品開発には限界がある。結果、中国の製品と戦い続けることになり、利益が出なくなる。

日本や世界の企業および大学・研究機関は、知財や特許について、今は昔のように無防備ではなくなっている。

 

ただ、日本も基礎研究力は、大学などへの補助金予算カットで大幅に落ちているうえ、その総予算の中から、かけそば学園へも割り当てされることになり、さらに減っていく。同じように補助金が支払われる竹の子のように増えた5・6流大学は本当に必要なのだろうか・・・。