アイコン 水が貯まらない「大蘇ダム」/農水省 農業用水の需要量検証が絶対必要と

既に500億円以上投下したダムが水漏れして長年水なしダムとなっている。当ダムは農業治水用ダムの「大蘇ダム」(熊本県産山村)、これまで何回ともなく修復工事を行ったり、農水省側と地元も何回ともなく協議を持ったりしているが、地元民は地の人、農水省側は転勤族、問題解決は長引くばかりである。
治水を一番利用したい地区は、今年の田植えに向け、これまでどおり小川の水を24時間田んぼ毎に振り分け水田を作っているという。

同ダムは地域の2158ヘクタールの田んぼに水を供給する目的で、1979年に着工され、1987年に完成予定であった。しかし、地盤調査が杜撰であったことから、2度も工事が中断され計画も変更され、当初予算の130億円から既に593億円も税金が投下され、2005年3月完成したものの水が貯まらない水漏れダム(試験湛水の結果、1日に5千トン~4万トンの水が地面に染み込むことが確認されている)となっている。
現在、ダム水を利用して試験給水が行われているが、田植え時期と放流する時期が一致しない地域は、これまでどおり小川の水で対応している。当ダムは下の方にしか水が貯まらないため、放流する水がまったく不足している。

杜撰な地質調査がもたらした欠陥ダム、ダムを作るときに地質調査をした会社は官庁工事から永久追放処分が値する。
農水省と地元民は、修復工事に向けてこれまで何回も協議をしている。今回は農政局側が、農水省の方針に沿って利水機能の検証への協力を求め、改良区側は「水の需要量の予測データが実態とかけ離れている」と反論。農政局側は「予測に基づくデータで、確認のためにも検証が必要」などと主張、4時間も協議したもののまったくかみ合わなかったとされている。
農水省側が所持している需要予測データは、ダムを作りたい人が大学教授などに捏造させたデータであろうが、現に困っている農業者がおり、水はないがダムと言う器があり、早期に決着させるべきである。
水の需要量の予測データなどは、民間調査機関や農協に作成させればいいものを農水省もこだわったままである。水田を地区ごとに耕作面積を割り出せば、水田の水の必要量などはじき出されるはず。こうした農水省のお役人のお仕事も税金で賄われていることをお役人自身が認識すべきであろう。

15日も大分県竹田市荻町(給水を受ける)であった説明会に出席した近藤副大臣は、農業者ら約二百人を前に、「常識で考えて大蘇ダムに計画通りの水利機能はない。完成には法外な金が掛かる。(例えば)さらに5000億円掛かるのなら、別のダムを造ったほうがいい」とまで言って、ダム計画の不備を認めている。地元民は「火山灰性の土壌で水が浸透しやすい懸念は当初からあった。なぜこんな事態になったのか検証し、責任を追及すべきだ」としている。

水漏れを防ぐためには、ダム壁面を防水コンクリートで固める必要があり、セメント屋さんも生コン屋さんも大喜びのダムである。こうしてまた工事に膨大な税金が投入される。 
国はするならするとして早く結論を出し、修復工事をすると決定したらば早期に発注すべきであろう。(国はダム地底から一定の高さまで防水処理しようとしている。そのため、使用量を検査し、どこまでの水位を修復させるのか検討が必要であり・・・)

 

大蘇ダム
[ 2010年4月22日 ]
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