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バイアグラは今年3月27日、米食品医薬品局(FDA)から認可されて20年が過ぎた。その間、多くの男性がこの勃起不全治療薬を服用。年平均で約15億ドル(約1600億円)の売り上げを記録している。

世の常として、有名になると偽造品が続々と出現する。オンラインや街角の店で売られる性的機能強化サプリメントは、処方箋がなくても買える。

こうしたサプリは「天然」成分という触れ込みだが、FDAは警戒を強めている。
多くの製品には、バイアグラの有効成分である「シルデナフィル」やFDA承認の勃起不全治療薬で使われる別の化合物をひそかに改変した物質、時にはそれらを有害な形に改変した物質が含まれる。もちろんFDAの規制違反。

FDAは、こうした製品の製造・販売ルートを追跡してきたが、そこでは当局の「能力不全」があらわになるばかり。

勃起を引き起こす化合物の中でも、「シルデナフィル」は偽造しやすい。
「原材料はかなり入手しやすく、安価だ」と、シンガポール国立大学の薬理学者コー・フィー・リンは述べている。
しかし、「シルデナフィル」は、特定の薬と併用すると、危険なレベルの低血圧などの副作用を引き起こす。
しかも、この成分を含むサプリを服用した後に心臓発作で死亡しても、誰もサプリが死因だとは思わない。
改変された「シルデナフィル」は成分として記載されていないことによる。

FDAで非処方薬と健康詐欺部門を統括するブラッド・ペースによれば、非表示成分を含む薬の追跡は不可能なことが多い。世界中の流通業界や卸売り、小売業者を追う羽目に陥るからだ。

<当局とのいたちごっこ>
FDAの取り締まりは、ある程度の成功を収めている。
2011年には、性的欲求の高進や体重減少を目的とする有害なサプリを販売していたノバケア社の社主が、製品に関する6件の重罪で告発され、懲役3年の判決を受けた。
2016年にもサプリメーカーのオーナーが、詐欺罪で懲役6ヶ月の判決を受けている。

だが、ある企業が摘発されると、すぐに別の企業が穴を埋める。
2017年11月、FDAは十数種の偽造品について消費者に警告を発した。郵便局に到着した疑わしい国際郵便を調べる調査では、ラベルで性的能力強化をうたう119種の製品が見つかり、そのうち95種には表示されていない成分が含まれていた。

アメリカでは、昨年末に「シルデナフィル」のジェネリック医薬品が発売された(日本では2014年)。これが偽造品の売り上げに打撃を与える可能性がある。

バイアグラは1錠当たり約70ドルだが、ジェネリック薬なら25ドルほどで手に入る。消費者は疑わしいサプリに手を出さなくなっていくだろう。
合法的な薬なら成分はラベルに表示されている。
偽物がすぐに消えるわけではないから、対処「不能」な状況はまだしばらく続きそう。
以上、ニューズウィーク参照

日本では、偽造医薬品がネット販売で市場に流通し、深刻な健康被害も報告されている。特に、ED(性的不能)治療薬「バイアグラ」は真正品の2倍の偽造品が流通しているとされ、偽造薬の“ターゲット”となっている。
製造元の「ファイザー」の調べでは、日本では他国でみられない「バイアグラ・ゴールド」と呼ばれる金色の偽造薬も流通しているという。その多くは中国で製造され、韓国の「ポッタリ」と呼ばれる運び屋グループを通じ、大阪に運ばれ、日本国内に流通していることがわかっている。特に大阪では特殊飲食店舗などでも販売されているという。

ネット上には「すごい効果」と効能がうたわれているが、その正体はかなり危ない薬だという。
真正品には、ブルーの錠剤しか存在しない。
押収した「バイアグラ・ゴールド」の成分を調べてみると、主成分であるシルデナフィルを200mg~800mgも含んでいたという。日本で販売されている正規のバイアグラ25~50㎎、アメリカなどで販売されているものでも25㎎~100㎎。本来の有効成分が真正品の10倍以上と、過剰に高いものがあるという。

日本人の体格を考えれば、有効成分の量があまりに多すぎ、過剰な有効成分は激しい頭痛や視覚障害などを引き起こす恐れもあるという。
偽薬には本来の有効成分と全く別のものが入っている場合も多く、どんな作用があるかわからないうえ、安全性の保証は何もない。中には着色にペンキが用いられたりしているという。

ファイザーが行ったネット上でのED治療薬購入者への意識調査では、97.5%はネットで偽造品が出回っていることを知っていたが、87.7%は自分がネットで購入した薬は本物だと信じていたという。
信じる者は救われることもあろうが、危険なシロ物が多い。

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