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韓国大手5社の国内販売台数▲0.7%減の153万台、2年連続減
輸出台数は▲3.2%減の244万台、3年連続減
輸入車販売台数は12%増の28万1000台、前年のマイナスから一転して増加

産業通商資源部が発表した「自動車産業2018年年間動向」によると、韓国製造業の大黒柱である自動車産業の現代・起亜・ルノーサムスン・韓国GM・双龍(サンヨン/インドのマヒンドラ傘下)の国産車5社の2018年の実績は、内需・輸出ともにマイナス成長だったものの、輸入車の販売だけが2桁増となった。

輸出は、欧州ロシア・アフリカなどへの輸出は増えたが、最大の市場である米国で販売が伸び悩んだ。現代・起亜が伝統的に強い中東・中南米でも経済不安などの余波で力を出せなかった。昨年1~11月の輸出量が前年に比べて中東▲25.6%、中南米▲11.6%減少している。

一方、輸入車は、昨年の「BMW火災ショック」にもかかわらず、メルセデスベンツの好実績とフォルクスワーゲン(VW)・アウディの販売再開に後押しされて歴代最高の販売台数を記録した。特にVW・アウディは「不正排ガス問題」を克服して2017年962台から2018年には2万7840台と販売を急回復させ伸ばした。(自動車ではドイツが大好きな国民性/D車は大気汚染の元凶)

韓国車の輸出問題は、来年、米国・中国・欧州など「ビッグ3」市場の販売停滞が予想されるなど自動車産業をめぐる環境が容易ではないという点。

現代自動車グループ・グローバル経営研究所によると、今年グローバル自動車市場販売規模は2018年比0.1%増の9249万台の見通し。
グローバル自動車市場は2016年に初めて前年比4.7%増となり9000万台を突破した後、2017年1.8%、2018年0.2%と、成長鈍化している。
2019年の米国・欧州は、それぞれ前年比▲1.4%減、▲0.2%減と予想。
2桁成長を示していた中国市場も0.2%成長にとどまるとみられている。

漢陽大学未来自動車工学科のソンウ・ミョンホ教授は「テスラはもちろん、アップルやグーグルのような情報技術(IT)企業が先を争って参入し、車両シェア市場が急成長するなど目まぐるしく変化する自動車市場の流れに、乗り遅れれば一気に淘汰されかねない」とし、「ノキアの没落を教訓にしてエコカーの開発を強化する一方、シナジーを出せる会社の合併・合併(M&A)に果敢に立ち向かう『破壊的革新』が必要だ」と話している。
以上、韓国紙参照

韓国車の輸出減少は、世界市場の問題ではない。現代・起亜が世界各地に生産工場を作ったり、既存工場を増設したりしており、当然、両社の世界販売台数が、海外で増産した以上に伸びなければ、韓国製の輸出が減少し国内生産は減少する。
ましてや、韓国内の工場は労働組合が強すぎ、生産コストも高く、利益の面からも海外新工場の稼働率を高めたい意向も働いている。
2016年秋に年産キャパ40万台のメキシコ起亜工場が完成し、現代車も生産している。現代自動車は中国で2017年に河北工場(年30万台キャパ)、2018年には重慶工場(年30万台キャパ)を完成させている。

ただ、韓国内の工場(現代蔚山工場は年産キャパ160万台/世界最大)はリストラしたくとも労働組合の関係で不可能であり、総コストとのバランスの生産台数は必要となる。雇用増を要請し続ける文政権、リストラできる政治的環境にもない。(現代自の平均賃金900万円超/労働貴族)

文政権の社会実験にも付き合わされている。民主化運動のメッカであった光州市が雇用増のために直接建設し運営するOEM専門(初年度平均賃金350万円程度/5年間団体交渉権なし)で、現代自動車の電気自動車を生産する光州自動車工場。
すでに光州市と現代とは基本契約を締結し、今後、光州市は工場建設に取り掛かる。
当然、現代労組が猛反発している。工場完成時の労働争議を社会主義政権の文在寅氏が政治的にどう収拾を図るか注目される。

 

2018年 韓国自動車販売台数/千台
メーカー
国内販売
海外販売
合計
台数
前年比
台数
前年比
台数
前年比
現代
721
4.7%
3,865
1.3%
4,586
1.8%
起亜
531
1.9%
2,280
2.5%
2,812
2.4%
双竜
109
2.3%
34
-7.7%
143
-0.3%
韓国GM
93
-29.5%
369
-5.8%
462
-11.8%
ルノーサムスン
90
-10.1%
137
-22.2%
227
-17.8%
合計
1,545
-0.3%
6,687
0.6%
8,232
0.4%
外車
260
11.8%
 
 
 
 
総計
1,806
1.3%
 
 
 
 
※マークラインズ資料参照/韓国の産業通商資源部発表値とは異なる