アイコン 追跡!倒産:(株)ミヤスズの破綻について

ミヤスズ銚子市において、地域密着型の食品スーパーとして13店舗を経営していた(株)ミヤスズが、9月16日、経営不振から行き詰った。同社の経過と破綻原因を探ってみた。

1、破綻会社  :(株)ミヤスズ
2、本店所在地 :千葉県銚子市三崎町3-25
3、代表者名  :本宮照康
4、設   立    :平成22年9月
5、資本金     :1000万円
6、業   種    :食品スーパー事業

13店舗
ミヤスズ三崎店
ミヤスズチャオ店
ミヤスズ旬鮮市場横須賀店
ミヤスズ旭店
ミヤスズ新生店
ミヤスズ駅前店
ミヤスズ神崎店
ミヤスズ海上店
ミヤスズ須田店
ミヤスズ外川東店
ミヤスズ多古南店
ミヤスズ笠上店
ミヤスズ飯岡店
 
7、破綻日   :9月16日(事業停止)
8、負債額   :約22億円。
9、破綻事由 :自己破産申請準備
10、委任弁護士:西谷升孝弁護士(なのはな法律事務所、千葉市中央区中央4-13-13、電話043-222-1688)
11、自己破産申請予定裁判所 :旧ミヤスズの特別清算の申請裁判所は、東京地方裁判所であった。今回は現在のところ不明。
 
12、破綻原因:
旧ミヤスズを潰した経営者に、そのまま会社分離した新設会社(第2会社)の経営に当たらせたところに最大の原因がある。
 
13、破綻に至る経過ほか:
 同社の前身となる旧(株)ミヤスズのピーク時には約30店舗、平成3年2月期の年商は約192億計上、その後、競合店の出現や消費不況などから後退を余儀なくされ、店舗数も13店舗まで減少して、平成22年期の年商は約68億円まで落ち込んでいた。
 一方、バブル時代に行った投機的な不動産の取得もその後の経営に重く圧し掛かっていた。その結果、経営に行き詰まった。しかし、金融機関などの計らいで、平成22年9月に新(株)ニユーミヤスズを設立して会社分割してスーパー事業は生き残ることになった。旧社は社名も(株)ミヤスズから(株)ウインドに変更して同年12月22日解散を決議、翌年2月7日に負債額約21億円を抱え、東京地方裁判所において特別清算開始決定を受けた。
 一方、旧(株)ミヤスズから会社分割により営業資産と一部負債を引き継いだ新生(株)ニユーミヤスズは、社名を(株)ミヤスズに変更して、事業はこれまで継続されてきた。
 ところが、負債も軽くなり事業再生されると思われた新(株)ミヤスズが、競合店との更なる競争激化や地元銚子市に降臨してきたイオンモール銚子との競争に敗れ、不良資産会社を分離して3年も経たず行き詰ってしまった。
 会社分割方式により同社の再生を支えたのは、関東財務局から委託を受け商工会議所が運営する千葉県中小企業再生支援協議会であった。金融機関も地元に密着したスーパーとして無碍にできず、それかといって実質不良債権化している貸付金の合法的処理もあり破綻させるしかなかった。そこで、再生支援協議会に破綻と再生を委ね、不良資産と負債を抱えた会社と現業部門会社に会社を分割して、新会社により事業継続がはかられた。
 
会社の存続面や雇用面からは、なんら問題ではなかったが、再生支援協議会といっても企業再生については素人集団、破綻させた会社の経営者に新会社を任せたままにしていた。
経営者に問題があったからこそ競争に負け、旧ミヤスズは経営破綻したものであり、その経営者に新会社の経営を任せたことに今回の新ミヤスズの破綻の原因があるともいえる。
 
経営者は、自分の経営手法は間違いないといつも信じている。他店と競争に負けていることについては、イオンがどうの、ライバル店がどうのと言い訳だけで逃れる。しかし、会社は言い訳では経営できない。そのことを今回、本間代表が立証したまでのことである。
また、代表の個人面では、旧社に貸し付けていた金融機関から、代表個人の連帯保証分の請求があっていたと思われ、仕事どころではなかったかと思われる。そうしたことからも、金融機関は、経営破綻している会社の再生に当たっては、産業再生法などによるものや債権回収機構に再建を依頼するものなど、必ず代表者に経営責任を取らせ、事業継続会社の代表者や役員から外している。現実はシビアである。
企業再生支援協議会がそのまま破綻した企業の経営者に、事業継続の新会社を引き継がせたところに問題の根本があるようだ。
 
旧ミヤスズの破綻では、バブル時代に投機的な資産を買い込み、その後のバブル崩壊で会社は大きな含み損を抱えていた。そうした不動産は、一部、賃貸不動産として貸し出していたようだが、銀行が決算書を見直すときのように時価評価に直せば、旧社は破綻する以前から実質大きな債務超過に至っていたのである。そうしたところに流通の激動期が訪れ、競争に敗れ実質経営破綻。新生会社も経営者が替わらないことから、それ以前の経営手法しか脳みそになく、イオンモール銚子の出現に対抗することもできず、新生会社まで行き詰らせたものである。
 
再生支援協議会は、経営者を守りたかったのか、地域に密着した店舗を市民のために守りたかったのか、問われるものとなった。会社分割した時点で、新社を一定の条件を付けて、同業の第3者(俗に言うスポンサー)に売却すべきだったのではなかろうか。官庁ご用達・天下り組織のような再生支援協議会の温情主義では、何の成果も得られず、かえって信用供与面から被害を拡大させる片棒を担ぐことにもなる。
 
願わくば、店舗によっては購入希望の同業者も多いと思われ、早期に売却して、そうした店舗を再開させることも雇用の継続面からもお年寄りなど地元民も助かる。破産申請処理を委任された弁護士や破産申請後の破産管財人となる弁護士の手腕に頼るしかない。
 
銚子市の概要と店舗
企業数 :16企業
店舗数 :23店
人口(千人):総人口:70千人/ 集中地区人口:35千人
世帯数(千世帯):総世帯:27千世帯/ 一般世帯数:27千世帯
総世帯:27千世帯 | 一般世帯数:27千世帯
高齢夫婦世帯数:19千世
<店舗>
ミヤスズ13店舗
スーパータイヨー銚子店
全日食チェーン石田ストアー
カスミフードスクエア南小川店
セイミヤ銚子四日市場店
イオン銚子店(イオンモール銚子内)
フードプラザハヤシ銚子店
ファミリーセンタータカヨシ小畑店
ケーヨーデイツー銚子明神店(D2)
フードマーケットカスミ銚子松岸店
ファミリーセンタータカヨシ銚子店
カワチ薬品銚子北店
カワチ薬品銚子店
ウエルシア銚子三崎町店
ウエルシア銚子松岸店
ドラッグストアトライウェル銚子店
ヤックスドラッグストア銚子明神町店
ヤックスドラッグストア銚子芦崎店
ヤックスドラッグストア銚子松本町店
ヤックスドラッグストア銚子南小川町店
カインズホーム銚子店(HC)
コメリハード&グリーン小畑店(HC)
酒のやまや銚子店
リカーショップ:酒&薬サイガ銚子店(個店)

 

[ 2013年9月19日 ]
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