米連邦破産法第11条の適用下で再建を進めてきたFirst Brands Group(ファースト・ブランズ・グループ)が、ついに「再建」から「一部清算」へと方針転換を迫られている。背景には、資金枯渇と主要レンダーの支援拒否という、事業継続の前提を崩す事態がある。北米の自動車アフターマーケット全体に波及しかねない深刻な局面だ。
同社は、ブレーキ部品のRaybestos、オイルフィルターのFRAM、ワイパーのTrico、点火プラグのAutoliteといった、米国の整備工場や小売に不可欠なブランドを抱える。AutoZoneやO'Reilly Auto Partsなど大手小売の棚を支える供給源でもある。
だが足元の資金繰りは限界的だ。破産手続き開始時に調達した約11億ドルのDIPファイナンスは急速に消耗し、手元資金は約1.9億ドルまで縮小。高金利、原材料費の上昇、統合後の運営効率の低さが重なり、資金燃焼率は想定を大きく上回った。追い打ちをかけたのが、銀行団による追加融資(約7億ドル)の拒否である。貸し手は再建の実効性に見切りをつけ、回収重視へと軸足を移した。
この結果、同社は不採算色の強いブレーキ部門の整理に着手。収益性の高いワイパー(Trico)やフィルター(FRAM)、海外事業を「売れるうちに売る」ための時間を確保する、事実上のトリアージに踏み切った。だが一部清算が進めば、レイベストスなどの供給停滞が現実味を帯び、整備工場や小売は代替確保を迫られる。競合には商機となる一方、短期的な部品不足や棚割り変更による混乱は避けられない。
今後のシナリオは二つに絞られる。健全部門の分割売却を急ぐか、合意に至らなければチャプター11から清算型のチャプター7へ移行し、事業停止に至る最悪の展開だ。主要レンダーが清算を求める現状を踏まえると、独立企業としての存続可能性は低く、数カ月以内に各ブランドが別資本の下へ再編される公算が大きい。北米アフターマーケットは、供給網の再編という現実的リスクに直面している。