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現代自動車の2018年の世界販売台数は、前年比▲0.8%減の449万9千台。国別販売台数は、下記のとおり。
現代自動車Gは、日本勢をターゲットにしていることだけは間違いないが、一時はトヨタを追い越せと大号令、韓国メディアも仕切りにトヨタとの比較を行っていた。しかし、2017年以降はそうした話題もなくなり、世界中に工場を作る計画を目白押しにさせている。
ただ、決算で見る限り、売上高は伸びているものの、営業利益率は落ち込み、販売台数からしてインセンティブ販売=バーゲンセールをやり続け、利益を損ねている状況が見て取れる。昨年の上半期は3%台だが、下半期は1%台の営業利益率まで落ち込んでいる。そこで現代は1台あたりの利益率を上げるため、高級車=高額車を開発し、欧米ではなぜか高い評価を受けているが、これまたなぜか韓国外では売れていない。

<中国>
中国では2017年3月から始まったTHAAD韓国配備における不買による販売不振が継続している。この間、中国勢は、韓国勢がこれまで強みとしていた性能と安さを手に入れ、韓国勢の強みは剥離し、一方、韓国勢は高価格帯では品質・性能面で日独勢には及ばず、市場を中国勢に駆逐され続けている。

経営面からも2016年に河北・滄州工場(第4工場)、2017年に重慶工場(第5工場/各30万台年生産キャパ)を完成させたこともあり、全体では4割の稼働率となり、減価償却なども大きな負担、経営的にも厳しくなっている。
(最近、現代は北京第1工場の生産を中止すると発表、起亜は中国塩城第1工場を合弁会社の東風悦達起亜の悦達に売却または賃貸するという、資金捻出に動き出しているようだ)。

<米国>
米国でのマイナスは、やはりシータ2エンジン火災問題とリコール隠し問題が信用を損ない、韓国勢のコストパフォーマンスも、米市場の販売台数が伸び悩む中、インセンティブ販売をどのメーカーも強化し、強みのコスパも剥離しているところにあろうか。
現在も火災問題で訴訟を起こされており、約300万台のリコールに繋がる恐れも出てきている。昨年6月~9月の夏場に100台以上が燃えている。現代Gは原因が当局より究明されていないとしてリコールを逃れているが、今年の夏場にも燃えることがあれば、大問題になるおそれが高い。さらに米国で売れなくなる可能性も出てくる。こうしたニュースは瞬く間に全世界へ広がる。

<左派の盧武鉉政権・文在寅政権により労働組合は我欲増す>
文政権になり、最低賃金増・労働時間短縮により、協力工場からの各種部品の仕入価格も値上がりし、韓国勢の強みであったコスパは強制的に剥がされてきている。

文政権になり労働組合も過激な韓国労総に加え、より過激な民主労総の組合員が急増し、ルノーサムスンでは、昨年9月組合を民主労総が握ったとたん、10月から現在に至るまで時限ストを打ち続けている。要求も賃金から今では会社の労働政策に至るまで増加し続けている。

現代自動車は蔚山市に160万台の年生産キャパの世界一の蔚山工場を有しているが、左派政権の台頭で労働組合はストばかりして賃金を上げ続け、トヨタより労働生産性が悪い中、今や従業員の年間平均報酬はトヨタより高く、韓国でも労働貴族と呼ばれている。それでもストを毎年何回も打っている。
そうした結果、2018年は44年ぶりとなる1974年以降始めて、韓国工場では▲600億ウォン近い営業損失を出したという。

協力工場も、以前、日本も垂直型であったが、ほかのメーカーへ開放するとともに資本関係を大幅に解消している。そのため、自動車メーカーへ横断的な取引が解禁され、取引拡大を測らせている。一方で、開発力と価格設定力がなければ生き残れなくなっているが、韓国の場合は、旧態然にいまだ協力企業は垂直型で、取引メーカーの販売が落ちれば、即影響を受けている。
こうした取引慣行を打破させない限り、自動車産業はメーカーに、価格で頭を押さえつけられ、大企業への発展を果たせなくなる。現代・起亜も中国で販売不振に陥り、協力会社に大幅な値引き要請をし、協力工場も要請に応じている。
今後は、最低賃金増(昨年と今年の合計で2017年より29%上昇)が諸材や運送費の値上げにつながり、協力工場の原価コストは上昇する。メーカーは販売不振の中、販売価格を上げるわけにはいかず、協力工場は板ばさみになる可能性も指摘されている。

