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輸入額が輸出額の3倍近くになっているパキスタン、外貨不足に陥るのは当然のこと。国内産業を興さず、中印対立の地政学的な立地を生かし?中国からの投資=借款で潤っているが、その借款により財政は火達磨状態。
IMFが救済しこんなことを許し続ければ、世界の貿易ルールは破綻してしまう。中国がパキスタンを属国化し、パキスタンの債務保証をするなら別だろうが・・・、その中国そのものの財務体質も危ぶまれている昨今でもある。

<パキスタン IMFへ救済申し入れか>
パキスタンのカーン首相は、国際通貨基金(IMF)に財政支援を求めることを決意したと報道されている。
経済成長を続けるパキスタンだが、輸入は輸出を上回る勢いで、対外債務の支払いも困難になり、引当金も底をつきそうなほど財政が悪化している。
多くの債務が中国へのものだとされているが、その内訳は公表されていない。
IMF側は債務の詳細を明らかにしない場合、救済は困難だとしており、アメリカも援助には慎重な姿勢を見せている。

<友好国・中国などの援助引き出せず 渋々IMF行きを決断>
パキスタンは前政権時代、高い経済成長を続けてきたが、その一方で高額な燃料や機器・兵器の輸入があった。経常収支の赤字は2016年前半より拡大し、外貨準備高も急減した。
今のままでは、今年末までには輸出と対外債務の支払いもできなくなり、政府は即座に100億ドル(約1兆1200億円)を捻出する必要があると見られている

実はパキスタンは過去にも十数回IMFの支援を受けている。
8月に就任したカーン首相は、西洋の融資から卒業すべきだというのが持論で、IMFの救済を嫌ってきた。
WSJによれば、今回はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、中国といった友好国からの資金協力と、国債の発行で乗り切ることができると見ていたという。
しかし、サウジアラビア、中国からは期待した返事は得られず、投資家のパニックにより株式市場は1日としては最大の下げを記録した。
結局、最後の砦であるIMFに支援を求めざるを得なくなったというのが実情だという(エコノミスト)

<膨らんだ中国への債務 詳細は不明>
IMFのラガルド専務理事は、近々IMFチームがパキスタンを訪れ、IMFが支援する経済プログラムについての協議が始まるだろうと述べたが、どのような支援の形になろうと、特定の国への負債の内容、規模、条件については、完全な理解と絶対的な透明性が必要になると述べている。

パキスタンの債務の多くは、中国へのものだと見られている。
WSJによれば、中国は一帯一路覇権戦略から620億ドル(約6.9兆円)の投資プログラムを港湾、発電所、道路などの建設のため、3年前から始めていた。

資金は、パキスタン国債、または中国が新設した発電所から電気を買う義務によって捻出されているというが、合意の詳細は公表されていない。

中国から直接、鉄道・道路で港湾に至り、その港湾開発も借金漬けにして、99年間借用することで、借金との棒引き、インド洋に面し軍港利用するという中国の策略。中国の一帯一路派遣戦略の一帯であるインド洋のスリランカ軍事覇権戦略より、規模が大きいだけである。

ロイターは、ほとんどの中国からの融資は、民間の発電プロジェクトを通じてのもので、政府へのものではないとしている。しかし、プロジェクトの年間利益に対し、パキスタンは政府保証を付けているとされる。
パキスタン政府が責任を負い、事実上の隠し赤字にもなりかねないことから、一部の契約は不透明だという指摘も出ているという。

ムハマッド・ハマッド・アザール歳入担当副大臣は、インフラ整備は、成長促進には必要だという政府の考えから、中国のプロジェクトは予定通り進めるべきだとしている。

その一方で、カーン首相は一部のプロジェクトは「富ではなく負債を創造している」とも述べており、政権が静かに中国プロジェクトの見直しを進めているとWSJは報じている。

<IMFは透明性を求める><中国の借金地獄外交の結末>
パキスタンが支援を受けるための条件は、IMFが決め、その後IMFの執行委員会で救済が承認されることになる。
委員会で最大の議決権を持つのはアメリカで、拒否権は持たないものの、IMFの融資に影響を与えることができる。

実は、中国企業にインフラ整備をさせるために返済不能な額を借手に貸す中国のやり方を、アメリカは「借金地獄外交」と非難している。

米政府関係者や議会は、IMFを通してアメリカの納税者の金を送り込めば、中国のための救済融資になってしまうと主張しており、安易な救済に釘をさしている。

 WSJは、パキスタンや他国における中国の大盤振る舞いが、米中緊張の引火点として浮かび上がっていると指摘しているが、米中の対立が強まるなか、新たな問題となる。
以上、

パキスタンをIMFが救済しても透明性0、中国から最新戦闘機を購入するのが席の山、イスラム・アジア重視のカーン新首相(クリケットの達人の人気者)は、中東の大金持ち国から金を引っ張れば済むこと。できなければ、中国から借金棒引きや金をせびることだ。IMFの資金といっても世界各国からの拠出金で成立している。世界市民の税金が投入されている資金だ。

対中国借款が民間だろうと政府だろうと国の借金には変わらない。民間との共同事業を口実にする中国によるIMF騙し戦法とも捉えられる。
西側に付いたり、中国に付いたり、地政学的なものがいくらあったとしても理性もない、覇権中国の一帯一路戦略に完全に組みいれられた国である。

<2017年のパキスタンの概況>
1、人口は2億777万人
2、イスラム・スンニ派(国民の75%がスンニ派、シーア派は20%)の国。
3、GDPは5.2%(2016年は4.5%、15年4.0%)
4、名目GDP総額は304.0(10億ドル)、(32百万人のマレーシアより低い)
  名目GDP伸率は16年3.0%、17年9.0%

5、輸出額は21,863(100万ドル)
伸率は16年▲7.2%減、17年6.4%増

6、輸入額は57,440(100万ドル)、
  伸率は16年6.8%増、17年22.2%増

7、貿易収支は▲29,940(100万ドル)
  15年は▲17,108(100万ドル)、16年は▲20,867(100万ドル)

8、経常収支は▲15,818(100万ドル)
  15年は▲2,776(100万ドル)、16年は▲7,094(100万ドル)

9、外貨準備高は15,765(100万ドル)
  15年は17,830(100万ドル)、16年は19,650(100万ドル)

10、対外債務残高は134,208(100万ドル)
15年は106,009(100万ドル)、16年は122,461(100万ドル)
以上、ジェトロなどの発表数値