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沖縄県への観光客数が初めてハワイを超える勢いで伸びている。
アジア各国で中間所得層の拡大が続く中、台湾をはじめとする消費意欲の強い観光客や富裕層を取り込むインフラ整備が奏功している。

沖縄県の観光客は2016年度で11%増の877万人。県のデータによると4年連続で過去最高を更新した。
日本人客6%増に対して外国人客は28%増。
外国人は、台湾、中国、韓国といったアジア勢が中心で、2016年度は過去最高の約213万人と2006年の22倍に増えた。
一方、ハワイの観光客数(2016年1~12月)は3%増の893万人。
直近5年平均伸び率はハワイ3%に対して沖縄10%で、沖縄は2017年度上期も過去最高を更新した。

アジアでは、中間所得層が拡大しており、経産省の資料によると中国、香港や韓国を含むアジアでは2010年の9億4千万人が、2020年には20億人に拡大する見通し。
バニラ・エア、香港エクスプレス、チェジュ航空などが沖縄発着便の就航や増便、クルーズ船の沖縄寄港回数を増やして、こうした観光客を取り込んでいる。

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沖縄・伊平島にリゾート基地を開発中の森トラストの伊達美和子社長は、観光客の伸び率を踏まえて「早ければ沖縄は2017年にもハワイを上回る可能性がある」との見方を示した。
2017年度上期の沖縄の観光客は9.3%増の505万人と半期として最高で、沖縄県文化観光スポーツ部観光政策課の我謝勝栄氏によると海外観光客の約8割が中華圏と韓国でという。
10月も中国国慶節の大型連休、台湾からの臨時便や香港大型クルーズ船が順調だったとしている。

ホテル
ハワイのホテルやコンドミニアム、タイムシェアを含む宿泊用客室は、2016年は7万9000室数と2006年の7万2000室以降、7万室台で推移している。
沖縄は、民宿やユースホステルも含めて昨年末で4万2700室と4%増えた。
ハワイは、1泊料金が500ドル超(円換算5万6000円)の部屋が34%、同251ドル(2万8000円)以上は33%に達する。
沖縄のホテルの客室単価は、リゾートホテルが2万2500円、シティホテルが1万3250円とハワイに比べて安価。

沖縄は、こうした中で旺盛な観光需要の取り組みに向け、リッツカールトンやハイアットリージェンシーが開業、ハレクラニ、ヒルトンはホテル開発計画が相次いでいる。
ヒルトンのマーティン・リンク・アジア太平洋地域プレジデントは、森トラストとの都内での共同会見で11月13日、「例をみないほど沖縄の人気は上がっている」と述べた。
  この会見でヒルトンは現在沖縄にある沖縄北谷リゾートに加えて、18~20年にさらに3件のホテル開業を予定していることを明らかにした。
森トラストは、ヒルトン、ヒルトン・グランド・バケーションズ(HGV)と提携して、タイムシェア・リゾートとホテルを合わせて合計約430室の大型宿泊施設を開発する計画で、20~21年の開業を目指している。

ハワイ在住25年のマーク・ワンHGV社長は「沖縄は、我々のアジアの顧客の最も人気が高い渡航先だ」と述べ、「ハワイのようなリゾート施設を提供しようと考えている」と語った。

沖縄県は、官民挙げた観光プロモーションを海外向けに展開、人気の一つがリゾートウェディング。
沖縄リゾートウェディングは、2016年で1万5400組と前年比で8.6%増加して過去最高を更新した。
うち、国内カップルが1万3500組と6.4%増だったのに対して、海外カップルは1870組と水準は低いが28.0%増加した。特に香港と台湾の伸びが大きい。

課題
ハワイのニューオータニカイマナビーチホテルで2080年代に総支配人を務めた経歴を持つザ・パークグレイス・ホテルズの窪山哲雄社長は、沖縄のホテルがハワイと並ぶ存在となるには少し時間がかかるとした上で「富裕層をいかに取り込むことができるかが成功のカギだ」との見方を示した。

富裕層を含む観光客取り込みへ、インフラ整備プロジェクトも相次いでいる。
那覇空港は2020年3月の使用開始を目標に約2000億円の滑走路増設工事が進行中。
三菱地所は10月に宮古島市の下地島空港の旅客ターミナル施設の建設工事に着手、2019年3月開業を目指す。
沖縄県は2021年度までに1200万人の観光客数を目標にして、宮古島の下地島空港(3千メートル滑走路)は格安航空(LCC)のほかプライベートジェット機も受け入れる予定。

総合不動産サービスJLLの沢柳知彦・取締役執行役員は、ハワイは半分が日本人を中心とするインバウンドで沖縄のインバウンド比率はまだ小さいとして「沖縄のインバウンドはまだ伸びる可能性がある」と話している。
同時にハワイは、通年トロピカルリゾートなのに対して、オフシーズンがある沖縄はオンとオフで宿泊料金が3倍くらい違うと語った。このため「沖縄は海を使えないオフシーズンに観光客をどう伸ばしていくのか、今後リゾートの多様化が課題だ」と指摘している。
以上、ブルームバーグ参照

中国はじめ中華圏の富裕層を取り込むため、中国企業と提携して中華圏向け高級コンドミニアムリゾートの開発、英語教育の小・中の学校などを併設すれば、富裕層の家族の住居拠点になる可能性もある。また、そうした富裕層の高齢者向けの高級コンドミニアムも必要だろう。東・東南アジアからは日本の医療も注目されており、重粒子線や陽子線によるがん治療施設も琉球大病院などに新投資してでも必要だろう。当然、外国人による受付案内、外国人看護師によるケアも必要だ。国の交付金が多い間に、最大限利用するものは利用すべきだろう。(THAADでご破算になったが、それ以前の済州島と中国不動産業界との関係も調べてみる必要がある)

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