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種蒔き仙人のアブドルアジズ初代国王が実に息子を42人ももうけ、これまでその息子たちが交代して国王となってきた。
しかし、現サルマン国王(2015年に第7代国王就任、初代の25番目の息子)は、初代の息子たち(現国王の兄弟)とその息子たち(初代の孫たち)の年齢が近くなり、まだ初代国王の息子たちがいるにもかかわらず、それも既に決定されていたムクリン皇太子(サルマンの兄弟)を更迭し、さらに7代目になるはずだった故ナエフ皇太子の息子を自ら皇太子にしたものの、それも更迭し、我が子可愛さにムハンマドを次の国王にすべく皇太子に就任させた。

既にサルマン国王はボケ=認知症を病み、ムハンマド皇太子がイエメン空爆など全面開戦やカタール国交断行などを陣頭指揮し、ほかの王子たちから反発を買っていたといわれている。

<スデイリー・セブン閥による排除>
2015年1月に国王に就任した現サルマン王は同年4月、勅命を発し、皇太子(次の王様候補)兼副首相のムクリン王子を解任し、副皇太子兼第二首相のムハンマド・ビン・ナーイフ王子を内務大臣と政治・安全保障評議会議長を兼ねたまま皇太子兼副首相に昇格させ、息子のムハンマド・ビン・サルマーン王子を国防大臣と経済開発評議会議長を兼ねたまま副皇太子兼第二副首相に昇格させた。

宗派も異なる。アブドラ前国王はイスラム・スンニ派サラフィー主義、サルマン国王やムハンマド皇太子はサラフィー主義から派生したワッハーブ派。

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<スデイリー・セブン閥も敵に>わが子かわいさ
6代目国王のアブドラ国王の派閥だったムクリン王子を更迭し、権力の核心から遠ざけ、自身の周辺をスデイリー・セブン閥(初代国王に寵愛されたスデイリー家出身の女性ハッサとの間に生まれた7人の男子)で固める意向による人事とみられた。
しかし、サルマン国王は、スデイリー・セブン閥より我が息子が可愛いさに、勅命でナーイフ皇太子を更迭(全職解任)し、息子のムハンマドを皇太子に就任させ、現在がある。

<棚から牡丹餅の国王就任>
サルマン国王は、兄弟のナーイフ皇太子が7代目の国王になる予定であったが、2012年6月ナーイフ皇太子が死去したため、棚から牡丹餅状態でサルマン王子が皇太子になり、2015年1月に7代目国王に就任していた。

2014年4月皇太子を解任されられたムクリン元皇太子の息子のマンスール・ビン・ムクリン王子が2017年11月5日、リビア南西部で搭乗のヘリが墜落して死亡した。
ムハンマド皇太子の粛清から逃れようと逃亡をはかり、撃墜されたと見られている。
(この結果、反ムハンマド皇太子勢力の王子たちは戦々恐々に陥っている。恐怖に陥らせるのも大事な独裁の手法)

<わが子を国王にするためには絶対君主にするしかない>
当然、初代の息子たち(現国王の兄弟)や歴代の国王の息子たちがどう動くか不安でならないのが、時の国王のサルマン王(ボケ症状)と次国王になる息子のムハンマド・アブ・サルマン皇太子(32歳/MbS/トランプ同様ナショナリスト)であることは疑いようもない。(因みに金正恩は33歳)。

父親の国王が、まだ国王の座にいる間にと、ムハンマド皇太子は、国王を利用し、自ら陣頭指揮をとり、中国習の江沢民派に対しての一掃のように、腐敗・不正蓄財を大義に、敵対しそうな人物たちを根こそぎ検挙する策動に出ている。

<高級ホテルが王子様たちの拘束場所>
腐敗・不正蓄財摘発により、ムハンマド皇太子は、自分の従兄弟に当たる王子たち、および、その取り巻きや閣僚ら200人以上を、サウジアラビア首都リヤドにある高級ホテル、リッツカールトンに、それでも拘束施設が足りずに、もう一つ高級ホテルを借り上げ拘束し、国王が作り、ムハンマド皇太子が指揮を取る「汚職対策委員会」が、既に208人の取調べを実行したという。

<釈放は不正蓄財の全財産の払い戻し>
サウジのシェイフ・サウド司法長官は、汚職によって不正取得された金額は少なくとも1000億ドル(約11兆3000億円)に達していると見ている。

ムハンマド皇太子は、拘束された王子たちも元国王の息子たちも多く、王子たちをムゲに扱うこともできず、不正蓄財資金を拠出させる取引を開始しているようだ。

拘束されている王子は、国家警備隊長のムトイブ王子(前6代国王アブトラの息子、2010年11月~2017年11月/それ以前は6代国王が47年間隊長)、同じくアブトラ前国王の息子のトルキー・ビン・アブドラ王子、大富豪のワリード・ビン・タラール王子などなど・・・

<独裁のための大義などどうにでもなる>
ムハンマド皇太子は、原油安・財政赤字・脱原油依存などサウジの現体制の大変革を大義にしているものの、大義の下に、独裁政権を樹立しようとしている。まだ32歳であり、超長期王の座を獲得したとしても、今回の強権発動は、一時的に資金を剥奪したとしても、これまで甘い汁を吸ってきたサルマン国王やムハンマド皇太子に対する不満分子の王子たちが結束しかねない。
当のサルマン王家(2015年王様)もそれまでにいくらでも不正蓄財してきたはすだ。

大量にサウジに武器を売却する米トランプとサルマン国王+ムハンマド皇太子は強く結びついている。しかし、米トランプほど優柔不断な大統領はおらず信任にも値せず、ムハンマド皇太子の独裁政権樹立が成功するかどうかは、多くの王子たちにかかっているといえそうだ。
サルマン国王も2015年に国王になった人、人心を掌握しているかも未知数だ。
サルマン国王は2011年から国防大臣を務めていたが、軍部=国防組を抑えているかも不明。

<国家警備隊のクーデターも懸念される>
サウジは国防軍より、米軍需会社の直接指導を受けた国家警備隊が即戦力で優位にあるとされる。
前アブドラ国王と今回逮捕された息子が50年以上統括してきた国家警備隊の動きも注目される。

 

サウジ王家 スデイリー・セブン閥 
初代国王とスデイリー家の娘ハッサとの間の息子
1
ファハド・ビン・アブドゥルアズィーズ(1921年 - 2005年)、第5代国王(1982年 - 2005年)
2
スルターン・ビン・アブドゥルアズィーズ(1929年 - 2011年)、皇太子(2005年 - 2011年、王位即位前に病死)
3
アブドゥッラフマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ(1931年 - 2017年)、防衛副大臣(1978年 - 2011年)
4
ナーイフ・ビン・アブドゥルアズィーズ(1934年 - 2012年)、皇太子(2011年 - 2012年、王位即位前に病死)
5
 トゥルキー・ビン・アブドゥルアズィーズ(1934年 - 2016年)、防衛副大臣(1968年 - 1978年)
6
サルマン・ビン・アブドゥルアズィーズ(1935年 - )、皇太子(2012年 - 2015年)、第7代国王(2015年 - )
7
アフマド・ビン・アブドゥルアズィーズ(1942年 - )、内務大臣(2012年)


 

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