日航問題/ここまでボロ会社にしたのは国交省と銀行では
片肺飛行を続ける日航は、当初アメリカの航空会社デルタに支援を求めて、今回の経営問題が急浮上してきた。リーマンショックや豚インフルで急激に落ち込む搭乗者数から、一気に大幅赤字に転落、運転資金問題が浮上、当然日航は銀行団に支援を求めたが、銀行団から袖にされ、日航は旧政権下の国交省主導の下、米航空会社に増資を引き受けてもらうシナリオを書いた。
銀行団も全日空に比べ労働コスト高や退職者年金制度のよる負担問題を日航自体解決できないことから放ったのが実態であろう。しかし急激な売上高減少に何ら対応しなければ、行き詰ることが考えられた。それでも損害を出したくない銀行団は、日本政策投資銀行=国の管理下にあり、国=国交省の出方を待ったのであろう。
新民主政権は、日航が発表した米国の航空会社のお世話になるのを看過できず、早速、新政権の前原国交省大臣が出てきて、「JAL再生タスクフォース」を9月25日に設置、再建策を検討することになった。その後銀行団に対して再建策が出されたが、銀行団側は手を緩めず検討策を渋った。しかし、国が出てきて銀行団が渋り続けたら何をするか分からない新民主政権である。銀行団もお落とし所を模索していた。国の発言権が強いのには、日航に対する思い入れより、経済産業省と密接な日本政策投資銀行が桁外れの筆頭融資銀行であり、金融団を主導できる立場にもあった。
国交省・経済産業省と銀行団との間で綱引きが行われ、結果日航を、ADRを活用させて再建させることで合意したようである。そのため緊急融資の繋ぎ資金が日航に送り込まれた。ADRでは銀行団の債権放棄2500億円、増資1500億円が見込まれている。
昔は綺麗だった日航の姉ちゃん、以前は姉ちゃんと話するため、姉ちゃんが座る席の前に座席を指定していたほどであった。今では普通の姉ちゃんと変わりなくなってしまった。それでもスッチーとか呼ばれてプライドだけは高いようだ。日航に雇われなかったスッチー志願者は、外国航空会社に派遣搭乗員として採用され、安月給で日航のスッチー以上の業務をこなし一生懸命である。これでは日航「あんたの負け」。
国交省の役人は、八ツ場ダム廃止・全ダム事業の一時資金停止・新幹線新線凍結・新設道路予算凍結・日航問題など、これまで大掛かりな業務の絵を描き、計画を立て、政府とともにリードしてきた。そうした事業が全面的に見直されており、全く出る場もなくなった。実力行使しているのは、すべてを知り尽くす小沢氏ではなく、前原氏がリードしている点が注目される。前原氏は駆け引きのない信念の人物であるから手の打ちようもなかろう。
日本政策投資銀行 | 2,346億14百万円 | ||||||
みずほ | 759億56百万円 | ||||||
三菱東京UFJ | 738億90百万円 | ||||||
三井住友銀行 | 443億07百万円 | ||||||
他含む総借入高 | 5,665億14百万円 | ||||||
連結/ 百万円 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 | |||
10年3月期第一四半期 | 334,895 | -86,105 | -93,967 | -99,036 | |||
連結 百万円 | 総資産 | 株主資本 | 自己資本率 | ||||
10年3月期第一四半期 | 1,696,737 | 178,787 | 9.3% |
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