アイコン 鹿島建設/漢方薬「甘草」の水耕栽培に成功

甘草同社は、漢方薬などに広く使われる薬用植物「甘草」の水耕栽培システムの開発に成功した。「甘草」は国内使用量の100%を輸入に頼っており、生産技術に期待がかかる。
 医薬基盤研究所薬用植物資源研究センターが苗の提供や栽培法開発を担い、千葉大学が有効成分を蓄積できる条件の研究などを行った。鹿島は「産業化の可能な薬用植物の水耕栽培システムの開発は国内外でも初めてではないか」としている。

甘草は根に主な有効成分が含まれるが、肥料の入った水で栽培すると根が太くなりにくいのが課題だった。新システムでは、栽培中に適度なストレスを加えることで根の肥育を促すことに成功。害虫や病気などの心配がない植物工場で、日照、気温などを最適にすることで、畑では4年ほどかかる収穫までの期間を1~1年半に短縮できた。
 日本の甘草の輸入量は08年度で約1700トン。約3分の2を占める中国は近年、資源保護の観点から採取を制限、安定供給への懸念が高まっていた。鹿島は1~2年後の実用化を目指している。
 企業の野菜工場進出が多いが、膨大な設備投資と管理費用が必要なことから、採算に載せられる野菜などの作物は殆どないのが現状である。こうしたなか付加価値の高い漢方薬の原料である植物を生産する水耕栽培工場の生産技術確立は、非常に有用な開発といえる。
漢方薬の甘草(カンゾウ、根をキザミ乾燥したもの)は、500グラム1,800円で市販されている。 

【甘草の薬理作用】補脾益気・清熱解毒・潤肺止咳
グリチルリチンの分解産物は生体の肝臓で有害産物と結合して解毒する。又グリチルリチンは抗アレルギー作用があり皮膚科領域で応用されている。近年甘草エキス、グリチルリチン及びおその分解物には抗炎症作用、副腎皮質ホルモン様作用の有ることが明らかにされた。又グリチルリチンの誘導体には抗潰瘍作用が見いだされた。甘草の鎮痙作用はそのフラボノイド成分にある。その他甘草エキスには鎮咳作用、免疫抑制作用等も報告される。
【臨床応用】 緩和、緩解、鎮咳、鎮痛、去痰薬として筋肉の急激な緊張による疼痛等の急迫症状を緩解。胃痙攣、胃痛、咽喉痛、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、等にも対応する。また、グリチルリチンの製造原料として需要が多く、菓子類や醤油の矯味原料ともされる。
 

[ 2010年10月29日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
この記事を見た人は以下も見ています(開発・新商品、)
スポンサードリンク