2016年9月に起亜がメキシコに年生産キャパ30万台の工場完成、
2016年10月に年生産キャパ30万台の現代中国第4工場(河北省)
2017年に年生産キャパ30万台の現代中国第5工場完成(重慶市)
2019年、ベトナムに合弁で現代第2工場建設計画、現行、年産キャパ5万台のCKD工場
2019年下半期、起亜がインドに年生産キャパ30万台のアナンタプル工場完成予定
2019年、現代がインド・チェンナイ工場を拡張計画発表(現行年生産キャパ65万台)
インドネシアで年生産キャパ20万台の工場建設計画もあり。(2018年のインドネシア市場は前年比6.9%増の115万台)

現代自動車に求められるのは、
1、価格帯に関係なく高い品質力を提供することが求められている。
中国勢が海外へ展開しだす中、コスパで販売する環境ではなくなってくる。

2、リコールは、素直に素早く行う必要がある。
現状、社員からリコール隠しを大量に内部告発されたり、韓国の当局がリコールを奨めているにもかかわらず拒否し、当局が怒り強制リコール命令と検察へ告発されるなど、顧客に対する信用を損ねる動きは、安全・安心を売る商売人として許されないだろう。

3、デザインは、BMWからデザイナーを引っこ抜いており、高級車は洗練されているが、個性は感じられない。小型車は中国勢とも差別化できていない。

4、販売台数を増加させることを至上目的にしているようだが、企業は利益を出さなければ、大波が来たときには飲み込まれてしまう。その良き見本は、米国でライバルとなっているSUBARUでないだろうか。
5千億円ともされる本店建物は、投資ファンドなどと共同して建設する動きをしているが、賢明な選択と見られる。ただ、しばらく、建てる必要もなかろう。
その本社用地は韓国電力跡地の国有地を落札、3000億円台の時価評価の土地を1兆円で購入するなど、他社が呆れるほどの大判振る舞い、そうした見境もない動きは経営にも反映してくる。いくら財閥でも個人と法人の懐は分けて使うべきだ。・・・驕れる者は久しからずだ。

5、中古車価格が高く取引されるような車造りが求められる。日本勢を、トヨタを追い越すには必須条件ではないだろうか。

 

現代自動車G 業績推移
10億ウォン
売上高
営業利益
←同率
当期利益
2015年計
91,993
6,356
6.91%
6,510
2016年計
93,650
5,193
5.55%
5,720
2017年計
96,376
4,575
4.75%
4,546
 2018年1Q
22,437
681
3.04%
732
 2018年2Q
24,712
951
3.85%
811
 2018年3Q
24,434
289
1.18%
306
 2018年4Q
25,670
501
1.95%
-203
2018年計
97,252
2,422
2.49%
1,645
 前年比
0.9%
-47.1%
 
-63.8%

 

2018年現代自動車(単)国別販売台数
 
千台
前年比
構成比
韓国
721
4.7%
16.0%
中国
746
-8.6%
16.6%
米国
678
-1.1%
15.1%
印度
544
3.1%
12.1%
西欧
539
2.2%
12.0%
ブラジル
189
5.9%
4.2%
ロシア
180
13.3%
4.0%
その他
902
-5.3%
20.0%
合計
4,499
-0.8%
100.0%
・現代自動車発表分で売上計上対象車両分
・中国2017年3月からのTHAAD不買は改善せず。

 

現代自動車の韓国内・世界販売台数
/千台
2015
2016
2017
2018
国内
714
658
688
721
海外
4,250
4,201
3,817
3,865
合計
4,964
4,860
4,506
4,586
起亜自動車の韓国内・世界販売台数
国内
527
535
521
531
海外
2,523
2,485
2,224
2,280
合計
3,050
3,020
2,745
2,811
現代+起亜自動車の韓国内・世界販売台数
国内
1,241
1,193
1,209
1,252
海外
6,773
6,686
6,041
6,145
合計
8,014
7,880
7,251
7,397

 

      マークラインズ発表分(現代車発表分とは誤差有り)
2019年 現代+起亜の月別販売状況 
 
 
韓国内販売台数
世界販売台数
 
 
販売台数
前年比
販売台数
前年比
19/3月
現代
70,111
3.7%
389,160
-2.2%
起亜
44,233
-8.9%
242,617
0.0%
19/2月
現代
53,406
6.4%
313,172
0.3%
起亜
33,222
-10.2%
197,647
0.1%
19/1月
現代
60,440
17.5%
313,313
-7.7%
起亜
38,010
-2.8%
208,908
1.2%
1~3月
現代
183,957
8.7%
1,015,645
-3.2%
起亜
115,465
-7.4%
649,172
0.4%
合計
299,422
1.8%
1,664,817
-1.9%
・韓国の販売台数は世界販売台数に含む。