アイコン パラゾール・アイスノン・ホッカイロの(株)白元/民事再生申請 負債額255億円

家庭用防虫剤・衛生剤、殺虫剤製造の(株)白元(東京都台東区東上野2-21-14、代表:鎌田真)は5月29日、申請処理を南賢一弁護士(電話03-5562-8500 )ほかに一任して、東京地方裁判所へ民事再生法の適用申請をした。監督員には、腰塚和男弁護士(電話03-3254-6788)が選任されている。なお、 (株)白元再生対策室(電話03-3835-7563)が設けられている。
 負債額は約255億円。

同社は、1923年(大正12年)創業の家庭用防虫剤等の製造販売会社。ナフタリン(防虫剤)、パラゾール(防虫剤)、ノンスメル(冷蔵庫脱臭剤)、アイスノン(保冷剤)、ホッカイロ(暖熱剤)など大ヒット作を世に送り出してきた。
しかし、主力のカイロ部門の売上高が競争激化や暖冬で伸び悩み、保冷剤事業は大幅減収となり、2013年3月期の売上高は前期比▲3.2%減の304億8百円(前期315億2百万円)、6億円を超える事業再構築関連費用を特別損失として計上し、当期利益は▲3億6百万円の赤字となっていた。
同社は、財務内容強化および資金調達をはかるため、2013年5月、住友化学に対して第三者割当増資を行い、住友化学が19.5%の筆頭株主となっていた。
そうした中、本年1月、国内での使い捨てカイロ事業を、医薬品メーカー大手の興和へ譲渡。同社が51%、白元が49%を出資して興和白元古河ファクトリー(株)を設立、1月からカイロ製造を始めていた。
ところが、本年2月に白元の決算に粉飾の疑いが生じ、取引銀行団が白元の支援に慎重になり、白元は金融機関に対し3月末から6月末まで返済猶予を申し入れた。
5月になると財務内容の精査するため、第3者の監査法人に企業価値調査(デューデリジェンス)をすることを決定。
そうしたなか、材料仕入先も取引に慎重になり、取引条件の変更などを受け、同社は資金繰りが逼迫、抜本的な再生を図るため今回の申請となった。

売上高推移:
2010年3月期約332億3百万円
2011年3月期約291億5百万円
2012年3月期約315億2百万円
2013年3月期約304億8百万円

関連会社:
大三(株)(大正9年創業、高知県香南市赤岡町2258-3、代表:岡田守男、衛生品製造)
(株)マザーズ(東京都墨田区太平2-5-11、代表:大沼弘明、医薬部外品製造)、
香港白元有限公司(中国、日用雑貨製造)、
白元家庭用品有限公司本社(中国、日用雑貨販売)、
UNI-KING OF HAWAII,INC(アメリカ、家庭・日用品の輸入卸)
などがある。


なお、FACTAは次のように書かれている。
創業一族の鎌田真社長(47)は慶大経済学部卒業後、米ハーバード大学でMBA(経営学修士)を取得したエリートだが、「交友関係が派手で羽振りがよすぎる」と銀行筋から不安視されていた。
1月には使い捨てカイロ「ホッカイロ」の国内販売事業を「キャベジンコーワ」で有名な興和(名古屋市中区)に譲渡するリストラ策を実施したが、この事業譲渡に先立ち、興和から売掛金や在庫を担保に譲渡代金の一部を前借りしていたことが判明し、資金繰りの苦しさが浮き彫りになった。
3月中旬には取引金融機関を集め、粉飾決算を修正するため、今3月期決算は62億円の最終赤字を計上し、自己資本がほぼゼロとなる見通しを示し、3月末から当面の返済ストップを要請する事態となった。
産業再生機構の元COO・冨山和彦氏が率いる「経営共創基盤」が再生計画を作り、銀行団との交渉を引き受ける案も浮上したが、あまりにも杜撰な経理処理に匙を投げたと伝えられ、瀬戸際に追い詰められている。
実は、「白元危機」に頭を抱えているのは大株主の住友化学。昨年5月、白元の要請を受けて19億円の株式を引き受け、提携関係を強化したばかり。わずか1年で全損の憂き目では目も当てられない。 「どのような資産査定を行ったのか。経団連会長(3月まで)を務める米倉弘昌会長のワンマン体制の綻び」と揶揄する向きもある。

[ 2014年5月30日 ]
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