アイコン アキュラホーム/耐火性能不足383棟の可能性 建築基準法違反

国交省は5日、住宅メーカーのアキュラホーム(東京)が、準耐火建築物として施工した住宅383棟について、適切に建材を取り付けていないなど、耐火性能が不足している恐れがあると発表した。建築基準法違反の疑いがあるとみて詳しく調べている。

383件の内訳(都府県別)は、東京都(226)、神奈川県(42)、大阪府(42)、埼玉県(23)、兵庫県(23)、愛知県(10)、広島県(3)、千葉県(2)、調査中(12)となっている。
 
国交省やアキュラホームによると、耐火性能不足の恐れがあるのは、上述の通り少なくとも8都府県で、同社が手掛けた住宅。
耐火ボードを設置する際に、隙間なく取り付ける必要があるが、隙間がある状態で取り付けられていたとされる。
建築基準法に基づいて認定された方法で施工していない可能性もある。
アキュラホームは6月5日、次の通り発表している。
「当社が建築した準耐火建築物における不適合の可能性の件についてのご案内」
弊社が、名古屋市内に建築した準耐火建築物におきまして、一部国土交通大臣が認定・告示した施工方法に適合していないことが1件判明しました。
弊社は、国土交通省に報告のうえ、特定行政庁の指導のもと改善措置を実施いたします。
また、弊社の調査の結果、弊社が建築した準耐火建築物383件においても同様の可能性がございますため、この383件はお客様へご連絡のうえ、現地調査の実施後、不適合が認められた場合は速やかに改善措置を行ってまいります。

また、詳細については、
1.壁
内部間仕切り壁の準耐火構造の国土交通大臣認定(認定申請者:一般社団法人石膏ボード工業会、認定番号:QF045BP-9071 移行前は準耐火(通)W1001 )に適合しない施工が行われていた。
① 「40mm 以上のビスでボードを留め付ける」と規定されているところ、「28mm のビス」で施工していた。
② 下地組で胴縁を施工すべきところが施工されていなかった。
③ ボード周辺部に一定の間隔でビスを留め付けるべきところ、上端部までボードが施工されておらずビス留めされていなかった。
④ ボードを目すきのないように張るべきところ、隙間が空いていた。
2.床直下の天井
平成12 年建設省告示第1358 号第3 のニのハでは「当該取合い等の部分の裏面に当て木が設けられている等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造とすること」と規定されているところ、一部当て木がなかった。
3.軒天
軒裏の換気スリットにおいて認定(認定申請者:日本化学産業株式会社、認定番号:QF045RS-0059)では施工手順「換気隙間を10~15mm 設ける」の記載に不適合で、換気ス
リット本体に軒天板が十分差し込まれずに隙間が大きかった。

その他不適合の可能性のある部位
1.壁
外部側壁においても準耐火構造の国土交通大臣認定(認定申請者:一般社団法人石膏ボード工業会、認定番号:QF045BE-9227 移行前は準耐火(通)Wb1001)の仕様である場合、認定仕様に適合しない施工(上記①~④)が、一部行われていた可能性がある。
【確認の経緯】
当社が、名古屋市内に建築した準耐火建築物(木造住宅)の建築主より4月19日に施工不良の指摘を受けて調査をしたところ、上記の施工不適合が確認され、これを監督官庁である国土交通省に報告しました。
また本件を受けて、当社がこれまでに建築した総数9,820件について、緊急調査した結果、準耐火建築物383件についても同様の可能性があることを、同省に報告いたしました。
【不適合の原因】
当社は対象物件が、準耐火建築物であることを認識の上で設計と施工を行いましたが、工事の監理に不行き届きがありました。
【今後の対応】
施工方法に不適合が認められた住宅につきましては、お客様の安全・安心を最優先する方針のもと、早急に改修工事などの対策を実施してまいります。まずは建築主にご報告し、ご意向を伺いながら適切な対策を講じさせて頂く所存です。
としている。

<国交省発表分>
間仕切壁の準耐火構造大臣認定関係/国交省作成分
 
(認定番号QF045BP-9071※、(社)石膏ボード工業会)※平成14 年5 月16 日以前は、準耐火(通)W1001
 
大臣認定仕様
不適合施工
1
 ・石膏ボードを長さ40 ㎜以上のスクリューねじで留める。
・石膏ボードを長さ28 ㎜のスクリューねじで留めていた。
2
 ・下地組で胴縁を施工。
・下地組で胴縁を未施工。
3
 ・石膏ボード周辺部は、スクリューねじで留めること。
・石膏ボードが上端部まで施工されておらず、スクリューねじで留めていなかった。
4
 ・石膏ボードは「目すきのないように張る」。
・石膏ボードの隙間を空けて施工。
 
・同認定以外にも、類似の仕様である準耐火構造の外壁(認定番号QF045BE-9227※、(社)石膏ボード工業会)が使用されている可能性がある。            ※平成14 年5 月16 日以前は、準耐火(通)Wb1001
 
 
床の準耐火構造告示関係(平成12 年 建設省告示第1358号)
 
告示仕様
不適合施工
 
・床の直下の天井と壁の取合い等の部分の裏面に当て木が設けられている等当該建築物の内部への炎の侵入を有効に防止することができる構造とすること。
・床の直下の天井と壁の取合い等の部分の裏面に当て木が未施工。
 
 
・軒裏の準耐火構造大臣認定(認定番号(QF045RS-0059、日本化学産業(株))
 
認定仕様
不適合施工
 
・換気隙間を10~15 ㎜設ける。
・(換気スリット本体に軒天板が十分差し込まれず)換気隙間が大きい。
 
こんなに多くの問題が、工事の監理に不行き届きとは考えにくく、設計の施工図面に、そうした問題のある施工方法の図面が記載されていたと思われる。
悪く考えれば、手抜き・コスト削減仕様にしていたともみられるが、同社は、年間1,511 棟(平成24年2月期完成棟数)も建築しており、また、国交省の認定住宅を手掛けており、信用を失うような、また、そんなケチクサイことはしないと思われる。ただ、問題点を工事の監理に不行き届きだけにせず、明らかにしてもらいたいものである。
 
<アキュラホームの業績>売上高・利益とも過去最高を記録
アキュラホームの業績
単体/百万円
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
2011年2月期
33,802
2,071
2,223
1,244
2012年2月期
36,066
2,189
2,300
1,313
 
売上高構成
建築部門
前期比
ビルダー開発
前期比
2011年2月期
32,519
7.3%
1,282
1.7%
2012年2月期
34,906
9.6%
1,160
-9.6%
・ビルダー開発事業はアキュラホームシステムの販売等
 
住宅
受注棟数
前期比
完成棟数
前期比
2011年2月期
1,594
-3.3%
1,449
6.0%
2012年2月期
1,529
-4.1%
1,511
4.3%
 
[ 2012年6月 6日 ]
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