アイコン 俺の庭の冬

俺の庭は殆ど放ったらかしである。しかし横の山の枯葉を毎年竹箒で道路溝に落としこみ、腐れ加減を見計らって愛する梅の木の根元に被い被せる。もう何年になるだろうか。そうしたことから梅も実を少なからず実らせてくれる。


ある年、その梅を博多の著名なお菓子屋さんに持って行った、籠一杯持っていった。しかし、社長は、「梅は菓子加工に金がかかり過ぎ、商品にはならんよ」と一蹴されてしまった。その年は豊作で次どこへ持って行こうかと賛嘆した挙句、懇意にしている梅の名の付く料理屋さんがあった。そこにも籠一杯の梅を届けたが、事前に社長に伝えていたにも関わらず、その店舗内で放ったらかし。社長も冗談と思っていたようだ。しかし、その社長は、色の付いてしまった梅を、店内に飾ったそうである。梅は腐れ加減の時一番いい香りを放ち、お客さんに梅の香りを存分に楽しんでもらったとのことであった。少し掬われた。 
ところが、お菓子やさんに持ち込んでいた社長から「モットあるね」との思わぬ連絡が入った。社長によると、菓子職人さんたちが喜んでくれての追加注文。脚立で届かぬ高い所から梅をもぎ取り持って行った。それはそれは大変喜んでくれた。今でもそれが恒例になっている。
枯葉は毎年1mmの土壌を形成するという。しかし俺の庭では毎年10mm以上土壌化、ミミズやコロコロ虫・ムカデなど仰山いる。嫌われ物が土地を醸成し新しい実を実らせてくれる。チグハグのようであるがそれが自然のハーモニーである。
現在、福岡市外新宮町の立花山の麓で土に生きる農作者を取材中である。
 
俺の庭の渋柿は、毎年メジロにとって冬を乗り切る美味しい美味しい食物である。食べ尽くしたら春が来る。
 

[ 2010年2月13日 ]
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