コスモスイニシア/債務超過額505億円/中間決算
同社は、前期債務超過状態に陥り現在ADR手続き中であるが、大株主のファンド、ユニゾン社から供与を受けたマンション管理子会社コスモスライフを大和ハウス工業に売却するに当たり、74億27百万円を特別利益に計上、一方再生計画を確実にするために販売用不動産の再簿価切下げを行い104億27百万円の評価損を含め、事業再生損失118億99百万円を特別損失に計上したため、中間期純損失が61億78百万円となった。
そのため中間期末の債務超過額も500億円を突破、借入残もまだ1,542億円ある。
今中間期における売上高の主力は分譲マンションの販売であったが、前年同期の625戸の販売から今中間期は1,989戸急増させている。原価からは値下げ要因は見えないが、業界が不況の浸透により販売不振であり、マンション自身の値下がりが生じ、同社では前年同期1戸当たり3,345万円で販売していたものを、今中間期は同2,791万円で販売している。この値さげで大量販売を可能にした。率にして16.6%の値下げであり、赤字に陥る原因となっている。同社にしても販売に注力するどころか経営そのものの立て直しに必死であり、値下げで販売促進したものである。
連結/ 百万円 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期利益 |
09年3月第2四半期実績 | 74,472 | -5,852 | -7,815 | -9,406 |
10年3月第2四半期実績 | 97,154 | -917 | -2,899 | -6,178 |
10年3月通期予想 | 167,500 | -5,000 | -8,000 | 25,500 |
09年3月期通期実績 | 191,616 | -18,207 | -22,402 | -88,088 |
※自己資本 ▲50,580百万円の債務超過状態、ADR中 |
今期255億円の黒字になる予想であるが、理由は説明されていない。免除益の可能性もある。
前回も書いたが大和ハウス側は、価値のあるコスモスライフの購入とコスモスライフへの10億円の出資は認めたものの、それ以上の出資は全く考えていないと当社取材に答えている。10億円の出資ではスポンサーにはほど遠く、既存の金融機関からの新たなる借り入れはこれまでの経緯から不可能に近く、新たなる金融スポンサーが必要となる。
過去、リクルートコスモスからMBOで経営母体が変わったが、そのMBOのスポンサーであるユニゾンキャピタルパートナーズが今後の資金繰りも保証しているのであろうか。コスモスライフを所有していたユニゾン社が無償でコスモスイニシアにコスモスライフを譲渡すること自体、投資会社の理に適っておらず裏があるようでならない。
[ 2009年11月10日 ]
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