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東京地検特捜部が8日、リニア中央新幹線の建設工事に関する入札で不正があったとして、偽計業務妨害の疑いでゼネコン大手の大林組本社(東京都港区)を捜索、また土木事業部門トップの土屋幸三郎代表取締役副社長(66)を任意で事情聴取していたことがわかったと通信各社から報道されている。

舞台となったのは巨大プロジェクトでもあるリニア中央新幹線をめぐる工事。
大林組は、名古屋市の名古屋駅の一部工区と地下トンネルからの非常口の2工事を受注しており、特捜部は入札経緯の解明を進める。
 
JR東海は2016年9月6日、東京・品川~名古屋間で2027年の開業を目指して建設しているリニア中央新幹線のうち、ターミナル駅の一つとなる名古屋駅の建設工事が始動する。東京側ターミナルの品川駅と同様に工区・工期を分割して工事を発注する計画で、当工区で初となる発注では、
「中央東工区」を、ジェイアール東海建設・前田建設・シーエヌ建設JVが契約、
「中央西工区」は、大林組・ジェイアール東海建設・前田建設JVにそれぞれ発注契約した(税金が投入されるにもかかわらず何故か金額は公表されていない。)、また、「JR東海の子会社のJR東海建設がJV筆頭で受注するなどやりたい放題のようだ。

問題の工事は、2016年4月に大林組と戸田建設、JR東海建設の共同事業体(JV)が受注した「名城非常口新設工事」。

名古屋城南側の官庁街にあった公園敷地を掘削し、非常時に地上に避難するための階段や換気・消音施設をつくるもの。深さは約90メートル、直径は40メートルで、工期は19年9月末までを予定している。

(政府は、総投資額9兆円のリニア新幹線につき、JR東海に巨額融資し、発注させる方式を採用し、発注の透明性をなくし、官製談合・業者談合をしやすくさせている。通常、工事発注は九州新幹線などの場合など政府機関の鉄道・運輸機構が取り仕切っているのだが・・・)

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 スーパーゼネコンの大林組、鹿島、大成建設、清水建設・竹中工務店の5社ら土工協は、小泉政権時代の制裁強化の改正独占禁止法が施行される直前の2005年(平成17年)12月に「談合決別宣言」を行って以降、日本各地の建設談合組織は事実上の活動を停止させた。

その後、低価格入札制度が設けられ、ゼネコン各社による談合は減少した。しかし、国交省は低価格入札制度では、全うな工事ができないというゼネコン団体の意向を受け入れ、一方的に総合評価方式を取り入れ、低価格入札制度を破棄した。
しかし、総合評価方式では、建設に知識も縁もない分けもわからない有識者に決定させ、公明正大に決定していると豪語、全国の自治体や公共機関に導入を図らせた。そうしたことも、有識者の多数決で決定することから、それが(裏で)官・先生方の主導による談合の巣靴となった。

<大林組の談合事件の数々>
 だが、それでも談合で挙げられている。
2007年3月、名古屋市発注の地下鉄延伸工事で検察当局、公取委が摘発に乗り出し、談合の仕切り役だった大林組名古屋支店元顧問らが逮捕、起訴される事態となった。
さらに、大林組は2007年7月、大阪府枚方市の清掃工場建設工事の談合事件でも摘発され、度重なる談合事件に当時の社長が引責辞任した。
2007年11月には、新潟市の発注工事でも談合事件で指名停止措置を受けている。

最近でも昨年8月、子会社の大林道路などの案件で、公取委が、成田と羽田の空港滑走路や駐機場の定期的な舗装改修工事の発注で、談合していた疑いにより8社が立入検査を受け、その後、大林道路含め指名停止措置を受けている。

今年4月には大林組が、公取委から農水省東北農政局発注の土木工事で談合の嫌疑で立ち入り検査を受けている。

<外環状1.6兆円工事、スーパーゼネコン4社落札したものの談合嫌疑で契約中止>
今年9月15日には、総工費1兆6千億円で建設中の東京外郭環状道路(外環道)の地下トンネル拡幅工事4件で1メートル平均1億円の工事で、「4つの工事を大手ゼネコン4社が 分け合う予定になっている」と指摘され、国から委託された発注元のNEXCO 東日本と中日本が業者の契約手続きを中止し、公取委も調査に入っている。4件をそれぞれ受注したのは大林組などスーパーゼネコン4社のそれぞれの共同企業体だ。
発注元が調査した結果「談合などの疑義を払拭できず、契約の公平性を確保できないおそれが生じた」と公表した。

