中国は過去、太陽光発電モジュールの生産において、瞬く間に世界市場を制圧したが、欧州経済の低迷で今や過剰生産設備に泣き、破綻企業も出している。
そうした電子製品の真似の開発技術は世界の群を抜いているのか、中国勢の勢いはスマートフォン分野に至り、これまでサムスン・アップルの2強時代も終焉を迎えようとしている。
今年のスマホ市場の伸びがどれほどか読み取れないが、2014年Q3は25.2%伸び、Q4も28.2%伸びている。
ただ、これ以上の製品は、機能ばかりが必要以上に増加し、使いこなす側のメリットは限られたものになりつつある。基本機能を充実させたスマホは、すでに中・低価格帯に至り、価格競争に陥ってしまった。
サムスンのように、プレミアム市場から中・低価格帯まで製造、その市場を中国に求めていたため、中国勢の台頭に押され、業績さえも悪化させている。
今や、基本性能プラスαのスマホなど台湾メーカーに生産依頼すれば、いくらでも低価格で生産してくれる時代となっている。世界市場の中・低価格帯はそうした新興国(インドやインドネシアなど)のベンダーにもサムスンは価格競争で苦戦を強いられている。
<2強時代の終焉も近い?>
2強時代は、まだ、プレミアム市場でその存在価値を有しているが、アップルのようにプレミアム市場だけで勝負するベンダーと全域で勝負するサムスンでは自ずと利益率は異なり、サムスンのように販売台数の伸びが鈍化もしくは落とした途端に、業績に大きなマイナスをもたらすものとなっている。
サムスン製品は、自社で液晶から半導体に至るまで巨大工場で生産しており、その影響は計り知れないものとなっている。アップルは自社生産していない分だけ、有利に展開する。
<利益構造の違い>
また、莫大なプラスαの利益であるOSについても、アップルし自社のiPhoneが売れれば売れるほどApp Storeで利益を享受、一方、サムスンは、Android社を買収して同社のOSを無料開放しているグーグルのAndroidを使用しており、そのプラスαのおいしい部分(Google Store+Google PLAY)のすべての利益をグーグルに捧げるビジネスモデル(利益構造)となっており、その違いが今後の開発力や商品展開力に大きな差をつけることにもなってくる。
サムスンもこうした状況を打開すべく、共同制作OSのTIZENを一部製品に投入したものの、遅きに失し実質失敗に終わりつつある。
<グーグルのためのサムスン>
グーグルは、自社のOS-Androidが、全世界のスマホの8割以上に使用されており、享受している波及利益は、スマホ出荷台数が増加するほどに増えるというビジネスモデルを構築してしまっている。巨大市場である中国の中央政府が、政策的にスマホ用新規OSを開発させ、強制的に中国勢に搭載させない限り、揺ぎ無いものとなっている。だが、グーグルのOS-AndroidやAppleのiOSの進化が将来的に停滞した場合、新たなOSが台頭する可能性はいくらでも残る。
サムスンは、現在、ハード市場の半導体が絶好調となっている。だが、この市場も5年後・10年後も成長を維持することは、常に開発や生産設備に巨額を投じる必要があり、一方で、台湾・中国勢の生産から旧来品の値下がりは急激に進み、利益を重視する限り困難と見られる。これまで、日本勢が歩いてきた道をサムスンが辿っているようでならない。
(追、GALAXY Note Edgeはデザインにおいてもすばらしい製品だと思う。しかし、韓国勢の電化製品や韓流で文化も世界へ浸透するとともに、同時に世界に発信される度重なる不祥事などにより嫌韓部分も世界に浸透しているようでならない。そのために、GALAXY Note Edgeの売上台数が大きく伸びなかった原因の一つと思うのだが・・・。)
2014年Q4のスマートフォン世界ランキング/IDC 出荷台数
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14Q3
|
シャア
|
出荷台数
|
|
ベンダー
|
/百万台
|
14Q3
|
13Q3
|
伸び率
|
サムスン
|
75.1
|
20.0%
|
28.8%
|
-11.0%
|
アップル
|
74.5
|
19.9%
|
17.4%
|
46.0%
|
レノボ
|
24.7
|
6.6%
|
4.8%
|
77.9%
|
ファーウェイ
|
23.5
|
6.3%
|
5.7%
|
41.7%
|
小米
|
16.6
|
4.4%
|
2.0%
|
178.6%
|
その他
|
160.9
|
42.9%
|
41.3%
|
33.1%
|
Total
|
375.2
|
100.0%
|
100.0%
|
28.2%
|
13Q4の出荷台数は2億9270万台、レノボはモトローラ分加算
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2014年のスマートフォン世界ランキング/IDC 出荷台数
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|||||
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14
|
シェア
|
出荷台数
|
|
|
ベンダー
|
/百万台
|
14
|
13
|
伸び率
|
1
|
サムスン
|
318.2
|
24.5%
|
31.0%
|
0.6%
|
2
|
アップル
|
192.7
|
14.8%
|
15.1%
|
25.5%
|
3
|
ファーウェイ
|
73.6
|
5.7%
|
4.8%
|
50.4%
|
4
|
レノボ
|
70
|
5.4%
|
4.5%
|
54.1%
|
5
|
LG
|
59.2
|
4.6%
|
4.7%
|
24.0%
|
|
その他
|
587.3
|
45.1%
|
40.0%
|
44.2%
|
|
合計
|
1,301.10
|
100.0%
|
100.0%
|
27.6%
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・13年の出荷台数は10億1,940万台。サムスンの出荷台数は落ちていない。
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