アイコン 慶応大/量子コンピューター一歩前進

慶応大学、シリコン半導体中で量子コンピューターに不可欠なエンタングルメントの生成・検出に成功した。
 慶應義塾大学理工学部の伊藤公平教授は、英国オックスフォード大学John Morton博士らと共同でシリコン半導体に基づく量子コンピュータを開発している。
その研究の一環として、シリコンに添加されたリン不純物の電子スピンと原子核スピンの間で量子エンタングルメント状態を生成し、検出することに成功した。すべてのコンピュータで半導体として使用されるシリコン半導体中で量子計算に不可欠なエンタングルメントの生成・検出に成功したのは世界初、この成功は、量子コンピュータの実現に向けて、大きなブレークスルーとなる快挙。

 本研究成果は、Nature誌にロンドン時間2011年1月19日午後6時(日本時間1月20日午前3時)に掲載された。
また、本研究成果の動画(6分)を伊藤公平研究室のウェブサイト(http://www.appi.keio.ac.jp/Itoh_group/jp/)で配信している。

 1.研究の背景(古典コンピュータと量子コンピュータの違い)
 現在のコンピュータ(以下、古典コンピュータ)と全く異なる原理で動く量子コンピュータは、古典コンピュータの不可能を可能にすることができる。
その不可能を可能とする源が、量子重ね合わせ状態とエンタングルメント(量子もつれ)。古典コンピュータは、2進数の0または1のどちらかの状態しか利用しない。一方、量
子コンピュータの最小単位である量子ビットは、古典力学ではなく量子力学の法則に従うもの、すなわち、原子、電子、光子といった個々の量子からできており、0も1も同時に表すことができる。これが重ね合わせ状態。さらに量子コンピュータで必要となるのが、2個以上の量子ビットのエンタングルメント。個々の量子ビットを分離して2進数の0や1として扱えない、時空を超えた絡み合いが量子ビットのエンタングル状態。
2.研究の成果以下省略

 世界でこうした成果を競って研究されており、十年後には実用化されるだろう。
 

[ 2011年1月25日 ]
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