時世は、2011年3月の東日本大震災とフクシマ原発大爆発により、復興・復旧・除染工事が急増。そうした中誕生した安倍政権、復興・復旧工事に加え、アベノミクスにより、全国津々浦々までの公共投資のバラ撒き、大金融緩和で不動産バブルが生じ、大再開発が目白押しとなり、円安で生じた製造業の業績大復活・株高により、オフィス需要が急増、さらに再開発を急増させている。

また、2020年五輪に向けた首都圏でのインフラ整備も急増し、複数の業界関係者が、大手ゼネコンを中心とした受注調整など不正入札が完全復活した疑いが指摘されていた。

スーパーゼネコン幹部は「1千億円超の大型工事が増えると工事にかかる資金負担が可能なスーパーゼネコンが受注の中心で、スーパーゼネコン同士が、調整しやすい入札になっている」と証言している。

スーパーゼネコン4社の2017年3月期決算では、東京五輪がある2020年に向けた大都市の再開発ラッシュなどを背景に純利益が2年連続で過去最高を更新する好況ぶり。
だが、業界内では「ピークは五輪直前まで」の見方が多い。ゼネコンにとってリニア事業は五輪後も続く、魅力的な工事でもある。

ただし、今回の捜索は、偽計業務妨害容疑で、不正入札の疑いが大林組だけにとどまるものか、他の受注各社も関与したものかは現段階では判然としていない。 
総事業費9兆円とされるリニア中央新幹線の入札で、どのような不正があったのか。特捜部による全容解明が期待される。
以上、大山鳴動して鼠一匹であるまい

  安倍政権はリニア新幹線の前倒し発注=完成、前倒しに遅れが生じれば、国交省の責任に至り、政権から当然、検察や公取委に圧力がかかることは自明。
(完成時期に安倍政権はなく、前倒しさせたことに意味を持たせたもので、最近のスーパーゼネコンのボロ儲けに逆に、徹底した調査をさせることもありうる。当面選挙もない。談合やりすぎのお灸かもしれない)

最近、スーパーゼネコンの営業利益率が、格下のゼネコンより大幅に高いことからも、談合の疑いも窺い知れよう。

また、再び生じた豊洲の応札拒否は、過去の豊洲の工事で談合の疑いをかけられたスーパーゼネコンの叛旗でしかない。それほど、スーパーゼネコンは手持ち工事を豊富に有していることからのユトリであろう。
建設技術的にはスーパーゼネコンと差がない準大手を育成するためにも、応札拒否したスーパーゼネコンに対しては、今後、外し、準大手を指名入札させることが妙案であろう。

<豊洲の応札拒否はゼネコンの横暴か>
(業界の慣習として、土木工事を行ったゼネコンが、土木工事後の建築工事の受注も100%受注することになっている。豊洲では絵に描いたようにそうなっている。当然、追加工事もそうだ。今回も追加工事の範疇。都に対して、自分たちの言い値の予算をくれなきゃ、工事してやらんと狂気のゼネコンの異常な姿勢ともいえる。都政にしても、一連の問題を政治化して、都議選で小池党が圧倒的に勝利したものの、勝利に浮かれ、選挙が終わったとたん、豊洲そのものの設計・建設疑惑については、自ら、闇の中に葬り去ってしまった。その結果が、今回の応札拒否、疑惑をかけられたスーパーゼネコンの復讐劇でもあろうか。)
 
聖域なき削減を標榜した小泉政権時代の平成17年12月、土工協(上場ゼネコンほかが全会員)が、「談合廃止宣言」を発表し、各ゼネコンから支店の談合係や談合を受け持った組織は解体され、談合用の裏金も本社に吸い上げられ一元管理されるようになり、しばらく談合は静かになった。
しかし、大林組が10年前、大阪府枚方市の焼却場建設での官製談合事件で社長が引責辞任したように、談合はなくならないどころか、国交省が進めた総合評価方式が、官製談合を勧めるものでしかなかった。有識者も組み込み、談合はより巧妙化され、水面下に沈んだだけでもある。

取り締まる側の公取委も政権から牙を抜かれ、インポに自らなる中、また、大臣許可以外は都道府県が管理していることから、先生方と業者がお互いの幸せのために税金をお話しあいながら仲良くおいしく食べ漁る行為に徹している。集票効果が非常に高い大公共投資のバラ撒き行政が、それを後押ししているのが現状であろう。
今では動かぬ証拠のタレ込み情報でしか談合案件は挙がってこなくなっている。

