アイコン 地方Jリーグの苦悩/大分トリニータ・観光庁長官

2年前の面影無く、応援に行かないが50%超
一昨年はナビスコ盃に優勝するなど、J1で活躍した九州の大分トリニータであったが、昨年はホームのサッカー場が人工芝問題(責任問題となっていないのは県と業者の癒着か?)でズタズタ、戦績も全く振るわず、J2降格が決定。また経営難から選手も放出、借金だらけなど厳しい運営が続く大分トリニータである。

Jリーグ協会は、2010年1月、大分FCが来季の運営費を13億円強から9億97百万円に圧縮するなどして再提出した再建計画を審議。Jリーグが求めた9億円以内を満たしていないため、超過分97百万円のうち、減価償却費67百万円を除く30百万円をさらに削減する条件を付けて、追加の融資を承認した。大分トリニータは債務超過5億60百万円あり、協会が融資しなければ破綻状態にあった。
 この間、溝畑社長や皇甫副社長(選手として韓国から入団・監督・副社長)は、引責辞任。しかし、資金難から高額な監督は雇えず、再度皇甫氏に監督として今期のJ2で戦ってもらうことに決定した(J1最後の10戦は負けなしの快挙)。 

一方、溝畑社長は、京都出身の自治省のお役人、1990年に大分県へ出向、(当時の)平松知事(一村一品運動の立役者で知られる)に乞われ、94年チーム発足に関わり、日韓ワールドカップにおけるカメルーン招聘に尽力。03年には大分トリニータJ1昇格、04年大分県参事兼大分トリニータの代表取締役社長に就任、06年総務省を辞し、大分トリニータ社長に人生をかけた。しかし地方チーム、観客動員可能な60キロ圏内に60万人しかおらず、スポンサー企業は700社に上るものの、零細企業が殆ど、地方チーム特有の経営難に陥り、一時マルハン(京都)をスポンサーに引き入れ難を凌いだものの、パチンコ会社とのスポンサー契約について、Jリーグ協会から法度の号令がなされ打ち切らざるを得なかった。
再度窮地に陥り、前期は資金なし、勝星なしの状況が続き、昨秋の3億5千万円に続き、今年1月にも2億強をJリーグ協会から緊急支援(借入)を受けた。
大分トリニータは、J2からJ1に昇格した際にも債務超過9億円を解消しなければ、昇格させないとまでJリーグ協会から発せられたほどであった。
前期は、こうした経営難やJ2降格問題も絡め、溝畑社長は経営責任に問われ辞任に追い込まれてしまったのであった。溝畑氏は、彼を見込んだ平松知事の時代も遠に過ぎ去り、彼は大分トリニータから糸の切れた凧のように去った。
金が無ければ、いい監督もいい選手も入れることができない。地域地域と協会は言っているが、強力なスポンサーがいない地方チームにとって、気合だけではどうにもならないのも事実である。
そうしたなか先日、大銀経済経営研究所(大分銀行傘下)により、アンケート調査が行われ「大分トリニータの応援に行くか?」の質問に対して、初めて行くとした人が50%を割り込んだという。
大分経済は、埋立地の重工業と集積回路工場により産業は成り立っている。あとは農業・水産・温泉。その主たる産業がリーマンショックで打撃を受けており、地域経済にも大きな影響を与えている。こうした中でのJ2降格での戦いは、ファン離れとともに支援企業の協力低下も予想され、今後とも厳しい経営が見込まれる。

その後の溝畑元社長(50歳)は、同じ京都出身の前原国交相(京都)により、観光庁長官に招聘され、現在はそん所そこらの役人ではなれない長官の座にいる。スポンサー700社を集めるのに裸踊りも辞さなかった、借金するのも上手、マルハンに計13億円を出させるなどすご腕も、長官に納まるなどヌケ目のない人でもある。

 官公庁長官

[ 2010年3月 1日 ]
モバイル
モバイル向けURL http://n-seikei.jp/mobile/
スポンサードリンク