韓国の輸出経済を見る場合、中国の現状を見る必要がある。この章では中国経済と韓国経済を見てみる。
<中国のGDPと輸出額の相関関係推移>
中国経済は、2007年をピークに、国内経済の発展により内需が大きく増加している。2007年と2013年の比較では、輸出額は81.0%伸びているにもかかわらず、同GDPが170%増加しているため、その相関率(依存度)は34.8%から23.3%まで減少している。中国経済が悪化しているとしても7%台という先進国に比し高い水準にもある。

中国のGDPと輸出額の相関関係推移
 
経済成長率
GDP(名目)
輸出額
相関率
2004
10.1
1,944,670
593,330
30.50%
2005
11.3
2,287,260
761,950
33.30%
2006
12.6
2,793,160
968,980
34.70%
2007
14.2
3,504,610
1,220,460
34.80%
2008
9.6
4,547,720
1,430,690
31.50%
2009
9.2
5,105,770
1,201,610
23.50%
2010
10.4
5,949,650
1,577,750
26.50%
2011
9.3
7,314,480
1,898,380
26.00%
2012
7.6
8,386,680
2,048,710
24.40%
2013
7.7
9,469,120
2,209,000
23.30%
13/07
 
170.2%
81.0%
 
・2013/2007では、GDP170.1%増、輸出額は80.9%増
・出典:ジェトロ/単位:百万ドル。★内需が急拡大している。
 
<韓国の中国への輸出額 2013年>
輸出入の関係とは別に、韓国企業は中国へ大量工場進出していたが、ここ2・3年賃金上昇に耐えかね撤退している企業も多い。
青島韓国人会(青島市だけ)は、2006年に6000社余りあった韓国企業が、今では2500社余りに減少しているという。韓国企業は中国で短期成果主義と大都市中心の進出に執着し、失敗を繰り返しているとも指摘されている。
 
2013年 韓国の主要輸出国
 
2013
 
金額/百万ドル
構成比
伸び率
アジア
324,163
57.9
1.9
 中国
145,869
26.1
8.6
 香港
27,756
5.0
-14.9
 ASEAN
81,997
14.7
3.6
  シンガポール
22,289
4.0
-2.6
  ベトナム
21,088
3.8
32.2
 日本
34,662
6.2
-10.7
北米
67,255
12.0
6.2
 米国
62,052
11.1
6.0
欧州
69,205
12.4
1.3
 EU28
48,857
8.7
-1.1
中東
32,288
5.8
-11.8
中南米
36,328
6.5
-1.1
オーストラリア
9,563
1.7
3.4
合計(FOB)
559,632
100
2.1
・ジェトロ版 (韓国通関資料)
2012年の韓国における中国の輸出構成比24.5%
 
<中国の主要輸出国 2013年>
2013年 中国の主要輸出国
 
2013
 
金額/百万ドル
構成比
前年伸率
アジア
1,134,706
51.3
12.7
 香港
384,792
17.4
19.0
 ASEAN
244,070
11.0
19.5
 台湾
40,644
1.8
10.5
 韓国
91,176
4.1
4.0
 日本
150,275
6.8
-0.9
北米
397,838
18.0
4.7
 米国
368,427
16.7
4.7
欧州
405,775
18.4
2.4
 EU28
338,985
15.3
1.1
中南米
134,271
6.1
-0.7
アフリカ
92,809
4.2
8.8
合計(FOB)
2,210,019
100
7.9
・ジェトロ版 (中国通関資料)
 
<香港の輸出>中国から海外への輸出の窓口機能
香港の輸出は、海外企業が香港経由(実態は台湾企業も多い)で中国に輸出している分と中国から香港に入った製品を中国外の外国へ輸出している分とにわかれる。
 
2012年 香港の輸出品目
 
2012
 
金額/百万ドル
構成比
伸び率
電気機器・同部品
917,410
26.7
1.9
通信・音響機器
628,940
18.3
11.9
事務用機器・データ処理機
426,837
12.4
12.5
雑製品
248,942
7.2
1.8
衣類・同付属品
175,085
5.1
-8.1
非金属鉱物製品
133,351
3.9
-4.8
撮影・光学機器・時計等
114,116
3.3
5.9
専門・科学・制御機器等
83,184
2.4
12.5
紡織関連製品
81,798
2.4
-6.8
プラスチックの一次製品
67,621
2.0
-4.2
合計(他含、FOB)
3,434,346
100
2.9
 
2012年 香港の主要国別輸出先
 
2012
金額
構成比
伸び率
アジア大洋州
2,482,451
72.3
4.1
 中国
1,857,759
54.1
6.3
 日本
143,970
4.2
6.5
 台湾
80,842
2.4
-5.2
 韓国
58,853
1.7
-4.0
 ASEAN
227,696
6.6
2.1
EU27(欧州)
332,878
9.7
-7.4
北米(NAFTA)
379,606
11.1
2.1
 米国
338,505
9.9
2.3
合計(その他含む、FOB)
3,434,346
100
2.9
 
韓国の貿易収支
韓国の直接投資残高は、2012年における韓国の直接投資残高は前年比14.5%増の196,410百万ドル(日本は9.6%増の1,054,928百万ドルと韓国の5.3倍)となっている。
韓国経済を端的にいえば、時流に乗り経済成長を果たしてきたものの、基礎体力が弱く、時流が低迷を受けやすい体質となっている。低成長では基礎体力勝負となるが、韓国の産業構造は景気産業に依存している分、その影響を受けやすいといえる。