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安倍政権誕生と当時に始まった「アベノミクス」と呼ばれる経済政策とほぼ時を同じくして始まった今回の景気回復・・・NHKは次のように解説している。

日本のGDPと金利
 
GDP
金利
2016/Q1
0.4
-0.1
2016/Q2
0.3
-0.1
2016/Q3
0.5
-0.1
2016/Q4
1.2
-0.1
2017/Q1
1.4
-0.1
2017/Q2
1.8
-0.1
2017/Q3
2.1
-0.1
2017/Q4
2.4
-0.1
2018/Q1
1.2
-0.1
2018/Q2
1.4
-0.1
2018/Q3
0.0
-0.1
2018/Q4
 
-0.1
・金利は日銀の公定歩合
 

世界経済の回復が続き、好調な企業収益が、けん引する形で戦後最長に達した可能性が高まった。
一方、家計にとっては恩恵を受けている実感に乏しいのが実情で、専門家からは「最長だが、最弱の景気」という評価も聞かれる。

<給料少々上がっても没収>
総務省の「家計調査」で2人以上の勤労者世帯の自由に使えるお金、「可処分所得」の推移を見てみてみると、
これまで景気回復の最長記録だった「いざなみ景気」の終盤にあたる平成19年の月平均44万2000円余りだったが、2017年は月平均43万4000円余りと、世の中が好景気といわれる中、8年間で可処分所得は減少している。

これに対して「社会保険料」の負担額は、平成19年が月平均約4万7000円なのに対し、2017年は月平均約5万6000円と9000円も8年間で増加している。

社会保険料などの負担増により、多少給料が上がっても自由に使えるお金=可処分所得は伸びず、生活が豊かになった実感が得られない大きな原因となっている。
社会保険料のほか、市民税や水道料なども地域によっては上昇している。

<緩やかな成長 実感難しい>
また経済成長の勢い自体が非常に緩やかであることも要因の1つ。
内閣府によると、東京オリンピックの翌年の昭和40年11月から昭和45年7月まで4年9ヶ月間続いた「いざなぎ景気」では、実質GDPの平均成長率は11.5%。
「バブル景気」では5.3%だった。
これに対し、今回の景気回復では平均で1.2%にとどまっている。

<主婦「献立2人分250円以内に」>
東海地方に住む32歳の専業主婦は、会社員の夫と1歳の娘の家族3人で暮らし、景気回復の実感はわかないと言う。
昨年、夫の給料が少し上がったが、厚生年金や健康保険といった社会保険料の負担額も月に5000円以上増え、自分たちで使えるお金=可処分所得はほとんど変わらなかったという。

さらに、小麦粉や大豆製品など身近な食品の値上げも相次ぐ中、家計をやりくりするため1週間の食費を3000円以内に抑える「節約レシピ」に、取り組んでいるという。
購入する食材は、いくつかのスーパーを回って1円でも安いものを選び、もらい物の食材も最大限活用することで、この献立の場合、おとな2人分で250円以内に抑えたという。

こうしたレシピを自分のブログに公開し、同じように節約に取り組む人たちから反響をもらうことが、楽しみになっているという。
この女性は、「景気回復と言われても実感はないです。できるだけ生活を切り詰めたいと思っていて、買わなくてもよいものは買わないようにしたい」と話している。

<弁当チェーン「のり弁当」中身そのまま50円値下げ>
節約志向が続く中、約2700店を全国展開する大手弁当チェーン「ほっともっと」は、昨年、主力商品でおかずの量を増やしながら、価格の引き下げに踏み切った。
5個入りの「から揚げ弁当」で、から揚げの数を6個に増やすのと同時に都市部での価格を520円から490円に値下げした。
売れ筋の「のり弁当」も、中身はそのままで、都市部で50円値下げし300円にした。
オフィスや外で働く人たち、それに家庭への持ち帰り客にも好評だと言うことで、既存店の売り上げは12月まで6ヶ月連続で前年を上回っているという。
同社は、「景気回復と言われるが、消費者の節約志向は根強く、品質と価格のバランスを非常にシビアに考えている客が多いと感じる。こうしたニーズに応えるよう努力を続けたい」と話している。

<スーパー 価格10%~20%引き下げ>
メーカーによる身近な食品の値上げが相次ぐ中、小売業界では、節約志向が強い消費者を呼び込もうと、あえて値下げに踏み切る動きが出ている。
四国・中国地方で約100店舗展開する「フジ」は、昨年5月、若手や子育て世代がよく購入する加工食品を値下げした。
期間を設けない「常時値下げ」で、冷凍食品やペットボトル飲料など300品目を対象に、価格を10%から20%程度引き下げた。
その結果、値下げした商品の販売個数が増え、来店客数の落ち込みを防ぐ効果もあったということで、「常時値下げ」の対象を日用品やペット用品などにも広げ、今では常時値下げ商品が当初の3倍以上の1000品目に上っているという。
同社では、「店頭では、景気回復が実感できるお客の動きにはなっていない。節約消費が根づき、業態を超えた競争が拡大する中でお客の支持を得るためには、価格対応をしていく必要がある」と話していて、会社ではさらに値下げ品目を増やすことを検討している。
以上、NHK報道参考