 ただ、マンションの販売価格高騰は、地価の上昇だけではなく、スーパーゼネコンの営業利益の取り過ぎも原因となっている。市場を省みなくなったら、2022年問題以降は・・・。海外では儲けもしきらず損ばかりし、先生方と結託した内弁慶すぎる日本のスーパーゼネコンである。
 

 

大林組 土屋幸三郎代表取締役副社長
昭和26年1月生
 土木全般・土木本部長
昭和48年3月
早稲田大学理工学部土木工学科卒
同 48年4月
当社入社
平成19年6月
当社土木本部統括部長
同 20年4月
当社執行役員 土木本部副本部長
同 21年4月
当社札幌支店長
同 22年4月
当社常務執行役員
同 23年4月
当社土木本部副本部長
同 24年4月
当社専務執行役員
同 25年4月
当社土木本部長(現任)
同 27年4月
当社副社長執行役員(現任)
同 27年6月
当社代表取締役(現任)

 

大林組(連結) 国内建設事業の営業利益
 
/億円
売上高
営業利益
営利益率
前期比
17/3期
国内建築
10,203
826
8.1%
60.1%
国内土木
3,323
400
12.0%
10.2%
16/3期
国内建築
9,329
516
5.5%
479.8%
国内土木
3,539
363
10.3%
90.1%
15/3期
国内建築
9,530
89
0.9%
74.5%
国内土木
3,263
191
5.9%
67.5%
・営利益率は営業利益率、前期比は営業利益の前期比。

 

大林組 業績推移
連結/百万円
売上高
経常利益
経常利益率
2009年期
1,682,462
31,829
1.9%
2010年期
1,341,456
-59,608
 
2011年期
1,131,864
22,207
2.0%
2012年期
1,245,772
35,241
2.8%
2013年期
1,448,305
44,690
3.1%
2014年期
1,612,756
40,135
2.5%
2015年期
1,773,981
59,913
3.4%
2016年期
1,777,834
111,208
6.3%
2017年期
1,872,721
140,106
7.5%
2018年期予
1,915,000
140,000
7.3%

 

中間決算 スーパーゼネコンランキング +受注高+受注残
/百万円
大林
鹿島
清水
大成
竹中
売上高
917,463
822,731
685,066
685,350
584,584
  同前期比
6.8%
1.2%
-3.8%
6.0%
0.1%
営業利益
62,366
76,832
49,994
63,247
51,138
 同前期比
5.4%
4.2%
-3.4%
20.4%
30.0%
 営業利益率
6.8%
9.3%
7.3%
9.2%
8.7%
経常利益
66,046
84,333
52,604
64,670
55,248
当期利益
48,386
64,371
38,256
44,158
37,655
  同前期比
16.4%
26.4%
9.1%
25.4%
88.8%
上半期受注額
608,138
551,218
722,811
609,578
510,404
  同前期比
6.1%
-33.3%
10.8%
-15.7%
-55.1%
受注残
1,681,926
1,745,465
1,729,859
2,195,855
1,198,644
  同前期比
4.5%
-5.5%
20.4%
1.0%
5.5%
今期売上高予
1,915,000
1,830,000
1,600,000
1,580,000
非公表
  前期比
2.3%
0.4%
2.1%
6.2%
 
・竹中工務店は17/12月期決算の中間期、ほか4社は18/3月期決算の中間期
・決算では、国内の建設事業に加え、海外建設事業や開発事業なども入る。 
本決算 ゼネコン各社の売上高・営業利益・営業利益率の推移
平成/百万円
大林
鹿島
清水
大成
竹中
17/3期
1,872,721
1,821,805
1,567,427
1,487,252
1,216,570
133,742
155,392
128,835
140,822
91,367
7.1%
8.5%
8.2%
9.5%
7.5%
16/3期
1,777,834
1,742,700
1,664,933
1,545,889
1,284,362
106,380
111,079
94,668
117,468
59,883
6.0%
6.4%
5.7%
7.6%
4.7%
15/3期
1,773,981
1,693,658
1,567,843
1,573,270
1,150,663
48,388
12,665
50,032
70,417
27,741
2.7%
0.7%
3.2%
4.5%
2.4%
17年3月期の売上高内容 国内の建設事業分のみ
土木
24.6%
26.3%
23.2%
31.1%
3.6%
建築
75.4%
73.7%
76.8%
68.9%
96.4%
 
連結
単体
単体
連結
連結
・竹中工務店は16/12期、15/12期、14/12期となる。