スルガ銀行が、5月に発表した2018年3月期連結純利益の下方修正を検討していることが3日、分かった。シェアハウス以外の不動産にもずさんな融資の問題が拡大し、貸倒引当金の積み増しが必要との判断に傾いているもようだと報道されている。
いったん市場に開示した業績を短期間で大幅修正すれば異例で、スルガ銀の企業統治への不信感がさらに高まるのは必至。
スルガ銀は、シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資を巡る融資に傾倒。運営会社スマートデイズ(東京)の経営破綻で融資が焦げ付く恐れが高まり、5月15日に発表した純利益は前期比50・5%減の210億円と7年ぶりの減益となった。
その後、かぼちゃの馬車を巡る所有者側弁護士の調査で、預金額の水増しなど同様の手口により、中古アパートへの投資などでも本来は貸せない人に融資していた可能性が発覚した。
以上、
同行のかぼちゃ関連融資は1000億円ともされているが、その後返済もあっており、何割か減少する。それもずさん融資外の融資もあり、そこでも何割か減少する。しかも、ずさんな融資分の残高を全額貸倒引当金計上するには無理がある。不動産担保融資であり、不動産価格が上昇する世の中にあり、現状の担保不動産の価値も考慮する必要がある。
2月の業績予想から5月の業績予想収益の間で経常利益が約300億円減額されており、これ以上の減額は、今期以降、担保不動産の処分の特別益を計上することになる。金融庁の指導が水面下で続いているものと見られる。
5月16日発表した決算の修正が行われれば、100億円単位・200億円程度が見込まれよう。赤字にすれば、金融庁は、福島銀行にように管理指導が必要となり、スルガ銀行の財務内容からして、赤字にさせる必要もないと見られる。
(ただし、かぼちゃ同様のリスク融資が多額を占める場合、金融庁が赤字にさせる可能性がある。それは他行のサブプライムローン問題を事前に摘み取らせる警鐘にもなる。ただし、警鐘すぎれば、すでに賃貸住宅の着工戸数は前年比8ヶ月連続してマイナスが続いており、内需不振に拍車をかけており、政府としては避けたい思惑と交差する)
同行のビジネスモデルでは、洗濯する人によっては、また洗濯加減では、生地が痛む可能性があり、ほどほど、かぼちゃの馬車関連の業績修正と金融庁のお叱りで終止符が打たれるものと見られる。
ただ、ほかの銀行が嫌がる分野での活動は一方で世の中に役立っているともいえる。スーパー都市銀行とて、サラ金を子会社にして、法定内で高利をむさぼっている時代でもある。
連結/百万円
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発表日
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経常収益
|
経常利益
|
当期利益
|
前期実績
|
|
145,753
|
58,222
|
42,627
|
業績予想
|
2月7日
|
|
61,500
|
43,000
|
業績予想修正
|
5月8日
|
|
30,800
|
21,000
|
3月決算
|
5月16日
|
156,278
|
30,871
|
21,065
|
当期と前期比
|
7.2%
|
-47.0%
|
-50.6%
|
|
当期と業績予想比
|
|
-49.8%
|
-51.0%
|
賃貸マンション等貸家 4月までの前年比較
|
|||||
|
総住宅着工戸数
|
賃貸住宅着工戸数
|
貸家
|
||
|
着工戸数
|
前年比
|
着工戸数
|
前年比
|
シェア
|
18/4月
|
84,226
|
0.3
|
35,447
|
-2.1
|
42.1%
|
3月
|
69,616
|
-8.3
|
29,750
|
-12.3
|
42.7%
|
2月
|
69,071
|
-2.6
|
29,420
|
-4.6
|
42.6%
|
1月
|
66,358
|
-13.2
|
28,251
|
-10.8
|
42.6%
|
今年累計
|
289,271
|
-5.9%
|
122,868
|
-7.4%
|
42.5%
|
|
|||||
17/4月
|
83,979
|
1.9
|
36,194
|
1.9
|
43.1%
|
3月
|
75,887
|
0.2
|
33,937
|
11.0
|
44.7%
|
2月
|
70,912
|
-2.6
|
30,842
|
6.8
|
43.5%
|
1月
|
76,491
|
12.8
|
31,684
|
12.0
|
41.4%
|
昨年累計
|
307,269
|
|
132,657
|
|
43.2%
|
住宅着工戸数に占める貸家の割合推移
|
|||||
|
総着工戸数
|
貸家
|
|||
西暦
|
戸数
|
前年比
|
戸数
|
前年比
|
シェア
|
2003年
|
1,160,083
|
0.8%
|
451,629
|
0.3%
|
38.9%
|
2004年
|
1,189,049
|
2.5%
|
464,976
|
3.0%
|
39.1%
|
2005年
|
1,236,175
|
4.0%
|
504,294
|
8.5%
|
40.8%
|
2006年
|
1,290,391
|
4.4%
|
543,463
|
7.8%
|
42.1%
|
2007年
|
1,060,741
|
-17.8%
|
441,733
|
-18.7%
|
41.6%
|
2008年
|
1,093,519
|
3.1%
|
464,851
|
5.2%
|
42.5%
|
2009年
|
788,410
|
-27.9%
|
321,470
|
-30.8%
|
40.8%
|
2010年
|
813,126
|
3.1%
|
298,014
|
-7.3%
|
36.7%
|
2011年
|
834,117
|
2.6%
|
285,832
|
-4.1%
|
34.3%
|
2012年
|
882,797
|
5.8%
|
318,521
|
11.4%
|
36.1%
|
2013年
|
980,025
|
11.0%
|
356,263
|
11.8%
|
36.4%
|
2014年
|
892,261
|
-9.0%
|
362,191
|
1.7%
|
40.6%
|
2015年
|
909,299
|
1.9%
|
378,718
|
4.6%
|
41.6%
|
2016年
|
967,237
|
6.4%
|
418,543
|
10.5%
|
43.3%
|
2017年
|
964,641
|
-0.3%
|
419,397
|
0.2%
|
43.5%
|
・貸家は貸し家+アパート+賃貸マンション
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・2008年リーマンショック、2011年大震災、2012年復興賃貸住宅あり、2014年消増税増税、2015年1月相続税改正施行、
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・黄色マーカーはアベノミクス時代
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