ディスカウント店舗が大賑わいだ。
近くにルミエール・トライアル・ダイレックス・コスモス(薬品)がある。いずれも最強のディスカウンター、食品に関し冷凍・乾物・菓子類だけのコスモスを除き、いずれも生鮮食品・寿司など惣菜コーナーもある。その賑わいから消費者は、収入が上がらぬことによりデフレ経済のまま放置されているのが実態、企業にとって空前の利益を出すアベノミクス下、可処分所得は増えず、デフレ経済に放置されたままの消費者の実態であろうか。

<企業の論理>
NHKの報道では、「いざなぎ景気」および「バブル景気」と今回の景気の違いをすっ飛ばしている。
最大の違いは、過去の好景気には必ず、企業が儲けた分の一定量を社員に還元したことにより増加した就労者の報酬。バブル景気もサラリーマンの報酬が大幅に伸び、マンションブームに火が付き、さらに景気は拡大した。
バブル時代には、四季報に労働分配率という分析値も掲載され競争して値を上げていた。

しかし、小泉・竹中平蔵ラインにより、新自由主主義のグローバル化というアメリカの化け物を加工もせずに導入させた日本は、それまで会社=企業は公器であり、経営者・株主・従業員のものだったものが、会社は株主だけのものに一元化されてしまった。
そのため、労働分配率という単語さえ完全に死滅させてしまった。
このことにより、企業は、物価が上がらない限り(就労者の生活が困窮した場合、生産性が落ちる)、賃金を上げる必要もなく、経営陣の進退を直接左右する株主に利益を還元すれば良く、残りは内部留保だとして企業は利益を貯め込んでしまった。
こうして、上場企業は空前の利益を上げながら、就労者に労働分配せずに済むようになった。

(資本主義は1円も労働者に賃金など支払いたくないという考え方が根底にある。政治がそれを戒め、また、労働者も組合を結成し、労働賃金を実力で上げてきた。また、企業側も労働者不足に陥った場合、労働者のスカウト費用として賃金を上昇させてきた経緯がある)

<政府の考え>
一方、政治が是正させる必要があるのであるが、政府は増え続ける大量の財政赤字を抱える現実問題がある。就業者の報酬を増やせば、「いざなぎ景気」や「バブル景気」のような経済成長につながるものの、金利も上昇し、国債や地方債の支払い金利が上昇し、今でも極度に重過ぎる国債等の金利が、政府予算をさらに圧迫することになる。
そうならないためには、就労者の報酬を押さえつけたまま、超低成長を維持したい意向が根底にある。
そうした企業側と政府側の利害が一致し、就労者報酬が低迷し続けている最大の原因となっている。

<↓2018年の日本の国家予算>
2018年の日本の国家予算は、歳入が約97兆7千億円。内訳は、税収が約59兆円、税外収入が約4兆9千億円、新規国債発行が約33兆6千億円。
対して、歳出も約97兆7千億円。内訳は、政策経費が74兆4千億円、国債費が23兆3千億円。単純に国債の歳入歳出の差が国債増加。

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アメリカ経済は大型減税もありトランプ政権になっても成長し続けているが、インフレを加速させないようにFRB(中央銀行)が一方で、景気を冷やすために金利を上げ続けている。
日本の場合、政策金利=公定歩合が1%上がれば国の借金1100兆円(長期国債と地方の計)だとして、単純に11兆円も金利負担増をもたらすことになる。
こうして、円安誘導・資金の流動化を図ったアベノミクスに加え法人税減税までして企業だけ景気を良くし、就労者の所得を抑える必然性があった。
日本の場合、GDPに占める消費の割合は6割前後となっている。バブル時代のようにその6割に火をつけることはできない現実問題が横たわっている。

<↓米国のGDPと政策金利の関係>

米国のGDPと金利/年率換算
四半期ベース
GDP
金利
2016/Q1
2.0
0.50
2016/Q2
1.6
0.50
2016/Q3
1.3
0.50
2016/Q4
1.5
0.75
2017/Q1
1.9
0.75
2017/Q2
1.9
1.00
2017/Q3
2.1
1.25
2017/Q4
2.3
1.50
2018/Q1
2.5
1.75
2018/Q2
2.6
2.00
2018/Q3
2.9
2.25
2018/Q4
3.0
2.50
・金利は中央銀行=FRBの政策金利