アイコン 九州大学らでノーベル賞もの発見/神経細胞増殖にスウィッチあり

九大(難しいのでリリース文より)
概 要
九州大学高等研究院の石谷太特別准教授(生体防御医学研究所)と名古屋大学高等研究院の伊藤素行特任准教授を中心とした、九州大学、名古屋大学、千葉大学の研究グループは、「神経細胞を生み出すスイッチ」を発見した。この研究成果は、1 月31 日付(英国時間)発行のNature Cell Biology 誌オンライン版に掲載された。

 

■内 容
九州大学の石谷特別准教授は、名古屋大学在籍時の90 年代後半より、Nemo-like kinase(NLK)と呼ばれる蛋白質に“リン酸”という化合物をくっつける酵素に注目して研究を行ってきていた。石谷特別准教授は「NLK がリン酸をくっつける蛋白質を片っ端から見つけ出す方法」を開発し、これに取り組んだ。
その結果、石谷特別准教授らは、NLK がNotch にリン酸をくっつけることを発見した。これをきっかけに、石谷特別准教授らは名古屋大学、千葉大学のグループとともに「Notch へのリン酸の付与が与える影響」について検討を開始。検討の結果、リン酸を付与されたNotch は遺伝子に指令を送れなくなることが明らかになった。さらに、実験動物ゼブラフィッシュにおいてNLK の働きを抑えたところ、Notch による指令が増強され、神経前駆細胞が神経細胞になりにくくなった。また逆に、NLK の働きを過剰にすると、Notch からの指令が弱くなり、神経前駆細胞が神経細胞になりやすくなった。
これらの結果から、「NLK によるリン酸の付与」が「神経前駆細胞が神経細胞にならないように我慢するのをやめさせること」、即ち、「神経細胞を生み出すスイッチとして働いていること」が明らかになった。
■今後の展開
今回明らかにした「Notch の働きを調節する仕組み」は、人間でも共通に存在すると考えられる。この成果をもとに、NLK の働きを操る薬などの開発が進めば、神経前駆細胞と神経細胞のバランスを人為的に調節し、神経細胞の数を自在に調節する技術につながると考えられる。この技術を将来的に人間に応用することができれば、脳梗塞、外傷性障害、神経変性障害など神経機能の低下によって起こる病気の治療にも貢献できると期待される。
また、Notch は神経細胞だけでなく、血管や血液、筋肉、皮膚、膵臓など複数の組織の形成においても大切な機能を果たしており、NLK が様々な組織の形成に貢献している可能性が期待される。さらに、Notch の異常な活性化が白血病発症や種々のガンの悪性化に深く関わっていることがよく知られている。このようなことから、NLK の働きの人為的制御がこれらの複数の組織の人為的再生だけでなく、疾病の治療に貢献する可能性も期待できるとしている。
Nature Cell Biology 誌に掲載されるほどすごい内容である。
 日々の研究の積み重ねの結果である。

 
数年後リン含有の健康食品がブームになるかもしれない。

 

 

[ 2010年2月 2日 ]
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