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政治と国民性は相似関係にある。
ルノーグループ本社は、2月1日「ストが続くなら、新車の委託生産を停止する」と警告したが、ルノーサムスン民主労総のパク・チョンギュ委員長は2月8日、「全面ストも辞さない」と真っ向から対決する姿勢を見せた。(民主労組=過激労組)

<過激な民主労組>
ルノーサムスン釜山工場の労働者の時給が、全世界のルノー工場46ヶ所のうち3番目に高い水準まで上昇している上、労働組合によるストが頻発し、親企業であるフランスのルノーグループから生産割り当てを停止される懸念が高まっている。

ルノーサムスンは、ルノーのゴン采配でより「日産ローグ」の生産を委託されているが、この委託生産の契約が今年9月で終了する。
その後、生産割り当てがなければ、ルノーサムスンの工場稼働率は40%まで低下し、大規模なリストラや協力会社の連鎖倒産など「第2の韓国GM」(郡山工場閉鎖などのリストラ+政府系金融機関から特別融資により延命)の事態を招きかねず、場合によっては撤退も考慮される。

 ルノーサムスン労組は、高額賃上げを要求し、決裂した状態が続き、過去4ヶ月間で30回もの部分ストを実施した上、全面ストも予告している。

<スペインより1.7倍も高い韓国ルノーサムスンの賃金>
 ルノーサムスンの関係者は2月10日、釜山工場の時給について「世界中のルノーの工場で釜山工場より人件費の高い所は、先進国フランスの工場(全5ヶ所)のうち2ヶ所だけ」と話しているという。
スペイン工場の場合、釜山工場の人件費の60%で稼働でき、トルコ工場に至っては、賃金は釜山の30%の水準にすぎない。
また、2013年当時、「日産ローグ」の生産にかかわる賃金は、九州・苅田工場と比べ、釜山のほうが20~30%安かったものが、現在では20%高くなっている。

(この間、釜山工場の賃金が上昇したこと。一方、九州・苅田工場の高給な高年者の退職、低賃金の非正規雇用増により、苅田工場の賃金が全体で下がったことにも要因がある)

2011~12年、ルノーサムスン車は売れず、新型車の投入に遅れ、4000億円の累損を計上、経営上ピンチに陥り、救済のため、ルノーと日産の頂点に立っていたゴーン氏は、米国でのSUV戦略車である日産の「ローグ」を、ルノーサムスン工場で生産させ、米国へ輸出させることを決定した。

当初は、年間8万台の計画だったが、米国での販売が増加したため11~13万台まで生産を増加させた。
工場は、生産の半分以上が「ローグ」生産となり、賃金上昇を吸収して、同社の利益は、4000億ウォン台を計上させることができるようになった。

ルノー本体では、リーマンショック後の2009年、スペイン・バリャドリッドのルノー工場が閉鎖の危機に追い込まれた。同社工場は2010年に、賃金凍結、その後も賃金上昇率を物価上昇率の半分程度に抑えるなど自主的な改革を行い、販売台数も回復して現在に至っている。

(韓国は2010年EUとEPAを締結し、韓国からの自動車輸出が急増。米国ともFTAを締結している。2009年はスペイン財政危機で失業者にあふれた)

<労組委員長に民総系が・・・>
ルノーサムスンは2014年~17年までの3年間は、労使の賃金交渉も平穏にまとまり、韓国の自動車業界では労使関係の模範的モデルといわれていたが、昨年11月に、労組委員長に民主労組系の人物が当選したことで状況は一変した。

労組は、ルノーサムスンの平均年俸6800万ウォン(約680万円、2017年基準/平均年齢38歳)が、現代自の9000万ウォン(約900万円/平均年齢50歳)より低いとして、基本給の引き上げなど強力に要求している。
ストは、昨年まで夜と朝に各2時間ずつ行っていたものの、今年に入りその時間を各4時間にし、昨年6月から、これまでにこうした部分ストを30回以上も行っているという。

韓国には韓国労総と韓国民主労組があり、社会主義政権の文政権になり、組織率が急上昇している。それもより過激・強硬路線を取る民主労組が伸びており、ルノーサムスン労組も民主労総系が委員長に就任したことで、賃金交渉で経営者側と折り合わず、ストを乱発する事態となっている。民主労組系の組織数の伸びに刺激され、韓国労総も強硬路線に転じる動きが顕著になってきている。
1946年に結成された「韓国労働組合総連盟(労総/FKTU)」の不満から、1987年に生まれた「韓国民主労働組合総連盟(民総/KCTU)」は、対立することも協力することもある。

労働組合が会社を潰して初めて、会社あっての労組ということが、失業した組合員たちにとって理解されることになる。
社会主義時代(金泳三-金大中-盧武鉉)に民主化と共産化を履き違えた教育により洗脳された国民は、多血で燃え上がりやすく、感情的で、流行病に踊らされる国民性の性かもしれない。

<恐怖におびえる協力会社>
この状況下で協力会社は、どこも連鎖倒産の恐怖におびえている。ルノーサムスンの1次協力会社であるA社の社員たちは1月の勤務が事実上「週3回」だったという。ルノーサムスンで突発的な部分ストが相次いだため、通常通り出勤しても3-4時間働いただけで退勤する日が続き、1日8時間勤務に換算すると週3日勤務と同等になってしまったという。

ルノーサムスンは1次部品メーカーだけでも約260社(依存比率も高い)を抱え、間接的な雇用数は5万人を超える。すでに、労組の部分ストにより、協力会社はすでに正常な会社運営ができなくなっているという。

西江大のキム・ヨンジン教授は、「ルノーサムスンは委託生産の割り当てがなければ潰れる危機にある。生産専門工場の競争力の核となるのは固定費、特に人件費だ」とした上で、「全世界が人件費圧縮のために構造調整を断行する中、韓国だけが逆行していれば、効率性を徹底的に追求する本社からは、もう生産を委託されなくなるはずだ。それなのに、労組にこんなにも危機感がなければ大変なことになる」と指摘しているという。
以上、韓国紙参照

こうした労働組合の伸張は社会主義の文政権誕生によるもので、文政権誕生もそうした労組(ロウソク民心隊の構成員)により誕生したもの。
文政権は当然、こうした労働組合の実力行使を傍観し、組合は労働者の心理を煽りますます過激になってきている。

ルノーサムスン販売台数推移 (ルノー80%の持株比率)
/千台
世界市場
韓国市場
備考
2012年
154
59
 
2013年
131
60
経営不振
2014年
169
80
9月日産とOEM協定
2015年
229
80
協定期間19年9月まで
2016年
257
111
 
2017年
276
100
 
2018年
227
90
 
日産Rogue米国販売台数
 
 
千台
前年比
2016年
329
 
2017年
403
22.3%
2018年
412
2.1%
 
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